タカちゃんの絵日記

何気ない日々の感動を、スケッチと好きな音楽と、そして野鳥写真を。。。

群れ立つ千鳥が智恵子をよぶ。 ちい、ちい、ちい、ちい、ちい――  (智恵子抄より)

2014-04-29 | 風景

日差しが顔に暖かい、今日は久し振りに海を見るため、半島の浜辺に降り立ってみた。

エメラルドグリーンの海と、スカイブルーの空とが、水平線でくっきりと分断され、その彼

から、幾重にも幾重にも押し寄せてくる、波の柱が白く輝き折れて美しく、空にはカモ

メが、緩やかな春風を翼いっぱいに受け止めて、まるで空を滑るようにゆったりと飛ん

でいる。

ひねもすのたり、春の浜辺に座して、水平線の向こうをボンヤリと眺めていると、心の中

まで解き放たれて、とても伸びやかな気持ちになることができる。

こんな時には、何となく、私の好きな高村光太郎の詩歌が頭の片隅に浮かんでくる。

光太郎が、愛する智恵子を詠んだ詩に思いを馳せ・・・・また、浜辺の似合う“日野てる

ハワイアン歌手)の、「夏の日の思い出」や「ワン・レイニーナイト・イン・トーキョー」を口

ずさんでしまっている。                                                              

千鳥と遊ぶ智恵子」 ~智恵子抄より~                                                        人つ子ひとり居ない九十九里の砂浜の
砂にすわつて智恵子は遊ぶ。
無数の友だちが智恵子の名をよぶ。
ちい、ちい、ちい、ちい、ちい――

砂に小さな趾(あし)あとをつけて
千鳥が智恵子に寄つて来る。
口の中でいつでも何か言つてる智恵子が
両手をあげてよびかへす。
ちい、ちい、ちい――

両手の貝を千鳥がねだる。
智恵子はそれをぱらぱら投げる。
群れ立つ千鳥が智恵子をよぶ。
ちい、ちい、ちい、ちい、ちい――

人間商売さらりとやめて、
もう天然の向うへ行つてしまつた智恵子の
うしろ姿がぽつんと見える。
二丁も離れた防風林の夕日の中で
松の花粉をあびながら私はいつまでも立ち尽す。

      ~貴方にとって、今日も良い一日であります様に~