語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】瓦礫とともに運ばれて全国に広がるアスベスト

2011年12月21日 | 震災・原発事故
(1)アスベスト
 アスベストは熱や摩擦に強いし、加工しやすい。だから断熱材やブレーキパッドなどに重宝されてきた。だが、細い繊維(頭髪の5,000分の1)を大量に吸い込むと、肺の奥に突き刺さって、平均30年以上をかけて肺癌や中皮腫を引き起こす。今も年間1,000人以上が中皮腫で亡くなっている。
 2006年、アスベスト製品の使用は原則として禁止された。
 だが、問題が起きるのはこれからだ。古い建物の解体のピークが2020年ごろから始まるからだ。 

(2)瓦礫
 今回の大震災では、岩手、宮城、福島の3県で2,500万トンの瓦礫が発生した。うち、600万トン強が宮城県石巻市内の23ヵ所に積まれている。市の廃棄物焼却能力は、年間6万トンしかない。
 保管は杜撰だ。現在も解体中の建物から発生する廃棄物はすべて、まず「一次仮置き場」へ向かう。仮置き場には警備員が配置されているが、瓦礫に覆いや柵はない。市街地であれば、脇を住民がマスクもせずに通行する。
 アスベストを使った建材をハサミで切断するだけで、100万本が飛散する。石巻市には、無数のアスベストが飛散し、瓦礫に混入している。解体作業も風邪マスク程度で行っている。何も対策がとられていない。
 大気汚染防止法や廃棄物処理法などでアスベストの分別が義務づけれられているが、現在、被災地で法令を遵守する解体業者は皆無に近い。 
 実施されている分別は可燃物・プラスチック・廃コンクリートなどで、これら廃棄物が年内には、「一次仮置き場」から県の管理下にある「二次仮置き場」へ移動し始める。

(3)アスベストが全国へ拡散
 4月に環境省は、全国の地方公共団体(自治体/一部事務組合)に瓦礫受け入れの可否を打診した。当初は572公共団体が可と回答したが、放射能汚染の実態が明らかになるにつれ翻意した。10月の再調査では54に激減した。背景に住民の反対運動がある。
 環境省は、瓦礫8,000Bq/kgなら埋めてもよい、と指針を出したが、これを鵜呑みにする住民はまずいない。
 東京都は、放射能汚染がないから瓦礫を受け入れた、と表明した。しかし、アスベストは福島第一原発事故とは無関係に、被災地の瓦礫を満遍なく汚染している。
 東京都の主管部局によれば、岩手県の場合、まず仮置き場で、県が業務委託した会社の社員8人が手作業でアスベスト建材を取り除く。さらに、瓦礫をコンテナに積む前に、都が業務委託した環境整備公社が目視でアスベスト建材の有無を確認し、都に搬入されて焼却や埋め立て処理をする前のストックヤードで、もう一度目視確認する。焼却施設には細かい粒子も補足するバグフィルター、電気集塵装置、湿式好くラバーなどを備えているので、焼却炉周辺にアスベストが飛散する恐れはない(はずだ)。
 大阪府の主管部局によれば、アスベストは現地で測定し、選別されて相応の施設に運ばれる(はずだ)。
 ・・・・だが、3月11日の時点で、目に見えないアスベスト繊維が無数に瓦礫に混入しているのだ。アスベスト建材は粉々に破砕されているので、充分な分別はできない。また、鉄骨へのアスベスト吹き付け材などは、津波で剥がされ、砂やヘドロに混じり込んでいるので、これまた分別できない。要するに、目視でアスベストの非存在を証明することはできない。
 したがって、アスベストがない、という前提で焼却した場合、焼却施設の処理能力次第で、周辺地域を汚染する。また、コンクリートなどは破砕してリサイクルされるが、人工砂利「再生砂利」が駐車場に使われると、車が通るたびに砕かれ、アスベストが飛散する。

(4)東京都に搬入される震災瓦礫
 東京都に搬入された震災瓦礫は、都環境整備公社と岩手県との協定締結によって実現した。同社が今後締結する宮城県のものと合わせると、都は今後3年間で50万トンの瓦礫を引き受けることになる。都民を侵すアスベストは飛躍的に増える。

 以上、樫田秀樹(ルポライター)「震災瓦礫に運ばれて全国に広がるアスベスト」(「週刊金曜日」2011年12月16日号)に拠る。

 【参考】「【震災】東北沿岸の化学汚染 ~カドミウム・ヒ素・シアン化合物・六値クロム・ダイオキシン~
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