語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【幕内秀夫】「カタカナ主食」が食生活に与える影響 ~パン・菓子パン・ピザ~

2016年12月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)総菜パン、菓子パン、ハンバーガー、ピザなどを常食にするということは、「お菓子」を食事にしているのと同じだ。稀な楽しみで間食として食べるならいいが、これらを食事にする人が登場してきた(「カタカナ主食」)ことが大きな健康問題に繋がっている。

 (2)「カタカナ主食」の問題は、「砂糖」が入っていることだけではない。
 最近、ホテルの朝食はビュッフェになっているところが多い。パンを食べている人を見ると、パンと一緒にジュースを飲んでいる人が多いのだ。高級ホテルなら果実を搾ったフレッシュジュースがあるかもしれないが、普通のホテルでは砂糖(異性化糖)の入ったジュースになる。大人ならコーヒーの場合もあるが、子どもは100パーセント、ジュースを飲んでいる。
 一方、ご飯を食べている人でジュースを飲んでいる人はめったにいない。

 (3)さらに最近のパンはどんどん柔らかくなっている。手で握ってみると、小さな塊になってしまう。だからだろうか、パンだけで空腹を満たすことが難しいのか、パン食の人は大概デザートを食べる。果物ならまだいいほうで、朝からプチケーキやアイスクリームを食べている人さえいる。ここでも砂糖の摂りすぎになりやすい。
 また、パンやハンバーガー、ピザなどは水分が30%程度しか含まれていない。私たちの体に含まれている水分量はおおよそ60%くらいだ。パンを口に入れると唾液が吸われてしまい、パサパサと感じて美味しくない。それを防ぐには口腔内の粘膜を油脂類でコーテイングする必要がある。パンにマーガリンやバターを塗ると美味しく感じるのはそのためだ。

 (4)パンと一緒にほうれん草のお浸しやしめ鯖を食べる人はほとんどいない。どうしてもほうれん草が食べたかったら、バター炒め。鯖も、マリネやムニエルになる。サンドイッチやハンバーガーにはさまれているものも、フライやサラダ、炒め物などすべて油脂類を使ったものになる。クロワッサンやデニッシュ、ドーナツなどにマーガリンやバターをつけないのはもともと油だらけだからだ。

 (5)最近の食生活には季節感がなくなった、という指摘も少なくない。
 〈例〉野菜だったら、春はせりの胡麻和え、夏は茄子のしぎ焼き、秋には菊としいたけの和え物、冬はふろふき大根などだ。
 どれもがご飯の副食だ。パンに合うのは季節に関係なく、サラダや野菜炒めになるだろう。ここでも油脂類をとることになる。「旬」の魚介類もパンには合わない。パンに秋刀魚の塩焼きや鯖の味噌煮を食べる人はいないだろう。ファストフードの店にあるのは、1年中変わらない白身魚のフライくらいだ。

 (6)パンや菓子パン、ハンバーガーやピザなどを常食にするということは、大量の「砂糖」と「油脂類」をとることになる。このことが健康に与える影響はとてつもなく大きい。  

□幕内秀夫(フーズ&ヘルス研究所代表/学校給食と子どもの健康を考える会代表)「「カタカナ主食」が食生活に与える影響 ~口は災いのもと 10」(「週刊金曜日」2016年12月9日号)
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 【参考】

【幕内秀夫】太りすぎた子どもたち ~「お菓子」が主食~
【食】味噌汁をめぐる妻vs.夫 ~「塩味」が伝える大切なメッセージ~
【保健】世紀のデタラメ健康法 ~「糖質制限」ダイエット~