語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【季語】バレンタインデー

2017年02月14日 | 詩歌
 2月14日。この日は西暦270年、ローマの司教、聖バレンタイン(ヴァレンチノ)の殉教した日だが、アメリカの習慣が入り、夫婦や恋人間でハート型のチョコレートなどを贈ることがおこなわれるようになった。女性から恋を打ち明けてよい日とされ、若い人々の間では、近来チョコレートの贈物がますますさかんになってきた。この日から鳥が交りはじめるという。〈本意〉本来聖者殉教の祝日(カトリック)だが、男女相愛の日となって、チョコレートの売行きのさかんな日にかわった。

  バレンタインデーか中年は傷だらけ  稲垣きくの
  愛の日やコクトーの詩とチョコレート  富崎梨郷 
  老教師菓子受くバレンタインデー*  村尾香苗

□平井照敏・編『新歳時記(春)』(河出文庫、1989)の「バレンタインデー」を引用(例句は8句中3句を抄出)
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【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理

2017年02月14日 | ●佐藤優
   
 ①ジョン・クリーズ(安原和見・訳)『モンティ・バイソンができるまで ジョン・クリーズ自伝』(早川書房 3,400円)
 ②兵藤裕己・校注『太平記 6』(岩波文庫 1,010円)
 ③小野田博一『人工知能はいかにして強くなるのか? 対戦型AIで学ぶ基本のしくみ』(講談社ブルーバックス 1,000円)

 (1)①は、英国のコメディアングループ「モンティ・バイソン」を作った著者の自伝。洞察力に富む。
 <これは広く認められた真理だが、最もすぐれた物まね芸人には、みょうに個性の薄い人が多いものだ。おそらく強烈な個性が欠けているからこそ、自分の人格に邪魔されることなく、簡単に他人の人格を身にまとうことができるのだろう。(中略)一流の物まね芸人の超高感度の観察眼を、私は心から尊敬している。かれらはきわめて精密に、声の出しかたや抑揚、話すリズム、顔の表情や身ぶり手ぶりなど、ちょっとした、しかし独特なくせをすべて観察し、それを正確に再現できる。しかしその反面、かれらが他人を細かく観察するのは、そこに「借りる」ことのできるもの、自分自身の人格構造に組み入れることのできるものを、無意識のうちに探しているのではないかと思わずにはいられない>
 個性が欠けていることが有利になるというのが物まね芸人と潜入工作員(スパイ)の共通点だ。

 (2)③で岩波文庫の新版太平記は完成した。各巻に付された兵藤氏の解説が興味深い。次の指摘は、まさにその通りだ。
 <近世の身分制社会から近代の国民国家への移行が、明治期にあれほど速やかに行われた背景にも、幕末の尊攘派の志士たち(および明治の民権・国権論者たち)によって鼓吹された「国体」の観念が存在しただろう。「四民平等」の国民国家は、福沢諭吉らの啓蒙活動よりも以前に、すでに藤田幽谷や会沢正志らによって構想されていたのだが、それはくりかえしいえば、『大日本史』の論賛の削除を画期的とした、水戸の名分論史学の位相的な転換によってみちびかれた日本型のネーション・ステートの思想だった>
 
 (3)③は、将棋、チェスなどの対戦型AI(人工知能)の原理を分かりやすく記している。
 〈例〉深層学習に係る説明は次のとおり。
 <深層学習とは、ラフに言えば、多くの変数を使った回帰分析や判別分析などの計算をコンピューターにさせることです。単に「分析」というのと「深層学習」とのニュアンスの違いは「主成分分析などで特徴量を抽出することなども含めて、機械任せにはせずに分析者が主となって解析を行うのが「分析」です>
 このように基本概念を丁寧に解説してあるので、理数系に苦手意識を持っている読者でも読了することができ、本書によってAIの基礎知識を得ることができる。

□佐藤優「物まね芸人とスパイの共通点 ~知を磨く読書 第186回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年2月18日号)
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 【参考】
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【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
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【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
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【南雲つぐみ】午の時刻、方位、初午の名物料理

2017年02月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 立春を過ぎて最初の午の日が、初午。今年は2月12日にあたる。今でも「正午」というように、和時計では午は昼の12時前後の2時間を指す。方位でいえば南。初午は、特に陽光が強く、運気の高まる日だという。
 初午に稲荷神社のお祭りが行われる。稲荷神社の総本社である京都伏見稲荷大社に、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)が初午の日に降臨したという言い伝えが残ることが由来だそうだ。この神様について、日本書紀ではイザナギとイザナミの子どもとされていて、国造りに疲れて、おなかが空いている時に生まれたと書かれている。穀物神、農業神としての役割を担っているのだ。また全国各地で稲荷神社の使いであるキツネにちなんだいなりずしや、初午団子など、初午にはいろいろな名物料理が用意されている。
 栃木県には「しもつかれ」という郷土料理がある。サケのアラや大豆、野菜類に、おろしたダイコンやニンジン、酒かす、酢を混ぜて煮る。味つけは各家庭で違い、「七軒のしもつかれを食べれば風邪をひかない」という言い伝えもあるそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「初午 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年2月12日)を引用
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