春爛漫(はるらんまん)、辺り一面にあふれんばかりに、花明りが光り輝いている。
これは花桃(はなもも)と杏(あんず)の花だろうか? 桃、赤、白、薄黄色と、今ま
さにこの世の春を謳歌している。
ひと昔前ならば、片田舎では集落の人々がこの花の下に集い、花見酒が始ま
ったものだ。
こんな綺麗な桃の花(木)が、今では民家の庭先、道端に事もなげに植えてあ
るのだから、当世、花を愛でる環境も趣も、随分と変わってきた感がある。
当地では、桜の花はぼちぼち散り始めて来ているが、後に控える花々が、次
から次へとフラワー・リレーのごとく咲き継がれてゆく。
「代悲白頭翁」 劉希夷(劉廷芝)
洛陽城東 桃李の花
飛び來り飛び去って誰が家にか落つる
洛陽の児女は顔色を惜しみ
行く行く落花に逢うて長嘆息す
今年花落ちて顔色改まり
明年花開いて復(ま)た誰かある
已に見る松柏の摧(くだ)かれて薪となるを
更に聞く桑田の変じて海となるを
古人復(ま)た洛城の東に無く
今人還(ま)た対す落花の風
年年歳歳花相い似たり
歳歳年年人同じからず
~今日も良い一日であります様に~
(垣根越しに桃の花が咲き乱れている)