カルテ番号 め・3（20）
確かに、心というのは範囲が広すぎる。
そして、あいまい過ぎる。
考えも心なのか、認識している事柄も心なのか。
あるいは、感情が心なのか、礼子には整理できない。
意識できるだけでなく、無意識とか意識下とかもある。
トラウマなどといわれる現象も心の一部なのだろう。
院長は話を続けた。
「太極拳を気功法という、氣を中心にした方法とした場合。
イメージが最も大きな影響となります。
でも、それには条件があります。
一通りの動きや呼吸がスムーズにこなせてからなのです。
いわば、中級以上の場合ですね」
礼子は少し混乱してしまった。
「先ほど、呼吸が一番重要と教えて下さいました。
でも、中級以上はイメージが一番重要なのですか？」
院長は答えた。
「そうではなく、生命に最も重要なのは呼吸です。
その呼吸や肉体を更に効率よく活かすには、氣なのです。
重要というのではなく、影響が大きいのです」
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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