語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【丸谷才一】対話的人間

2016年02月14日 | ●丸谷才一
丸谷(才一) ・・・・聞く、聞き終わる、読み終わるという読解力が対談術の基本なんだと思います。

山崎(正和) それには古典的な先例がありましてね。プラトンの『ゴルギアス』という対話編の中に大変な名言がある。プラトンがいくら説得しても、ソクラテスの哲学がわからない人に対してプラトンは、「わたしが答え手になろう、あなたが語りなさい。そうするとあなたは問題を理解するであろう」というんです。つまり、よき聞き手というのは聞くことを通じて相手を開発するんですね。(中略)ギリシア哲学者の田中美知太郎さんによると、「ソクラテスの対話」では、ソクラテスが言い負かされることを通して真実が出てくる、と言うんです。つまり対話の一番理想的な場合には、どこかに神様がいて、二人の対話を通して真実を発見させる。場合によっては、一人の人間の敗北を通して真実が見えてくるというようなものであるはずなんですよ。

丸谷 そう、勝敗じゃなくて、共同作業による真実の探求みたいなものだね。いい聞き手は、相手の言わんとするところを聞くものです。どうでもいいところはあえて聞かない。大局を問題にする。つまらない間違いにこだわって、そこのところをつついていけば、論争には勝てる。でも、それではつまらない対談になっちゃう。

□丸谷才一『半日の客一夜の友』(文芸春秋社、1995/後に文春文庫、1998)/共著者:山崎正和の「対話的人間とは何か」
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【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク ~背景にストレスや運動不足~

2016年02月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)便秘がちで下剤を使用している人は、脳・心血管疾患リスクが高いようだ。
 大阪大学医学部公衆衛生学教室の研究から。

 (2)この研究は、1988~90年に、心血管疾患や脳卒中の既往がない日本在住の男女72,014人(男性29,668人、女性42,346人)対象のデータを基にしたもの。調査開始時に排便回数と下剤の使用の有無を質問した後、2009年まで追跡している。追跡期間中、
  (a)死亡した人
   冠動脈疾患で977人(男性561人、女性416人)
   脳梗塞・脳出血で2,024人(男性1,028人、女性996人)
  (b)排便回数との関係は、年齢の影響を調整して検討すると、
   ①毎日排便する男性に比べ、排便回数が2、3日に一度がやっとという男性は、心血管死や脳卒中死リスクが有意に高かった。
   ②しかし、高血圧や2型糖尿病の既往歴など他の危険因子の影響を調整すると、その差は消滅している。
  (c)下剤使用との関係は、
   ①下剤使用者は、冠動脈疾患死のリスクが非使用者と比べて、女性は1.28倍、男性は1.56倍にのぼった。
   ②女性ではむしろ下剤使用と虚血脳卒中(脳血管が詰まる)との関連が強く、非使用者との比較では1.45倍だった(男性は1.37倍)。

 (3)研究者らは、
   「便秘がちで下剤を使用している人は、糖尿病や精神的ストレス、運動不足など脳・心血管疾患リスク要素を高率に抱えている」
と指摘し、特に
   「下剤の使用は、男性の冠動脈疾患死と虚血性脳卒中死、女性では虚血性脳卒中死と強く関連する」
としえいる。

 (4)国民生活基礎調査(2013年)によると、便秘を自覚している人の割合は、1,000人対で、
   男性26.0
   女性48.7
 しかし、男性の割合は50歳を過ぎたころから上昇する傾向にあり、脳・心血管疾患の好発年齢と重なる。
 便秘がち=脳・心臓への黄色信号として生活習慣を見直してみよう。

 (5)便秘と脳・心血管疾患リスクの両者を改善するには、食物繊維を摂り、適度に腹筋運動を行うとよい。散歩やジョギングを追加すれば、ストレス解消との一石二鳥となる。

□井出ゆきえ(医学ライター)「下剤は脳・心血管疾患リスク!? 背景にストレスや運動不足 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.287~」(週刊ダイヤモンド」2016年2月13日号)
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 【参考】

【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~