徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

自宅に茶室を作る方法-3

2016-02-25 09:04:58 | 茶室の作る為の間取り・広さ・約束事
 炉には八通りの切り方がある、と言われます。その八通りの中から好き勝手に選んで切れば良いというものでも有りません。

 

 亭主から見て右手に炉が切られ、襖や壁が左手にある「本勝手切」が基本。その上で茶室の広さや点前座の位置に応じて、本勝手切、台目切、向切、隅炉の4つのパターンがあります。

 

 炉の寸法は、一尺四寸(≒42.5cm)角。深さは本炉壇で≒41cm、略式では30cmあればよしとされ、本炉壇は杉古材で作った箱組みに竹の下地を組み、土を塗り仕上げます。

 床下の深さが足りない場合は略式炉壇を採用します。特ににマンションでは、炉の深さが足りない場合が多いので略式炉壇がお勧め。

 

 炉を使用しない時は炉蓋畳という炉の形に作られた小さな畳を敷きこみます。炉蓋には桐材、松材が多く使用されます。真ん中に穴の開いた板蓋や、盛り上がった助炭(じょたん)といわれるものが有ります。

 機密性が高い現代の住宅事情では換気設備を設けたり、最近では炭をたかずに電気で炉を温める略式のものもあると聞きます。いずれにせよ酸欠には注意が必要ですね。


 ~つづく~
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自宅に茶室を作る方法-2

2016-02-23 08:39:55 | 茶室の作る為の間取り・広さ・約束事
 露地という茶室までのアプローチの庭には、寄合・待合がありそこに待機して茶室へと向かう。寄合待合は一般住宅の場合、住宅の中の一部屋を兼用する場合や、玄関に腰掛(ベンチ)などを置いて代用すること多々あります。

 

 露地の役割は、洗浄無垢な環境(心)作り出し、茶室を訪れた人を俗世間の喧騒から逃れさせる為です。

 予算が無い場合は庭に蹲(つくばい)だけ置いても立派な露地になります。

 露地には腰掛待合と言われる席入り前の合図を待つ空間が有りますが、これも先ほどの寄合・待合と一緒で玄関などを代用することが多く見受けられます。

 茶室への外部からの入り口は躙口(にじりぐち)と呼ばれます。誰もが自然に頭を下げた謙虚な姿勢で入らせる為、入口扉の高さは70cmに設定します。

 

 一般住宅でこの躙口を代用するのはブラインドやロールスクリーンを使います。

 縁側のサッシを躙口ととらえ、頭を低くする為にブランドやロールスクリーン、簾などを垂らして低い姿勢で入ってきてもらうようにします。

 以前やらせてもらった住宅にも、露地、待合、躙口等々設えました。


 ~つづく~
 
 
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自宅に茶室を作る方法-1

2016-02-18 09:34:48 | 茶室の作る為の間取り・広さ・約束事
 一昨年引き渡した住宅で茶室を設計させてもらった。そこで私が勉強した茶室についてちょっと触れることにします。

 

 建築の学生時代、茶室の造り・間取りを習うのだが頭の中には何も残っていなかった。再度独学で勉強することとなった茶室。クライアントから推薦された茶室(裏千家)の雑誌を購入し独学に深けた。

 茶室のルーツは中世の書院造の住まいに作られた接客の間にさかのぼる。桃山時代には、千利休によって書院造とは異なる、侘びの精神を尊び山中の庵を思わせる素朴な意匠を取り入れた「草庵」が大成されたと言われます。 

 茶室は広さで分けると原則3種類しかない。四畳半以下、四畳半、四畳半以上の3つ。草庵の基本となる広さは前述でも分るように四畳半。四畳半以下は小間席、四畳半は四畳半席、四畳半以上は広間席と呼ばれます。

 小間席は侘びの精神の元、狭い空間にも多用な変化と茶の湯の真髄がふんだんに取り込まれていおり、草庵の代名詞とも言われています。

 広間席はお稽古や茶会で出会うもっとも身近な茶室でしょう。書院造を基に、より自由度を高め、亭主好みの要素を取り入れ草庵風にデザインさせた席と言っていいでしょう。

 お茶の作法は茶室に入る前から始まります。茶会・茶事に招かれた客は寄付(よりつき)・待合で待機し、露地と呼ばれる庭を通って茶室に向かいます。

 一般住宅にこの寄付待合から露地を経由して茶室に入れるアプローチを確保し、設計することも大事になってきます。


 ~つづく~

 
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建築家の流儀-6

2016-02-16 09:32:01 | 建築家との家づくりの流れ
 工事契約交わすと新築の場合地鎮祭を行う。地鎮祭はその土地に住む神様をを鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得る儀式。工事の安全を祈願する意味合いでも有り安全祈願祭とも言う。

 地鎮祭が済むと建物の位置出しから工事がスタート。基礎工事、木工事と進んで行く。

 

 工事中もクライアント(建て主)との打ち合わせは続く。工事の進捗状況や材料の発注に伴う決め事を打ち合わせて行く。クライアントからの設計内容にの変更要望についてもこの場で協議して行く。

 そう、設計期間が終わり工事に移行したからといっても変更は完成するまで付いて来る。クライアントの意向に従って変更内容を協議するが、その際、変更した場合の金額も併せて提示する。

 金額の提示をし了承を得てから変更工事を行うのが我々の流儀。変更金額の大小によって、やるやらないの判断になるからだ。

 これをやらないのが町の工務店や大工さん。皆がそうだとは言わないが、金額を提示せずにやって後からトラブルになることを何度か見てきた。クライアントへの情報開示と意思疎通は大切なファクターである。

 もちろん工事期間中に工事の内容が設計内容に合致しているかもチェックする。法的にOKか、クライアントの要望に合致しているか、そんな目でチェックしていく。工事が始まってからも建築家(設計者)のやることは結構多い。

 このような作業を繰り返し家は完成する。工事に約5~6ヶ月。設計を始めてから1年越しの大プロジェクトである。

 ここで気になるのが設計料と言われるもの。世間の相場は工事費の10%と言われるが、私の場合は6~8%ぐらいが多い。

 工事費が少なければ設計料率はUPするし、工事費が大きければ設計料率は下る。設計料率が高いときは15~20%になるときも…。

 ここまで説明してきた我々建築家の役割、仕事ぶりをご理解いただけただろうか。家づくりの始まりは建築家との出会いから…。


 ~おわり~

 
 
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建築家の流儀-5

2016-02-12 08:51:23 | 建築家との家づくりの流れ
 さて、今まで設計作業の流れを書いて来たが、ここで少し消費税の話をしてみよう。

 予定では来年2017年の4月に消費税が10%ととなる。家を建てることは長い時間を要する訳であるが、来年の4月までに家が完成していれば、今現在の消費税8%で済むことは勿論のこと。

 

 家づくりは設計で5~6ヶ月、工事でも5~6ヶ月必要なので、設計を始めてから完成まで1年の歳月を要する。ということは…逆算すると今年の4月から家づくりに取り掛かれば来年の3月には完成できることとなる。

 そんなにうかうかしていられない…。

 そして住宅の場合、消費増税の経過措置というものもある。来年の3月までに工事が終わらなくても、今年の9月中に工事契約を交わしてしまえば、完成が来年の4月以降でも消費税は8%のままというルール。これが経過措置。

 そうなると、ハウスメーカーや設計施工の工務店が契約を早くしましょうと営業をかけてくることは必至。しかし、こだわりの家を建てたいのであれば、この口車に乗ることは避けたいもの。

 何も中身が決まっていない薄っぺらな状態で契約をしてしまうのは危険。工事が始まってから、契約内容にあれは入ってない、これも入っていないと追加工事の山になり、終わってみれば追加で何百万も請求書が来るということになる。

 ちょっと騙された感情が残ってしまう。2%のUP分に目がくらんで、数百万損した…とはなって欲しくない。やはりキチンと設計の内容をつめることはやらないといけないのだ。

 とすると…設計に5~6ヶ月必要なので、家づくりを考えてる人は結局、今年の4月ぐらいから設計に取り掛からなくてはならないということである。

 以前の消費増税のときのように、駆け込み需要がまた来ると思っていて間違いない。そろそろ家を建てる・建てようと思ってる人は、雪解けと同時に重かった腰を上げる必要があるというのが結論…。


 ~つづく~
 
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