先月同窓会の一環で、母校で職業別ガイダンスを行った。今年も我々幹事学年から11名の精鋭が講師役として選ばれた。清悦ながら、私も急遽来れなくなった医師の代打で登壇した。そのガイダンスの様子を収めたDVDを先週もらった。他の同期がどんな講師ぶりなのか、どんな仕事ぶりなのか、また自分の講師ぶりはどうだったのか、興味があったので早速視聴してみた。
講師は、編集社、イラストレーター、政治家、教師、エンジニア、公務員、検査技師、介護士、そして建築家と多岐にわたった。みんな立派に、自信を持って仕事をしている様子が伝わってくる。立派な40代だ。
さて、自分はというと…「建築家という生き方」というタイトルで講話したが、上手く高校生に伝わったのだろうか。高校時代、大学時代、サラリーマン設計士時代、そして独立してからと話したが、もっと独立後のことを話した方が、生徒たちに希望を与えられたのではないか。もっと具体的な設計作業の内容を多く語りかければよかった気もした。
映像を見ると、生徒たちは、私の描いたスケッチや作った模型を非常に関心深く見ていた。そして何よりも、楽しそうに話している自分がいる。話してる自分が楽しそうに見えるということは、間違いなく自分は楽しかったのであろう。事実、実際楽しかったのである。その雰囲気が生徒に伝わっていれば、この建築家という職業が楽しいものだ、やりがいのあるものだと伝わったに違いない。
1年前も母校(大学)の建築学科の学生相手に自分の経験を話ししたことがある。がその時と違い、今回は進路がまだ不確定な高校1年生。彼らの中にどのくらい建築に進む人間がいるかはわからないが、ガイダンスが終わってから、個人的にいろんなことを質問してきたり、模型やスケッチを再度見せて下さい、と来てくれた生徒がいたのは嬉しい限りだった。
高校1年の時に、私も建築を目指そうと決心した。少なからず何かの縁を感じる。目を輝かせながら、私のガイダンスを聞いた生徒の中から、将来建築家という人生を歩む人が出てきてくれるなら、こんな嬉しいことはない。「高校の時、碇谷さんから聞いた話がきっかけで」と言ってもらえる日が来ることを望んで止まない。
DVDと一緒に、ガイダンスを受けた生徒一人一人の感想文と、学年だよりが同封されていた。学年だよりを読み返すと、母校で教鞭をとっている同期の挨拶文が載っている。彼はこのガイダンスの責任者。「宝もの」というタイトルで、このガイダンスの様子を書いていた。生徒たちの感想文も一人一人のものを丁寧に読み返した。
こんな職業もあるよ、こんな生き方もあるよ、これからの選択肢になってくれれば…。