水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・949」

2016-06-20 19:45:02 | Weblog




カルテ番号 ゆ・1(2)

半年に一度の定期検診で肝臓に異常があった。
なおも詳しく調べると癌だった。
ステージは3。
これを機会に日本に帰り、日本での治療を希望した。
その後の療養も日本を希望し、研究所は退職する事にした。
諸々の秘密厳守誓約書にサインをして、帰国したのが先月だった。

秘密厳守は人工衛星に関する事が主で、地震についてはほとんどない。
地震学というのは、秘密にするほど確定していない学問なのだ。
それでも、データ持ち出しなどは当然違法だ。
違法だが、データなどというものは、ザルに入れる水と同じだ。
どこからでも漏れるし、出す事ができる。
個人データなども同じだ。
国も企業も建前として、管理しています、などというだけだ。

弓削の出身大学の病院で手術は行われた。
手術そのものは成功。
もっとも、よほどでなければ失敗とはいわない。
だが、癌というのは、まだまだ対処しきれない相手でもある。
わからない相手なのだ。
その為、その後も検診を続け、時には抗がん剤も使う。
検診でみつからない事を祈るのが、本音というやつだ。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・948」

2016-06-19 19:02:26 | Weblog



カルテ番号 ゆ・1(1)

弓削公明がロサンゼルス地震研究所を辞めたのは一ヶ月前だった。
地震は環太平洋地域が多く、それに伴って地震学も進んでいる。
弓削はNASAと米人工衛星協会との提携に基づく地盤変化を担当していた。
アメリカ西海岸は時に大きな地震が発生する。
研究は地震予知の為だった。
当然、対象は北アメリカ本土だった。

南米も大きな地震が多く発生する。
だが、プレートが離れすぎているので、関連しているとは考えられない。
今の地震学は、プレートが違うと影響はあっても直接関係は無いとしている。
もちろん、太平洋を挟んだ日本やインドネシアなどの地震は参考データでしかない。
USA本土が何よりも重要なのだ。
世界が滅んでも、USA本土さえ無事ならいいのだ。
口には出さないが、政府や多くのアメリカ人の本音だと思われる。

研究所や研究環境は日本より遥かに整っている。
実力主義の研究者としてなら、アメリカは住みやすいともいえる。
だが、次第にアメリカの本音に嫌気が湧いてきていた。
市民権を得て、法的にアメリカ人になっても、アメリカ人ではない。
アメリカ人は白人優性思想が根底にある。
公には白も黄も赤も黒も茶も平等だというが、本音が違うのは誰でも知っている。
よく日本人は本音と建て前が違うというが、文明社会国のほとんどが違うのだ。

ロシアも中国もイギリスもフランスもブラジルもインドも建前と本音は違う。
社会という組織を成り立たせる限り、違って当然なのだ。
本音だけなら、争いはすぐに表面化して、その先は滅びるしかない。
建前と本音が違うから嫌というのは、無知と無理解というわけだ。
弓削もそんな事はわかっている。
嫌なのは、差別される側で、しかも人種は変えようがないからだった。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・947」

2016-06-18 18:22:00 | Weblog



カルテ番号 や・6(85)

茂木滋は穏やかに頷いた。
「住むには、いいかもしれんな。
仕事をするには過疎すぎるが・・・
会社はあそこよりも、県の中央寄りを考えている。
通勤は車で30分くらいじゃろう。
柳さんが、それでよければ入社してくれると助かる」

玲香は深く礼をした。
「就職まで決まって、不思議です。
引っ越しが仕組まれているかと思うほどです。
何から何まで、急展開で新しく変わりました。
私にとって皆さんと一緒に仕事が出来るのは嬉しいです。
一所懸命やらせていただきます」

玲香は思った。
自分の長寿族としての変化は起こっただろう。
だが、この人達に出会わなければ同族の先生とも出会えない。
たった一人で、自分の身に起きた事に戸惑っていただろう。
淋しいだけの長い一生に耐えられないかもしれない。
それを思うと、この人達は命の恩人といってもいい。
最後まで付き添っていこうと決心した。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・946」

2016-06-17 19:04:44 | Weblog



カルテ番号 や・6(84)

茂木滋が玲香に言った。
「柳さん、会社を辞めたのなら、どうじゃろう?
ワシ等の会社で働いてくれぬかの。
対象が高齢者だが、柳さんのような若い人の感覚も必要じゃ。
単なる仕事ではなく、きっと柳さんの人生の糧になると思う」
三木裕子と明木礼子も言った。
「柳さんが来てくれるなら、とても嬉しいわ。
実践的な実力がとても高いと聞いていますし・・・
何よりも、ここでは相性が最優先します。
柳さんなら、私達も安心して一緒にいられます」

玲香は嬉しかった。
もともと三木裕子や明木礼子のようになりたかったのだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします。
会社を辞める事と引っ越す事だけを考えて行動していました。
今後の仕事の事など、何も決まっていなかったのです。
当分、貯金で暮らしていこうかと・・・
でも、茂木社長や明木さん、三木さんとなら、私も嬉しいです」

茂木滋は言った。
「そうすると、やはり引っ越し先は関東北部ということになりそうじゃな。
皆さん、それで段取りを進めていいかな?
住むところもワシに任せてくれんか?
よかったら、柳さんの分も用意するぞ」
玲香は笑顔で言った。
「ありがたいのですが、もう決めてしまったのです。
あの先生のいる町です」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・945」

2016-06-16 20:02:45 | Weblog



カルテ番号 や・6(83)

玲香を除いた三人は楽しそうだった。
茂木滋が新たな会社を立ち上げた。
そのスタッフというか、幹部というかが三木裕子と明木礼子だ。
共通の基盤がある。
人生を愉しもうとする意欲がある。
何処に住むか、というのは、それほど大きな問題ではない。
第二の人生なのだ。

暮らす、生活する、というのが第一目標の場合。
何処に住むか、というのはとても大きな問題だ。
一度住めば、簡単に変えるわけにはいかない。
だが、愉しむ人生の為なら、住むのは副条件だ。
具合が悪ければ、引っ越せばいい。
優先順位は、愉しく生きる事だから、当然だ。

明木礼子が玲香に言った。
「まだ確定ではないけれど、私達も近いうちに引っ越すわ。
多分、柳さんや院長のいる近くになると思うわ」
三木裕子も言った。
「私も、あの先生にはお世話になっている途中なの。
まだまだ、秘密の教えを沢山受けたいと思っているのよ」
三木裕子は明るく、そして女としての表情をした。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・944」

2016-06-15 19:32:05 | Weblog



カルテ番号 や・6(82)

人は人の寿命があるから、その範囲内で何かをする。
寿命まで持つかどうかを考慮して、急いで生きる。
生きる事は、死ぬ事までだと知っている。
せいぜい100年。
人生は短い。
不慮の出来事がなくても、あっという間だ。

その100年間、不慮の出来事が起こらない方な僅か。
つまり、ほとんどは不慮の出来事と遭遇しているのだ。
そこを乗り切って、本来の寿命を迎えられる。
順風満帆の人生など、珍しいのだ。
ということは・・・
長寿族にとって、不慮の出来事は幾度も幾度も出会う。
通常の人の10倍は出会う。

長寿族といえど、基本は同じ。
事故、病気、天災、人災、会えば大きなダメージだ。
もちろん、簡単に死を迎える事もある。
だからこそ、危険には敏感に対応しなければならない。
人生を謳歌するのは、その合間にするだけだ。
普通の人間は、普通の寿命だからこそ人生を愉しむ事ができる。
長寿族も愉しめるが、割合はとても少ないのだ。
長寿族は・・・厳しく、淋しい人生を歩く。
玲香はあらためて、そう感じていた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・943」

2016-06-14 20:09:04 | Weblog
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カルテ番号 や・6(81)

玲香が引っ越すと言った事が引き金となった。
人が決断するのは、思ったよりも速い。
三木裕子、明木礼子、茂木滋の三人も引っ越す事となった。
しかも、仕方なくではない。
積極的な移動といってもいいだろう。
三人共、表情が明るい。

大地震が不安だから引っ越す。
玲香はそう言ったのに、もっと前向きに計画している。
逃げ出す、という意識ではない。
今よりも愉しみが増える移動だという意識だ。
玲香は、自分とは違う人達だと感じた。
いいや、自分が違う人間になってしまったのだ。

少ない残りの人生を、より積極的に生きようとする。
そういう三人を素晴らしいと思う。
だが、自分の感覚とは違う。
玲香は危険を避ける為に引っ越すのだ。
もっともっと生き延びる為に引っ越すのだ。
危険を察知したから移動するのだ。
積極的に人生を謳歌する為ではないのだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・942」

2016-06-13 19:22:04 | Weblog



カルテ番号 や・6(80)

ここで茂木滋が口を開いた。
「ワシは80じゃ。
男の平均寿命まで生きた。
会社を立ち上げ、大きくした。
社会的にいえば、成功者だろう。
引退して、正直、生きる意欲が薄れていた。
そして、明木さんや三木さんに出会った」

茂木滋は、ゆっくりと息を吐いてから再び話し始めた。
「あの先生と出会い、また生きる愉しみが湧いてきた。
ワシも寿命とは関係なしに、もっと生きたいと思う。
今度の事業は単なる商売とは違う。
第二の人生を送る人の手助けとなる内容じゃ。
80歳、90歳、100歳を超える人達も対象じゃ。
それには、ワシも見本となって、ハツラツと生きる意欲がある。

そして、第二の人生を送る高齢者は、何処にでもいる。
いいや、日本中が高齢者社会じゃ。
どうせなら、一からやってみようと思う。
ワシは、明木さんや三木さんの話を聞いていて、心が震えた。
もっと面白くなってきた、と思ったのじゃ。
どうじゃろう。
皆で引っ越そうではないか。
大丈夫。生活は出来る」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・941」

2016-06-12 19:45:28 | Weblog



カルテ番号 や・6(79)

明木礼子が玲香に話しかけた。
「柳さん、あの先生は地震に関して、本当に何も言わないの?
それとも、話せないような内容を言ったの?
話せる範囲で教えて下さいね。
おそらく誰にでも話していないのでしょうね。
何か知っていても、話さない先生だし・・・」

玲香は明木礼子と三木裕子の目を見て言った。
「あの先生の時間の基準はとても永いようです。
その観点からなら話してくれました。
必ず、何処にいても、地球上、いいえ、宇宙のどの星でも安全はない。
安全は無い、というのが基本だそうです。
その上で、限りある命の本来の寿命を生きるのが役目。
そんな風な内容でした」

明木礼子が訊ねた。
「生きている間の危険は、どう判断するの?」
玲香が答えた。
「勘とか感覚で判断する方がいいようです。
私は自分の感覚に従って、今回の判断をしました。
別に先生に勧められたわけではないです。
人の生き方は命が懸っていても、本人の選択だそうです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・940」

2016-06-11 21:41:23 | Weblog



カルテ番号 や・6(78)

三木裕子は一呼吸して話を続けた。
「毎日を充実させれば、例え大地震が起きてもいい。
そんな風に理屈で考えていたわ。
でも、それは嘘。
生きる事が愉しくなってきたからこそ、もっと生きたい。
毎日が貴重だからこそ、危険は避けたい。
私も・・・ここを離れたい・・・」

明木礼子も言った。
「私は一人で暮らしているの。
裕子さんも茂木さんも同じく一人暮らし。
裕子さんの本音は今聞いたわ。
茂木さんの気持ちはわからないけれど、私も家に未練がないわ。
具体的に何処に行きたい、というのはないけれど・・・
私、いつでも引っ越すことができるわ。
裕子さんが行くなら、私も一緒に行こうかな」

茂木滋は黙っていた。
玲香はやなり話してよかったと思っている。
あくまで本人の生き方だから離れる事を勧めはしない。
自分は離れる、と宣言するだけだ。
それで、この地域から引っ越してくれるなら嬉しい。
それと、三木さんや明木さんも感じているような気がした。
このまま、ここに住んでいては危ない、と。

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