会[會] カイ・エ・あう 人部


こしき(甑)による調理(「高坂丘陵ねっと」より)
解字 甲骨文字は、甑(こしき:蒸し器)にフタをかぶせた形の象形。上図では下で火をたき、甕かめの水を沸騰させ、その蒸気で蒸し器(底に細かな穴がたくさんある)にいれた穀物などを蒸している。上のAがフタ(イラスト図版はナベブタになっている)、真ん中の日のような字がこしき、下の口が甕かめを表している。金文は「A(ふた)+田(こしき)+日(水[一]の入ったかめ)」になり、篆文からA⇒亼、下部の田も真ん中の横画が分離した會になった。調理をするときフタとこしきをあわせることから「あう」、甕からこしき・フタまで揃えることから、あつまる意を持つ。新字体で、會⇒会に簡略化された。
意味 (1)あう(会う)。であう。「会見カイケン」 (2)あつまる。「会議カイギ」「会合カイゴウ」 (3)心にかなう「会得エトク」 (4)とき・おり「機会キカイ」
イメージ
「あう」(会)
甕からフタまで「よせあわせる」(絵・膾・鱠・檜・薈)
「同音代替」(獪)
音の変化 カイ:会・絵・膾・鱠・檜・獪 ワイ:薈
よせあわせる
絵 カイ・エ 糸部
解字 旧字は繪で、 「糸(いと)+會(よせあわせる)」 の会意形声。各種の色糸を刺繍でよせあわせて模様をつくること。色糸による刺繍の絵模様をいう。新字体は、繪⇒絵に変化。
意味 え(絵)。いろどり。もよう。線や色で姿や形を描いたもの。また、描くこと。「絵画カイガ」「絵巻エマキ」「絵空事えそらごと」
膾 カイ・なます 月部にく
解字 「月(にく)+會(よせあわせる)」 の会意形声。こまかく切った生肉や魚肉にネギなどの薬味や酢を寄せ合わせたもの。
意味 なます(膾)。①生肉を細かくきって味付けしたもの。「膾炙カイシャ」(きざみ肉と炙(あぶ)り肉。広く世間に好まれること)「人口に膾炙カイシャする」(おいしい膾炙のように広く人々の口の端にのぼってもてはやされる) ②[国]なます(膾)。こまかく切った魚肉を野菜や酢であえたもの。 ③[国]なます(膾)。大根・人参を細かく刻んで酢であえた料理。
鱠 カイ・なます 魚部
解字 「魚(さかな)+會(よせあわせる)」 の会意形声。こまかく切った魚肉を薬味や酢で寄せ合わせたもの。
意味 なます(鱠)。こまかく切った魚肉と野菜を酢であえた食品。
檜[桧] カイ・ひのき・ひ 木部
解字 「木(き)+會(よせあわせる)」 の会意形声。中国でビャクシン属の常緑高木をいう。若い樹は葉が針状で、成長すると鱗状になるため、同じ樹で異なった葉をあわせ持っていることが、木の名のいわれとされる。日本ではヒノキをいう。
意味 (1)「檜柏ひのきかしわ」(中国原産の常緑高木。イブキビャクシン) (2)[国]ひのき(檜)。ヒノキ科の常緑高木で、上質の建築用材となる。「檜扇ひおうぎ」(檜の薄い板で作った扇)「檜皮ひわだ」(檜の皮)「翌檜あすなろ」(明日はヒノキになろうの意。ヒノキ科の常緑高木。ヒノキに似た木で木曽五木のひとつ)
薈 ワイ 艸部
解字 「艸(くさ)+會(よせあわせる⇒あつまる)」の会意形声。草が多いさま。
意味 (1)草が盛んに生い茂る。「叢薈ソウワイ」(生い茂る)「翳薈エイワイ」(草木がおおい茂り陰ができている)(2)霧や雲がわきおこる。「蔚薈ウツワイ」(わきおこる)(3)集まる。集める。「薈萃ワイスイ」(集中する)「新聞薈叢ワイソウ」(新聞の記事集成)
形声字
獪 カイ・わるがしこい 犭部
解字 「犭(いぬ)+會(カイ)」の形声。カイは快カイ(はやい)に通じ、すばやく動く犬を人に例え、すばやく動いて立ち回るずるい人をいう。なお、音符「夬ケツ・カイ」の字に㹟(犭+夬)カイ・ケツ(犬が走る。狂う。ずるい。獪と同じ)がある。発音で分類した辞書の[正韻]は「本(もと)㹟カイに作る。狡コウ(ずるい)也」とあり、音符「會カイ」と快カイに字音の共通性があることがわかる。
意味 わるがしこい(獪い)。ずるい。「老獪ロウカイ」(世俗の経験を積んでずるい)「狡獪コウカイ」(わるがしこい。狡も獪も、ずるい意)「獪猾カイカツ」(ずるい。獪も猾も、ずるい意)
<紫色は常用漢字>
<関連音符>
曽 [曾] ソウ・ソ・かつて 日部
解字 金文は、「八(ゆげ)+田(むしき)+日(水を入れた釜:古代では甕かめ)」を組み合わせた形。上に蒸し器を、下に水を入れた釜を重ねて置き、湯気のたちのぼる形で、穀物をふかす甑ソウ(こしき)の象形。甑の原字。層をなして重なる意を示す。篆文以降の字は、この字形が変形したもの。「かつて」「すなわち」など、かさなる意以外は仮借カシャ(当て字)の用法である。曽を音符に含む字は、「かさなる」イメージを持つ。新字体は、曾⇒曽へ変化する。
意味 (1)かつて(曽て)。これまで。「未曽有ミゾウ」(いまだかつてない) (2)すなわち。 (3)かさなり。血のつながりの三代前。「曽祖父ソウソフ」(ひいおじいさん)「曽孫ソウソン・ひまご」(孫のこども)
イメージ
「かさなる」(曽・層・増・憎・贈・噌)
「こしき」(甑)
「ソウの音」(僧)
音の変化 ソウ:曽・層・甑・僧 ゾウ:増・憎・贈 ソ:噌
音符「曽ソウ」へ
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こしき(甑)による調理(「高坂丘陵ねっと」より)
解字 甲骨文字は、甑(こしき:蒸し器)にフタをかぶせた形の象形。上図では下で火をたき、甕かめの水を沸騰させ、その蒸気で蒸し器(底に細かな穴がたくさんある)にいれた穀物などを蒸している。上のAがフタ(イラスト図版はナベブタになっている)、真ん中の日のような字がこしき、下の口が甕かめを表している。金文は「A(ふた)+田(こしき)+日(水[一]の入ったかめ)」になり、篆文からA⇒亼、下部の田も真ん中の横画が分離した會になった。調理をするときフタとこしきをあわせることから「あう」、甕からこしき・フタまで揃えることから、あつまる意を持つ。新字体で、會⇒会に簡略化された。
意味 (1)あう(会う)。であう。「会見カイケン」 (2)あつまる。「会議カイギ」「会合カイゴウ」 (3)心にかなう「会得エトク」 (4)とき・おり「機会キカイ」
イメージ
「あう」(会)
甕からフタまで「よせあわせる」(絵・膾・鱠・檜・薈)
「同音代替」(獪)
音の変化 カイ:会・絵・膾・鱠・檜・獪 ワイ:薈
よせあわせる
絵 カイ・エ 糸部
解字 旧字は繪で、 「糸(いと)+會(よせあわせる)」 の会意形声。各種の色糸を刺繍でよせあわせて模様をつくること。色糸による刺繍の絵模様をいう。新字体は、繪⇒絵に変化。
意味 え(絵)。いろどり。もよう。線や色で姿や形を描いたもの。また、描くこと。「絵画カイガ」「絵巻エマキ」「絵空事えそらごと」
膾 カイ・なます 月部にく
解字 「月(にく)+會(よせあわせる)」 の会意形声。こまかく切った生肉や魚肉にネギなどの薬味や酢を寄せ合わせたもの。
意味 なます(膾)。①生肉を細かくきって味付けしたもの。「膾炙カイシャ」(きざみ肉と炙(あぶ)り肉。広く世間に好まれること)「人口に膾炙カイシャする」(おいしい膾炙のように広く人々の口の端にのぼってもてはやされる) ②[国]なます(膾)。こまかく切った魚肉を野菜や酢であえたもの。 ③[国]なます(膾)。大根・人参を細かく刻んで酢であえた料理。
鱠 カイ・なます 魚部
解字 「魚(さかな)+會(よせあわせる)」 の会意形声。こまかく切った魚肉を薬味や酢で寄せ合わせたもの。
意味 なます(鱠)。こまかく切った魚肉と野菜を酢であえた食品。
檜[桧] カイ・ひのき・ひ 木部
解字 「木(き)+會(よせあわせる)」 の会意形声。中国でビャクシン属の常緑高木をいう。若い樹は葉が針状で、成長すると鱗状になるため、同じ樹で異なった葉をあわせ持っていることが、木の名のいわれとされる。日本ではヒノキをいう。
意味 (1)「檜柏ひのきかしわ」(中国原産の常緑高木。イブキビャクシン) (2)[国]ひのき(檜)。ヒノキ科の常緑高木で、上質の建築用材となる。「檜扇ひおうぎ」(檜の薄い板で作った扇)「檜皮ひわだ」(檜の皮)「翌檜あすなろ」(明日はヒノキになろうの意。ヒノキ科の常緑高木。ヒノキに似た木で木曽五木のひとつ)
薈 ワイ 艸部
解字 「艸(くさ)+會(よせあわせる⇒あつまる)」の会意形声。草が多いさま。
意味 (1)草が盛んに生い茂る。「叢薈ソウワイ」(生い茂る)「翳薈エイワイ」(草木がおおい茂り陰ができている)(2)霧や雲がわきおこる。「蔚薈ウツワイ」(わきおこる)(3)集まる。集める。「薈萃ワイスイ」(集中する)「新聞薈叢ワイソウ」(新聞の記事集成)
形声字
獪 カイ・わるがしこい 犭部
解字 「犭(いぬ)+會(カイ)」の形声。カイは快カイ(はやい)に通じ、すばやく動く犬を人に例え、すばやく動いて立ち回るずるい人をいう。なお、音符「夬ケツ・カイ」の字に㹟(犭+夬)カイ・ケツ(犬が走る。狂う。ずるい。獪と同じ)がある。発音で分類した辞書の[正韻]は「本(もと)㹟カイに作る。狡コウ(ずるい)也」とあり、音符「會カイ」と快カイに字音の共通性があることがわかる。
意味 わるがしこい(獪い)。ずるい。「老獪ロウカイ」(世俗の経験を積んでずるい)「狡獪コウカイ」(わるがしこい。狡も獪も、ずるい意)「獪猾カイカツ」(ずるい。獪も猾も、ずるい意)
<紫色は常用漢字>
<関連音符>
曽 [曾] ソウ・ソ・かつて 日部

解字 金文は、「八(ゆげ)+田(むしき)+日(水を入れた釜:古代では甕かめ)」を組み合わせた形。上に蒸し器を、下に水を入れた釜を重ねて置き、湯気のたちのぼる形で、穀物をふかす甑ソウ(こしき)の象形。甑の原字。層をなして重なる意を示す。篆文以降の字は、この字形が変形したもの。「かつて」「すなわち」など、かさなる意以外は仮借カシャ(当て字)の用法である。曽を音符に含む字は、「かさなる」イメージを持つ。新字体は、曾⇒曽へ変化する。
意味 (1)かつて(曽て)。これまで。「未曽有ミゾウ」(いまだかつてない) (2)すなわち。 (3)かさなり。血のつながりの三代前。「曽祖父ソウソフ」(ひいおじいさん)「曽孫ソウソン・ひまご」(孫のこども)
イメージ
「かさなる」(曽・層・増・憎・贈・噌)
「こしき」(甑)
「ソウの音」(僧)
音の変化 ソウ:曽・層・甑・僧 ゾウ:増・憎・贈 ソ:噌
音符「曽ソウ」へ
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。