漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「伐バツ」<戈(ほこ)で人をきる> と 「筏バツ」「閥バツ」「蔑ベツ」

2013年08月31日 | 漢字の音符
 バツ・きる・うつ  イ部

解字 「イ(人)+戈カ(オノほこ)」の会意。甲骨文字と金文は、戈(オノほこ)の先を人の首をつらぬく形で人を斬るかたち。現代字は人と戈が並んだ伐になった。きる・うつ意を表す。
意味 (1)きる(伐る)。木を切り倒す。「伐採バッサイ」「伐木バツボク」 (2)うつ(伐つ)。殺す。「征伐セイバツ」「討伐トウバツ」「殺伐サツバツ」(平気で人を殺しかねないすさんだ雰囲気)

イメージ
 「きる」(伐・筏)
 敵を討って「手柄をたてる」(閥)
音の変化  バツ:伐・筏・閥

き る
 バツ・いかだ  竹部
解字 「竹(たけ)+伐(きる)」の会意形声。竹を伐って作ったいかだ。

筏流し(「京都先端科学大学・十二連筏(いかだ)復活プロジェクト」より)
意味 いかだ(筏)。竹や木をならべ蔓(つる)などで結びつけ水上に浮かべるもの。木材の運送や船の代用として用いる。「筏師いかだし」「筏流(いかだなが)し」

手柄をたてる
 バツ  門部
解字 「門(家の門)+伐(手柄をたてる)」の会意形声。戦争で手柄をたてた家や一族。
意味 (1)てがら。いさお。 (2)手柄を立てた家。家がら。家格。「門閥モンバツ」(家がら) (3)[国]ばつ。出身など同じくする者がまとまって排他的な立場をとること。「学閥ガガクバツ」「軍閥グンバツ」「財閥ザイバツ」「閨閥ケイバツ」(妻の一族の排他的つながり)


関連音符
    ベツ <呪力をもつ人を伐(き)る>
 ベツ・さげすむ  艸部    

解字 「苜ベツ+伐バツ」の会意。苜は、目の呪力を強めるために、目の上に呪飾りを加えている形。蔑はその呪力を持つ人を伐(き)って無力にすること。ないがしろ・さげすむ意となる。甲骨文・金文は目の呪飾りと人が一体的になっているが、篆文では人が戈の下になり、現代字の下部は戌に変化している。 
意味 さげすむ(蔑む)。ないがしろにする。あなどる。「軽蔑ケイベツ」「蔑視ベッシ
<紫色は常用漢字>



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