深谷上杉氏 ⑨
時系列通りには行かないと思いますが、深谷上杉氏に関連する史跡等をを数回にかけて紹介中!
今回は、守りのため深谷城周囲に築いた支城のひとつで東の守りであった東方城です。
埼玉県深谷市東方にある東方城跡(ひがしかたじょうあと)を訪ねてみました。
《東方城跡は深谷市東方にあり、低地に望む櫛挽台地の先端部に位置します。大里郡郷土誌には、大正8年頃の様子が「平地
よりやや高き丘をなし、下に城下沼を控え眺望佳成。里人城山と呼び、深谷上杉の家人の居城なりしと云えど、其何人なりし
か伝えず」と記されています。北方の沼地や水田に向かった突き出た台地の縁にあり、深谷上杉氏支配下の城でした。
「矢井伊勢守重家の弟、若狭守重任な東方城預かる」という史料も確認されています。
深谷上杉氏は関東管領山内上杉氏の一族です。14世紀後半に、はじめ庁鼻和上杉氏と称し、庁鼻和の地に拠点を構えていたと
されます。関東管領方と古河公方方との抗争が激しくなる15世紀中頃には深谷城を築き、そこを本拠地としました。先の史料
から、東方城には城代が置かれていたと思われます。
豊臣秀吉の小田原征伐による深谷城開城、徳川家康の関東入国後、1590年に深谷城へ松平康直が一万石で、東方城には松平康
長が一万石で入城します。
1601年に、松平康長は上州白井城二万石に移され、東方城は廃城となります。現在も土塁と堀の一部が残る他、「御所屋敷」
「城主別邸」「お姫屋敷」「仲間町」などの地名や伝承地が見られます。
東方城跡の東には、松平康長が中興開基し菩提寺とした金久院があります。また西には、深谷上杉氏の時代から崇敬されてき
た熊野大神社があります。》 (現地に設置されている案内板「中世の城跡 東方城跡」の中の説明文より)
戦国時代、深谷上杉氏は深谷城を中心に、北に皿沼城・西に曲田城・東に東方城を配置し利根川の先の古河公方に対する防御
を固めましたが、この東方城は読んで字のごとく東の方に築いた城ということからの名でしょう。
この東方城は、上記説明にもあるよう、いくつかの単体の屋敷で一つの城を形成していたようです。
冒頭の写真は、屋敷跡としては一番大きな御所屋敷跡を北方から撮ったものです。
御所屋敷跡西側の小口(?)付近です
フェンスの所が小口のようで、ここから郭内になるようです
用水が流れていますが堀跡でしょうか
土塁ですが、切通しのようにも見えます
もう少し先まで延びています
東方城跡標柱 かつてはここにも深谷上杉顕彰会による説明板があったようですが撤去されたようで見当たりませんでした
東方城跡 市指定史跡(昭和43年〈1968〉11月3日指定)
切通しを反対方向に
角度を変えて
切通しの西側の土塁を郭内から
土塁に上がってみました。当日か前日かくらいの直近に、人が歩いたような形跡がありましたが、きっと城好きな方でしょう。
土塁を降りて郭内に
御所屋敷跡南側の土塁
御所屋敷跡東側の土塁
東方から見た東方城 写真中央の住宅の背後の山林が御所屋敷 左側の手前の山林が城主別邸
城主別邸 城主別邸の土塁は「史跡 東方城土塁(二号)」として深谷市の指定文化財になっています
家屋の裏側に土塁が僅かだけ見えますが写真では無理のようです
敷地内には入れませんのでアップで撮ってみました どうにか見えると思います
敷地内西側にある南北に延びている土塁の端が塀越しに見えています
城主別邸西側の道沿いに土塁を確認しようとしましたが生垣やら竹などに遮られてしまいとても写真では無理です(肉眼でも厳しい)
どうにか灌木少ない場所から 空堀はだいぶ埋まってしまっているようですが、土塁はかなりの高さで残っています
土塁の上も竹藪状態です
歩いてきた道を振り返ればこんな感じです
城主別邸北側の状況
お姫屋敷の土塁も「史跡 東方城土塁(一号)」として深谷市の指定文化財になっています
土塁は、この標柱の建っている建物の西側ですが、道路から見えやすいこの場所に標柱を建てたもの推測します
土塁はブロック塀と金網フェンスで囲まれた場所にありますので ブロックの穴や金網の穴から撮りました
長さはありませんが、土塁だけでなく空堀も残っています
お姫屋敷南側 標柱のある反対側です 道路の右側の木立に中に土塁があります
まだ全面開通していない道路の端に見つけた新しい案内板「中世の城跡 東方城跡」
この中の説明文を冒頭に転記引用させていただきました(写真にした方が早く楽なのはわかっていますが、たまには手入力でと)
熊野大神社境内の土塁 ここの土塁と東方城との関係は分りませんが・・・
ここも1日目は現場把握ができずにが用が足りず、2度目の散策でどうにか(これでも満足ではありませんが)
城跡は広範囲にわたっています。そんな場所を行ったり来たりしましたので1万歩前後を歩きました。
散策日:平成29年(2017)12月12日(火)・19日(火)