紅葉が山々を鮮やかに染め上げる季節になって来ると、その一方で華や
かだった色合いの花々は、次第に野山から影を潜め、やがて姿も見られな
くなって行く。
そんな中で、今も野原には、咲き遅れた背高のっぽの「タンポポモドキ」の
黄色い可憐な花が、花の絨毯を敷いた様な風情を見せている。
腰高く伸びた茎の先に、宙に浮いた様に咲く花は、秋風がそよ吹く度に、ま
るで誰かに号令でも掛けられた様に、一斉になびき揺れ、まるで秋風の足
跡を見ているようだ。
この花の故郷はヨーロッパの地で、今から約90年ほども前、はるばると海
を越えて我が国に渡来し、その後帰化したようだ。
その名は、およそ可憐な花には似ても似つかわしくもない、「タンポポモド
キ」(タンポポによく似た偽物?)とか、「ブタナ」(豚菜:豚のサラダ)と呼ば
れ、聞けば親戚には「カワリミタンポポモドキ」(変わり身?)とか、一族揃っ
て、あまりありがたくない名前を頂戴しているのだが・・・・・春から秋に掛け
ての一年の半分ほども、公園や野原などで、道行く人の心を和ませてくれ
ている花である。
今日も、無数の花が宙に浮き、風に吹かれて、一斉になびき揺れる様は、
絵も言えぬ趣を感じさせてくれている。
~今日も良い一日であります様に~