語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発事故を俳人はどう詠んだか

2011年12月24日 | 詩歌
●「群雄割拠の時代 年代別2011年の収穫【40代男性】」
   かぎろいは見えず原子が燃えており  五島高資
   下天へとパンドラの匣かげろえる  五島高資

●「若手台頭の年 年代別2011年の収穫【30・20・10代】」
   現代詩・紫雲英・眩暈・原子力  神野沙希

●「諸家自選5句」
   被曝せし川に魚飛ぶ養花天  荒井千佐子(「沖」・「空」)
   春はやて つむじに浴びる放射能  伊丹啓子(「青群」)
   花曇 ミリベクレルの野菜も喰い  啓子
   原発忌即地球忌や地震の闇  大井恒行(「豈」)
   被曝の人や牛や夏野をただ歩く  金子兜太(「海程」・「寒雷」)
   フクシマを思わぬ日なく八朔に  如月真菜(「童子」)
   福島第一原子力発電所二号棟おりけむり  桑原三郎(「犀」・「つばさ」)
   原爆忌原発始末どうなるの  斎藤一骨
   セシウムの梅雨の濁流無人村  深谷雄大(「雪華」)
   防護服猛暑の寝間に倒れ込む  雄大
   原子禍の国亡ぶかに下土の炎ゆ  雄大
   父祖の地の磐城岩代霧の中  雄大
   児の頬に遅春のなみだ放射能と  マブソン青眼(「海程」)
   三歳で「セシウム」覚え春しぐれ  青眼
   児に教えん原発のこと銀河のこと  青眼
   父子愛に半減期なし葡萄剥く  青眼
   フクシマの麦がわなわな震へだす  松浦敬親(「麻」)
   亀鳴くや原発圏の嘘まこと  諸角せつ子(「道標」)
   原発二十粁圏さくらほぐるるや  せつ子
   春田打ちある由もなし原発圏  せつ子
   原発二十粁圏春田とて海市  せつ子
   眼に見えぬ放射能ふり竹黄ばむ  八牧美喜子(「はららご」・「濱」)
   火を創るは神の領域萬愚節  美喜子
   春の地震などと気取るな原発忌  山崎十生(「紫」・「豈」)
   せっけんを洗うことから原発忌  十生
   フクシマの弔旗でありぬ黒牛は  渡辺誠一郎I(「小熊座」)
   盗汗かくメルトダウンの地続きに   誠一郎
   しずけさは死者のものなり稲の花  誠一郎  

●「今年の秀句 ベスト30」      
   原発密閉ぎつしりと蓮の花  佐怒賀正美 「俳句」7月号 【対馬康子・選】

●「東日本大震災に思う」
   汝知るや蟇のつぶやく半減期  小原啄葉(「樹氷」) 【自選】
   放射線害知らぬ小鳥の木の実食ふ  八牧美喜子(「はららご」・「濱」) 【自選】
   原発を逃れし人に春の雪  小林雪柳(會津) 【自選】
   人は皆避難して菜の花ばかりなり  無着成恭(「會津」) 【小林雪柳・選】
   放射能恐れず摘みぬふきのたう  米山雲雅(「會津」) 【小林雪柳・選】
   原発を津波砕きて蝌蚪生る  吉川伸生(「會津」) 【小林雪柳・選】
   降り切れし線量計や草の花  柏原眠雨(「きたごち」) 【自選】
   福島の桃頑張って上京す  稲村ツネ(「浜通り」) 【結城良一・選】
   水中花炉心の水の減ってゐる  太田土男(「草笛」・「百鳥」) 【自選】
   福島は福島であれ夏の海  赤間学(「滝」) 【菅原鬨也・選】
   セシウムの降りて盗汗が内臓に  渡辺誠一郎I(「小熊座」) 【自選】
   牛虻よ牛の泪を知つてゐるか  永瀬十悟(「桔槹」) 【佐藤成之・選】

●「今年の感銘句」      
   放射能に追われ流浪の母子に子猫  金子兜太 『非核の旗』 【寺井谷子・選】
   暁鴉・睡魔・マイクロシーベルト  神野紗子 「俳句」5月号  【対中いづみ・選】
   原子炉は遺跡とならむ桜咲く  渡辺重昭  「梟」5月号  【小澤實・選】

●第55回角川俳句賞
   県境にとどまる宅急便と春  永瀬十悟 「ふくしま」
   避難大事恋も大事やチューリップ  十悟
   避難所に春来るキャッチボールかな  十悟      

●「全国結社・俳誌・・・・一年の動向」
   草茂るフクシマを去る面構え  鴨下昭(「亜」)
   いはれなき放射能禍や四番茶  井坂景秋(「亜」)
   死の灰にまみれて藁もわらしこも  無着成恭(「會津」)
   原子炉が危機を孕みて梅雨曇る  花野里美(「蟻乃塔」)
   放射能まみれの海へ燕来る  相原左義長(「海程」)
   放射能など知らぬまま入学す  吉田透思朗(「海程」)
   原発の嵐の止まずに沖縄忌  下地慧(「ウェーブ」)
   フクシマは人体実験羽抜鶏  池田義弘(「瀚海」)
   原発の虚実さらして四月逝く  州浜ゆき(「曲水」)
   青蛇の放射線量計られず  西田野李男(「昴」)
   原発とはくちびる渇く言葉かな  長岡由(「浜通り」)

 以上、「俳句年鑑2012」、角川書店、2011)に拠る。

    *

   原発の方より来たり冬の犬  馬目空(いわき市)

 以上、2011年12月19日付け朝日新聞俳句欄/長谷川櫂・選第1席に拠る。

    *

   原子炉が火を噴き灰を散らすともいまだ現れず東電社長

 以上、長谷川櫂『震災歌集』(中央公論新社、2011)に拠る。
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