(1)高脂肪食は、脳の免疫系を担う「ミクログリア」の暴走を促し、脳機能を損なうらしい【米ジョージア医科大学の報告】。
ミクログリアは、白血球の代わりに脳内の免疫機能を担う細胞。通常は監視役に徹しているが、神経細胞(ニューロン)に異常が生じると、ニューロンの成長因子を分泌して修復を促す。また、ニューロンが死んでしまった場合は、残骸を「掃除」する役割もある。
ただ、ミクログリアの働きが行きすぎると、正常なニューロンまで破壊され、
アルツハイマー型認知症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
などの神経変性疾患を招いてしまう、といわれている。
(2)研究者らは、高脂肪食とミクログリアとの関係に着目。正常な雄マウスを2群に分け、
①総摂取カロリーの10%が飽和脂肪酸の低脂肪食
②同60%の高脂肪食
をそれぞれに与えた。総摂取カロリー数は同じだが、人でいう
①’健康な食事
②’ファストフード三昧の食事
に相当する。
(3)実験開始の4、8、12週に、
(a)代謝機能(体重、インシュリン分泌量、血糖値など)を測定。
(b)脳機能に関しては、次の二つを測定している。
①海馬(学習と記憶を司る)の機能を示す血清マーカー
②ミクログリアの活動量を示す炎症性物質のレベル
(4)実験開始後12週までに、②「高脂肪食」群のマウスは肥満化し、脳内の炎症性物質の量が上昇。脳神経の接合部(シナプス)数も減少していた。
この時点で、
(a)肥満マウスの半数を①「低脂肪食」に切り替えて観察を続けた結果、体重が元に戻るのと並行してシナプス数の回復が認められた。回復までに2ヵ月を要したが。
(b)②「高脂肪食」にとどまったマウスたちは太り続け、かつ、シナプスを失い続けた。
(5)動物実験とはいえ、少々背筋が凍る話だ。
この研究で脳機能に悪影響すると示されたのは、ラードや脂身に多い「飽和脂肪酸」。
同じ脂肪でも、魚類に含まれる「不飽和脂肪酸」は、逆にミクログリアを鎮静する作用があるといわれている。
□井出ゆきえ(医学ライター)「高脂肪食でシナプスが消失? 動物実験での話ですが・・・・ ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.284~」(週刊ダイヤモンド」2016年1月23日号)
↓クリック、プリーズ。↓

【参考】
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」
ミクログリアは、白血球の代わりに脳内の免疫機能を担う細胞。通常は監視役に徹しているが、神経細胞(ニューロン)に異常が生じると、ニューロンの成長因子を分泌して修復を促す。また、ニューロンが死んでしまった場合は、残骸を「掃除」する役割もある。
ただ、ミクログリアの働きが行きすぎると、正常なニューロンまで破壊され、
アルツハイマー型認知症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
などの神経変性疾患を招いてしまう、といわれている。
(2)研究者らは、高脂肪食とミクログリアとの関係に着目。正常な雄マウスを2群に分け、
①総摂取カロリーの10%が飽和脂肪酸の低脂肪食
②同60%の高脂肪食
をそれぞれに与えた。総摂取カロリー数は同じだが、人でいう
①’健康な食事
②’ファストフード三昧の食事
に相当する。
(3)実験開始の4、8、12週に、
(a)代謝機能(体重、インシュリン分泌量、血糖値など)を測定。
(b)脳機能に関しては、次の二つを測定している。
①海馬(学習と記憶を司る)の機能を示す血清マーカー
②ミクログリアの活動量を示す炎症性物質のレベル
(4)実験開始後12週までに、②「高脂肪食」群のマウスは肥満化し、脳内の炎症性物質の量が上昇。脳神経の接合部(シナプス)数も減少していた。
この時点で、
(a)肥満マウスの半数を①「低脂肪食」に切り替えて観察を続けた結果、体重が元に戻るのと並行してシナプス数の回復が認められた。回復までに2ヵ月を要したが。
(b)②「高脂肪食」にとどまったマウスたちは太り続け、かつ、シナプスを失い続けた。
(5)動物実験とはいえ、少々背筋が凍る話だ。
この研究で脳機能に悪影響すると示されたのは、ラードや脂身に多い「飽和脂肪酸」。
同じ脂肪でも、魚類に含まれる「不飽和脂肪酸」は、逆にミクログリアを鎮静する作用があるといわれている。
□井出ゆきえ(医学ライター)「高脂肪食でシナプスが消失? 動物実験での話ですが・・・・ ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.284~」(週刊ダイヤモンド」2016年1月23日号)
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【参考】
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
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