語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>東電にメスを入れる東京都(その2) ~子会社の整理~

2012年02月24日 | 震災・原発事故
 東京都が東京電力の一方的な値上げに対し、その収支にメスを入れる仕儀となったのは、(a)都が第3位の大株主であるという理由だけではなく、(b)都の莫大な負担増(17%の値上げで77億円)、(c)都内の中小企業の否応なき負担増という理由もある。
 勝手に負担増を強いる東電には利用者側の視点がまったくない。国が東電の傲慢を許容するならば、国も国民の立場に立っていない。

 都が東電の子会社を調査したところ、例えば社員の福利厚生の会社は六本木のど真ん中にあり、家賃は想定月800万円だった【注1】。
 東電は、原発事故起こし、福島をはじめ、その周辺地域に放射性物質をバラマキ、それでいて<東京電力福島第一原発から飛散し、落下した放射性物質(セシウムなど)は東京電力ではなく、土地所有者のものである>とうそぶいて賠償を拒否した【注2】。
 そして、実は不良債権(不良資産)化した原発を抱えているのが真の理由で債務超過に陥りつつあるのだが【注3】、表向きは「燃料費上昇」を口実に、自由化部門の値上げは「電気事業者の権利だ」と宣言した【注4】。その権利の一例が、握って放さない子会社の贅沢というわけだ。 

 都は、東電の子会社168社の全貌を情報開示するよう求めている。役員の数や就任前の肩書き、平均年収を明らかにするよう要請している。
 子会社には、だぶついた人員や東電からの天下り役員が配置されている。

 東電は、都が訊いたことしか答えない。都庁に10人も説明に来るが、子会社のリストの数が少ないことを指摘されて始めて、「他に出向の役員がおります」と言い出す。

 東電は、企業年金を10年間で1,036億円削減というが、初年度はたったの13億円だ。公的資金が入って立ち直ったら、結局、削減は立ち消える可能性がある。「大勢いるOBの3分の2の同意を取らないと決められない」と、震災から1年経てもこの調子だ。身の削り方が甘い。

 【注1】「【震災】原発>東電にメスを入れる東京都 ~電気料金値上げ~
 【注2】「【震災】原発>賠償を拒否する東電側の理屈 ~裁判~
 【注3】「【震災】原発>賠償・除染の費用を出せなくなる東電 ~債務超過~
 【注4】東電は独占企業であり、競争がないから、自由化市場は全体の3.5%。選ぶ自由が全然ない。PPSが電力を売ろうとすれば、東電に配電網の託送料(利用料)を支払わねばならず、これが電気料金の2割を占め、高い。おまけに、原発に係る電源開発促進税が、そのうちの2割含まれている。PPSは火力しかないにも拘わらず。しかも、PPSには罰金が科せられる。<例>40万kWの発電所を夏期たった5時間止めただけで8,000万円。新規参入を妨害する措置だ。

 以上、大場弘行(本誌)「電気料金値上げの裏 東電社員の「利益誘導」」(「サンデー毎日」2012年3月4日号)のうち猪瀬直樹・東京都副知事の談話「埋蔵金見つけ、人件費を削れ」に拠る。
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