とだ*やすこの「いまここ@島本」

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大阪府島本町議会議員
とだ*やすこの活動報告

今生を巴里に生き抜き走馬灯

2021年08月16日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
今生を巴里に生き抜き走馬灯 靖子

送り火
街灯消し送り火の京となる
衆生を水辺に寄せし大文字
京の夏亡き人の過去妙と燃ゆ


走馬灯
今生を巴里に生き抜き走馬灯
神仏に寄り添ひて生き蝉しぐれ
蛇穴に入る今日を生き明日を生き


秋立つ
右摂津左山城蝉しぐれ
鐘の音に勝るる風情秋の蝉
高からぬ山そこにあり里の秋

夏祓五臓六腑に風沁みる

2021年06月21日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
夏祓五臓六腑に風沁みる 靖子


神の宮
境内の広さを区切り茅の輪立つ
譲りあひつつ一列に茅の輪かな
名水を御神水とし夏祓


初夏の色
沙羅の花生きた証の白を置く
畝ごとに整ひし色紫蘇畑
紫陽花の色と色とに隙間なく


移ろい
忘却といふ軽きこと濃紫陽花
耳よりの噂話に薔薇の棘
大屋根を溶かすごと降り梅雨動く



眼鏡買ふ憲法記念の日を選び

2021年05月03日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
眼鏡買ふ憲法記念の日を選び  靖子

祈り
十薬は地を這う祈り民の花
十薬の眩しき白に祈りあり
どくだみや花はクルスに支へられ


万緑
濃く淡く緑を重ね山笑う
万緑に埋もれてをりし美術館
湧き水を抱へて山は万緑に


五月
やはらかき風を紡ぎし小米花
青楓空を涼しくしてをりぬ
五月鯉風太くして翻る



山崎の地酒は洋酒山笑う

2021年04月05日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
山崎の地酒は洋酒山笑う  靖子

天王山
山ひとつ翻しをり親つばめ
よくみれば美女と美男の燕かな
招福とききて訪ひたる寺に花


身の丈
花吹雪風の修辞でありにけり
描かれしアネモネは赤巴里の色
小米花身の丈だけの華やかさ


桜井
鶯の朗らかなりし里の春
達筆の禁ず立入げんげ畑
街道に筍を売る里の人

花時計秒針春へと傾きぬ

2021年03月06日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
空の色春へ春へと色を足し  靖子

春へ
花時計秒針春へと傾きぬ
緯糸に春の色ある紬かな
うららかや漱石も来し宝寺

ものの芽
廃墟にてものの芽騒ぐ朝の道
歳月を重ねくの字の柳芽に
ものの芽やそれぞれの春告げてをり

春光
木蓮の咲き街道にある歴史
野水仙群れて路肩の色となり
春光を纏う如来の納衣かな

かけ声は福は内だけ春隣

2021年02月01日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
かけ声は福は内だけ春隣 靖子

如月
節分や和菓子の角の青い鬼
キサラギと声にしてみる春隣
止まりそで止まらぬ水車春浅し

冬花
寒椿まことの己とは孤独
黄水仙つひに白髪を染めし朝
一輪の室花の黄に励まされ

紅梅
咲き初めし梅の色打つ夜の雨
老梅や幹のうねりに紅をおく
散りてなほ土に色添へ梅は梅

初春や叶結びの赤と白

2021年01月03日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
初春や叶結びの赤と白  靖子


はじまり
門松を知らぬ息子の新世紀
着ぶくれて肩の凝るこる初戎
人形屋で干支の根付を買ふて春


ふるさと
初比叡京も淡海も晴れてをり
故郷に赤城山あり空風
雑煮椀かかあ天下の隠し味


ぬくもり
桜榾炎の綾を紡ぎをり
懐炉炊き声いっぱいの火の用心
左義長の火を守る人の風をよむ


シテ方は人間国宝年の暮

2020年12月08日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
シテ方は人間国宝年の暮 靖子


大地
早生蜜柑わっとほっぺが若返る
葉大根大地の気力いただけり
冬耕の背中に薄日ひとりじめ


喝采を浴び花束は冬薔薇
懐炉炊き声いっぱいの火の用心
添水鳴りひたと万物静止する

句読点
年の瀬に心の煤を払ひおく
端正に後を生きよと古暦
人生に句読点あり日記買ふ



銀杏散るマチスの色に街を染め

2020年11月24日 | 花鳥諷詠☆いまここ俳句
銀杏散る
マチスの色に街を染め  靖子


樹々
この道や阿修羅のごとく紅葉燃ゆ
色ごとに違う音あり落ち葉踏む
枯葉散る風に音符を乗せるごと

小さきもの
お砂場にままごと遊びの赤まんま
かけっこの吾子の泣きべそ猫じゃらし
コスモスに花摘む吾子の埋もれをり

醗酵
酵母とは酒の魔術師今年酒
沢庵を漬ける手際の母に似る
晩秋やウヰスキーの色濃く淡く