震災、戦禍、犯罪、そして選挙の在り方などニュース報道に心を痛める一年でした。辟易した突然の衆議院解散でしたが、秋の選挙を経て国会の質疑答弁に刺々しさが減ったように思えるのはわたしだけでしょうか。
年が明けたら島本町庁新庁舎が完成します。入り口側から竣工が近い様子をみることができます。来年(5月予定)のお引っ越しを前に、この際、会派室に置いていた資料を思い切って処分しました。
どのファイルにも活動の歴史が詰め込まれています。ですが過去10数年、とりわけ見返すこともなく次々に新たな課題に向き合ってきたのです。町長が変わったことによって多くのことが劇的に変化し、議員としての仕事の質も変わりました。
12月定例会議では議場でのタブレット使用を試行的に行いました。紙ベースの資料(毎回想像を絶する量です)を失くしていこうという取り組みは業務改善と環境負荷、どちらにも効果があるはずです。
さて、今年最後、12月定例会議の一般質問のひとつは「連続テレビ小説『虎に翼』が伝えたかったこと」。事実婚※について現状を確認し、性的少数者の人権と同性婚について気づきを得ようとする質問です。
平等であること、自由であること、幸せでありたいと思うことは、日本国憲法に「基本的人権」として定められています。
性的少数者の基本的人権を考えるとき、わたしたちが行うべき不断の努力の延長線上にあるのは、必ずしも他のだれかの理解や寛容ではなく、社会的権利の平等でなければならないと、とだ*やすこは考えます。
※ここでいう事実婚とは、当事者間の主体的・意図的な選択によって婚姻届を出さないまま同居し、共同生活を営む場合の事実婚をいいます。
以下、質問&答弁の要約です。 文責:とだ
Q
事実婚であることの証明について
男女がともに生活して家族を形成するにあたり、事実婚を選択する場合、法律婚の夫婦と同等の社会保障を受けるためには、夫婦関係の事実を証明する必要が生じますが、どのような証明が必要になるのでしょうか。
☚
公的な書類として「事実婚証明書」といったものはありません。年金制度など一部の制度において、住民票の続柄欄に「妻(未届)」や「夫(未届)」と記載することにより、それをもって準婚として法律上の夫婦関係と同様の取扱いを受けてることができています。
住民票は、事実婚を判断する公的書類の中で、最も有力な証拠となっていますが、実は「世帯主との続柄」の具体的な記載は、各自治体に任されています。
Q
住民票の記載について
住民票の続柄に「妻(未届)」や「夫(未届)」と記載されていれば、双方に婚姻の意思があり入籍はしていない(事実婚)と確認できるとされています。本町でもそういった記載を行っているという理解でよいでしょうか。
☚
自治体によって「妻または夫(未届)」との記載を認めず、「同居人」や「縁故者」と記載する場合もあるようです。島本町では、妻または夫の未届の記載を求められた場合、事実婚状態であることを申し立てのうえ、次の3点の事項を確認しています。
1.未届と記載される方自身が窓口で手続きをされること
2.請求者の二人が戸籍上どなたとも婚姻状態にないこと
3.請求者の二人が婚姻年齢(18歳)に達していること
これらのことを確認したうえで、妻あるいは夫(未届)と記載しております。
男女が婚姻届けを出さないで生活する理由としては、「夫婦別氏」の他にも「戸籍制度への反対」などがあるかと思いますが、法律上の同性結婚が認められていない現在の日本では、同性カップルは事実婚の状態にならざるをえないという現状があります。
※
現在の民法のもとでは、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければなりません。「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」とは、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。
一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれていますが、民法等の法律に準じて法務省では「選択的夫婦別氏制度」としています。本質問では性別の性と区別する意味において、わかりやすいように氏と述べることとしました。
Q
社会保障について
社会通念上、男女の間で、共に生活するという合意があり、なおかつ、共同生活を行っているという事実があり、事実上、法律婚と同様の関係性にあると認められた場合、国民年金の第3号被保険者となることは可能ですか。
☚
国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法等の用語の定義において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする、とそれぞれに規定されています。
事実婚の配偶者であっても国民年金の第3号被保険者となることは可能で、遺族年金の受給も可能です。
※
厚生年金保険等に加入している会社員の方に扶養されている配偶者で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方は、国民年金の第3号被保険者となることができます。130万円の壁と呼ばれています。
現在の日本では、同性のカップルは、異性間の婚姻に比べて著しく不平等な状況に置かれています。同性婚が法的に整備されていないのは、主要7カ国で日本だけです。
家族のあり方や家族観は、いかなる文化圏においても、常に歴史的に変化し続けて、現在に至っているはずです。
「共生社会の実現を目指す条例」を制定されているある市の職員がおっしゃいました。「つがいをつくる動物には必ず同性カップルがいて、同性カップルがいる群れにはストレスが少ないことが研究結果として明らかになっている。一方で、なぜ、人は異性を好きになるのか、実はわかっていない」と。
「群れ=社会」としての健全性を考えるとき、少数者の存在がいかに重要かという気づきをいただきました。同性婚を認めることは、誰もがもっと生きやすい社会への一歩になると、とだ*やすこは考えます。
今年3月、同性婚を認めないことは、婚姻の自由を保障した憲法条文に違反するという札幌高裁判決がありました。10月には東京高等裁判所が違憲と判断しました。
日本国憲法に定められている「基本的人権」は、自由や権利は国や他の誰かから与えられるものではなく、「すべて人間は生まれながらに、自由かつ平等で、幸福を追求する権利をもつ」という自然権思想によるものです。
現在の日本において、同性間の婚姻を合法化することは、人が尊厳を持って生きる権利を尊重することであり、性的多数派がそれを拒んだり、阻んだりできるものではありません。このことを訴え、今年最後の一般質問を終えました。
2025年・令和7年がよりよき年となりますように☆彡
追記
この一般質問を行った日(12月13日)、福岡高等裁判所(2審)が「同性カップルによる婚姻を法制度として認めない理由はもはや存在しない」と指摘し、幸福追求権を保障した憲法13条に違反するという初めての判断を示しました。国に法整備の必要性を強く迫る判決でした。
画像
新庁舎建設
12月26日撮影
年が明けたら島本町庁新庁舎が完成します。入り口側から竣工が近い様子をみることができます。来年(5月予定)のお引っ越しを前に、この際、会派室に置いていた資料を思い切って処分しました。
どのファイルにも活動の歴史が詰め込まれています。ですが過去10数年、とりわけ見返すこともなく次々に新たな課題に向き合ってきたのです。町長が変わったことによって多くのことが劇的に変化し、議員としての仕事の質も変わりました。
12月定例会議では議場でのタブレット使用を試行的に行いました。紙ベースの資料(毎回想像を絶する量です)を失くしていこうという取り組みは業務改善と環境負荷、どちらにも効果があるはずです。
さて、今年最後、12月定例会議の一般質問のひとつは「連続テレビ小説『虎に翼』が伝えたかったこと」。事実婚※について現状を確認し、性的少数者の人権と同性婚について気づきを得ようとする質問です。
平等であること、自由であること、幸せでありたいと思うことは、日本国憲法に「基本的人権」として定められています。
性的少数者の基本的人権を考えるとき、わたしたちが行うべき不断の努力の延長線上にあるのは、必ずしも他のだれかの理解や寛容ではなく、社会的権利の平等でなければならないと、とだ*やすこは考えます。
※ここでいう事実婚とは、当事者間の主体的・意図的な選択によって婚姻届を出さないまま同居し、共同生活を営む場合の事実婚をいいます。
以下、質問&答弁の要約です。 文責:とだ
Q
事実婚であることの証明について
男女がともに生活して家族を形成するにあたり、事実婚を選択する場合、法律婚の夫婦と同等の社会保障を受けるためには、夫婦関係の事実を証明する必要が生じますが、どのような証明が必要になるのでしょうか。
☚
公的な書類として「事実婚証明書」といったものはありません。年金制度など一部の制度において、住民票の続柄欄に「妻(未届)」や「夫(未届)」と記載することにより、それをもって準婚として法律上の夫婦関係と同様の取扱いを受けてることができています。
住民票は、事実婚を判断する公的書類の中で、最も有力な証拠となっていますが、実は「世帯主との続柄」の具体的な記載は、各自治体に任されています。
Q
住民票の記載について
住民票の続柄に「妻(未届)」や「夫(未届)」と記載されていれば、双方に婚姻の意思があり入籍はしていない(事実婚)と確認できるとされています。本町でもそういった記載を行っているという理解でよいでしょうか。
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自治体によって「妻または夫(未届)」との記載を認めず、「同居人」や「縁故者」と記載する場合もあるようです。島本町では、妻または夫の未届の記載を求められた場合、事実婚状態であることを申し立てのうえ、次の3点の事項を確認しています。
1.未届と記載される方自身が窓口で手続きをされること
2.請求者の二人が戸籍上どなたとも婚姻状態にないこと
3.請求者の二人が婚姻年齢(18歳)に達していること
これらのことを確認したうえで、妻あるいは夫(未届)と記載しております。
男女が婚姻届けを出さないで生活する理由としては、「夫婦別氏」の他にも「戸籍制度への反対」などがあるかと思いますが、法律上の同性結婚が認められていない現在の日本では、同性カップルは事実婚の状態にならざるをえないという現状があります。
※
現在の民法のもとでは、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければなりません。「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」とは、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。
一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれていますが、民法等の法律に準じて法務省では「選択的夫婦別氏制度」としています。本質問では性別の性と区別する意味において、わかりやすいように氏と述べることとしました。
Q
社会保障について
社会通念上、男女の間で、共に生活するという合意があり、なおかつ、共同生活を行っているという事実があり、事実上、法律婚と同様の関係性にあると認められた場合、国民年金の第3号被保険者となることは可能ですか。
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国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法等の用語の定義において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする、とそれぞれに規定されています。
事実婚の配偶者であっても国民年金の第3号被保険者となることは可能で、遺族年金の受給も可能です。
※
厚生年金保険等に加入している会社員の方に扶養されている配偶者で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方は、国民年金の第3号被保険者となることができます。130万円の壁と呼ばれています。
現在の日本では、同性のカップルは、異性間の婚姻に比べて著しく不平等な状況に置かれています。同性婚が法的に整備されていないのは、主要7カ国で日本だけです。
家族のあり方や家族観は、いかなる文化圏においても、常に歴史的に変化し続けて、現在に至っているはずです。
「共生社会の実現を目指す条例」を制定されているある市の職員がおっしゃいました。「つがいをつくる動物には必ず同性カップルがいて、同性カップルがいる群れにはストレスが少ないことが研究結果として明らかになっている。一方で、なぜ、人は異性を好きになるのか、実はわかっていない」と。
「群れ=社会」としての健全性を考えるとき、少数者の存在がいかに重要かという気づきをいただきました。同性婚を認めることは、誰もがもっと生きやすい社会への一歩になると、とだ*やすこは考えます。
今年3月、同性婚を認めないことは、婚姻の自由を保障した憲法条文に違反するという札幌高裁判決がありました。10月には東京高等裁判所が違憲と判断しました。
日本国憲法に定められている「基本的人権」は、自由や権利は国や他の誰かから与えられるものではなく、「すべて人間は生まれながらに、自由かつ平等で、幸福を追求する権利をもつ」という自然権思想によるものです。
現在の日本において、同性間の婚姻を合法化することは、人が尊厳を持って生きる権利を尊重することであり、性的多数派がそれを拒んだり、阻んだりできるものではありません。このことを訴え、今年最後の一般質問を終えました。
2025年・令和7年がよりよき年となりますように☆彡
追記
この一般質問を行った日(12月13日)、福岡高等裁判所(2審)が「同性カップルによる婚姻を法制度として認めない理由はもはや存在しない」と指摘し、幸福追求権を保障した憲法13条に違反するという初めての判断を示しました。国に法整備の必要性を強く迫る判決でした。
画像
新庁舎建設
12月26日撮影