徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

ボルダリングのあるイエ物語-1

2024-02-16 08:11:27 | 建築家との家づくりの流れ
 以前書いたブログを紐解き、建て主と建築家の家づくりに関する物語を再度綴ってみたいと思います。
 
 まずは2022年に完成した「ボルダリングのあるイエ」の物語です。



 2022年6月に完成引き渡しを終えたボルダリングのあるイエ。

 建て主のご主人は10数年前からの知り合い。ご主人のご両親と私は同世代で高校の先輩後輩という間柄。

 家づくりの相談に私を頼ってきたのは必然の流れだった。

 

 最初に会ってヒアリングを行い、若夫婦の住宅に対するかかる費用や資金計画の理解度が少し低かったと感じた。

 ご主人の職業を考えればもっと借りられるし返せると思った私は、先ずライフプランニングを行うことをお勧めした。

 人生に一度の家づくり。資金計画は大事な要素だし、避けては通れない道。

 すぐさま知り合いのライフプランナーに連絡を取った。

 ライフプランニングとは、今現在の家計簿を見える化し、これからの家族構成を想定しながら40~50年先までの人生の収支計算をしていく作業。

 ライフプラングって何?から始まった第1回目。1回目はライフプランニングの説明と必要性を説き終了。

 2回目から徐々に本丸に進んでいく。

 建て主の経済状況の把握作業には、夫婦お互いの収入、家族の月々の支出をライフプランナーに報告していく。

 時には領収証、銀行の通帳から口座引き落とし額や、実際につけいている家計簿を細かくチェック。

 今後子供は何人欲しいか。子供は大学に入れたいか?その大学は国立か、私立か等々…。それによって子供の教育費も試算。

 そしてその中には、家づくりの資金計画も含めて収支計算をしていく訳である。

 3回に渉るライフプランニングから、この家族の家づくりの資金計画を含めた人生設計ができた。

 この夫婦、住宅ローン返済を含めた人生収支設計で赤字になる年がないことが判明。

 ライフプランナーも住宅建設に太鼓判を押した。

 さて、住宅資金がクリアになった上で、どんな家を建てたいか、規模やこだわる部分等を改めてヒアリングを行うこととなる。

 ~つづく~
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建築家の流儀-6

2024-01-24 07:53:19 | 建築家との家づくりの流れ
 工事中もクライアント(建て主)との打ち合わせは続きます。

 工事の進捗状況や材料の発注に伴う決め事を打ち合わせて行くのです。

 クライアントからの設計内容にの変更要望についてもこの場で協議。

 

 クライアントの意向に従って変更内容を協議しますが、その際、変更した場合の金額の増減も併せて提示します。

 金額の提示をし了承を得てから変更工事を行うのが我々の流儀。

 変更金額の大小によって、やるやらないの判断になることも多々あります。

 これをやらないのが町の工務店や大工さん…。

 皆がそうだとは言いませんが、金額を提示せずにやって後からトラブルになることを何度か見てきました。

 クライアントへの情報開示と意思疎通は大切なファクターなのです。

 もちろん工事期間中に工事の内容が設計内容に合致しているかもチェックするのが設計者の役目。

 法的にOKか、クライアントの要望に合致しているか、そんな目でチェックしていきます。

 工事が始まってからも建築家(設計者)のやることは結構多いんです。

 このような作業を繰り返し家は完成します。

 工事に約5~6ヶ月。設計を始めてから1年越しの大プロジェクト。

 ここで気になるのが設計料と言われるもの。

 世間の相場は工事費の10%と言われます。当事務所もクライアントと協議になりますが、その相場程度頂いてます。

 工事費が少なければ設計料率はUPするし、工事費が大きければ設計料率は下る。

 設計料率が高いときは15~20%になるときも…。

 ここまで説明してきた我々建築家の役割、仕事ぶりをご理解いただけたでしょうか。

 家づくりの始まりは建築家との出会いから…。

 ~おわり~
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建築家の流儀-5

2024-01-17 08:04:20 | 建築家との家づくりの流れ
 見積書が提示され、その内容を精査し、クライアントとの協議がまとまれば工事契約へと移ります。

 契約と同時に工事工程表が提出され、どのぐらいの工期で住宅が完成するか…工事工程表を眺めながらワクワクすることでしょう。

 

 工事契約を交わすまでに、住宅ローンの本申請の段取りをクライアントには行ってもらいます。

 設計サイドは行政又は指定審査機関に建築確認申請を提出します。

 建築確認申請の許可が下りるまで≒1週間。許可が下りたら工事スタートです。

 工事スタート前に新築の場合地鎮祭を行います。

 地鎮祭はその土地に住む神様をを鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得る儀式。

 工事の安全を祈願する意味合いでも有り安全祈願祭とも言います。

 地鎮祭が済むと建物の位置出しから工事がスタート。基礎工事、木工事と進んでいきます。

 さて、工事中もクライアント(建て主)との打ち合わせは続くのです。

 ~つづく~
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建築家の流儀-4

2024-01-10 08:37:47 | 建築家との家づくりの流れ
 ハウスメーカーや設計施工一貫の工務店などに家づくりを依頼すると、他社との比較はできるがその比較が比較にならないのです。

 そもそも設計施工の場合、各社が思い描いた違う計画図面での見積となる為、金額だけでの判断にはならないからです。

 案と金額、施工業者の腕前等々から比較しなければいけません。

 そうなると比較のファクターが多くなり明白に比較をすることが困難。いい案だと思っても、他社が同じ案で安くできるかもしれない…。

 

 建築家に依頼すれば、半年かけて打合せしてきた理想の一案で見積書が出てきます。

 そうなれば比較のファクターは金額のみ。単純明快。建築家が推薦した施工業者であれば腕前は間違いはありません。

 数社からの見積が提出されると、査定という作業に入ります。見積書の内容(数量、金額)が適正かどうかをチェックする作業です。

 私の場合、提出された全ての見積書を査定することは無く、提出された中で一番安かった見積書を査定することにしています。

 この査定という作業、一般の人にはまずできません。

 一般の人が材料の一つ一つが高いか安いか判断するのは不可能。我々は今までやって来たデータがあるので、数量や金額の比較が可能。材料一枚からチェックします。

 査定が済んだ時には、建物のグレードを落さず数百万円金額が下ることも多々。

 あとは安い見積書を提示した施工業者とネゴ交渉。

 ネゴ交渉した金額でも予算オーバーであることが多いので、ここからは減額案の提示と採否の判断をクライアントと協議に入ります。

 協議の結果、金額が合意に達すれば工事契約となる流れになります。

 ここまでくれば設計作業はほぼ終了。約半年の年月をかけた設計から、後は工事の着工を待つばかりです。

 ~つづく~
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建築家の流儀-3

2023-12-27 07:48:37 | 建築家との家づくりの流れ
 基本設計終了時に概算工事費も算出し提示します。

 概算金額が予算と開きがある場合は、一部規模縮小、部分的な計画の変更・調整等を行いクライアントの予算に近づける作業を行う。

 計画内容、概算金額共にクライアントの承諾が出ると実施設計(詳細設計)へと移行。

 

 実施設計は計画の細部を決めていく過程。

 造作家具の詳細、冷暖房器具の納まり、各種スイッチ・コンセント類の位置の決定等、クライアント、他のセクション、メーカー等との打合せと図面を作図していく作業が続きます。

 この住宅設計における実施設計は私の場合大体2ヶ月~3ヶ月。

 図面が揃うと施工会社を決める為見積依頼を行います。

 依頼する施工会社は、クライアントの意向があればその施工会社に依頼。無ければ、私が選択した2~3社に依頼をかけることになります。

 さて、設計者を決定してから提案(≒1ヶ月)、基本設計(≒2ヶ月)、実施設計(≒2ヶ月~3ヶ月)と進んできた訳だが、ここまでおおよそ半年が過ぎています。

 設計作業とは1~2ヶ月程度でできる代物ではないということを認識してもらいたい。

 できるところもあるようだが、それは何も考えていない、考えようとしていない型(パターン)にはめ込むやり方です。

 我々建築家の作法としては、型にはめ込むようなやり方は御法度です。

 それは大量生産の会社や、設計は単なるパズルと思ってる会社にやってもらえばいいと個人的には思っています…。
 
 ~つづく~
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