漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「丩キュウ」<よじりあわせる> と 「糾キュウ」「叫キョウ」「収シュウ」

2021年06月25日 | 漢字の音符
 キュウ  l

解字 甲骨文字は、「曲がったものを組み合わせる様子を表している」(甲骨文字辞典)とし、[字統]は、「縄形のものが相まつわりつく形。糾の原字」とする。丩の音符字から見て私は、音符イメージを「よじりあわせる・ねじる」「からみつく」の二つとしたい。
意味 からみつく。まつわる。もつれる。「結丩ケッキュウ」(まつわりむすびつく=結糾)

イメージ 
 「よじりあわせる・ねじる」
(糾・赳)
 「からみつく」(収)
 「キョウの音」(叫)
音の変化  キュウ:糾・赳  キョウ:叫  シュウ:収

よじりあわせる・ねじる
[糺] キュウ・あざなう・ただす  糸部
解字 「糸(いと)+丩(よじりあわせる)」の会意形声。糸や縄をよじりあわせること。あざなう・よる意となる。また、もつれる意ともなる。「ただす」意は、人を縄でしばって(よじりあわせて)責めたてることから。糺キュウは異体字。
意味 (1)あざなう(糾う)。縄をよる。あわせる。「糾合キュウゴウ」(よじり合わせるように一つにまとめる) (2)もつれる。からみつく。「紛糾フンキュウ」(もつれ乱れる) (3)ただす(糾す)。しらべる。「糾弾キュウダン」(問いただして非難する)「糾明キュウメイ」(問いただし明らかにする) (4)異体字「糺キュウ」。「糺(ただす)の森」(京都の下鴨神社の森をいう)
 キュウ・たけし  走部
解字 「走(はしる)+丩(ねじる)」の会意形声。軽快に動いて相手をねじりたおすこと。勇ましく強いさまをいう。
意味 (1)たけし(赳し)。勇ましいさま。強いさま。たけだけしい。「赳赳キュウキュウたる武夫」(勇ましい武士) (2)<名前>たけ。たけし。「赳夫たけお」「赳男たけお

からみつく
[收] シュウ・おさめる・おさまる  又部  

解字 篆文は「攴ボク(手に棒状のものを持ちたたく)+丩(からみつく)」の会意。手に棒を持ちたたいて人を縄でからみつけて捕まえること。[説文解字]は、「捕らえる也」という。本来の意味は捕まえることだった。捕まえると、治安が回復することから、もとにもどる意味ともなる。また、捕まえる意から転じて、手に入れる意味が出た。字形の変遷について「広韻」(漢字の発音を中心に解説した字書。1008年成立)に「收は俗に収に作る」とあり、宋代の頃には俗字として攵⇒又に変化した「収」があった。日本では新字体として「収」が使われた。
意味 (1)とらえる。「収捕シュウホ」(捕らえる) (2)もとにもどる。もどす。「収兵シュウヘイ」(兵を引き上げる)「撤収テッシュウ」(①取り去って仕舞う。②軍を引き上げる) (3)おさめる(収める)。獲得する。手にいれる。「収穫シュウカク」(農作物を取り入れること。得たもの)「収容シュウヨウ」(収も容も、受け入れる意) (4)おさまる(収まる)。「収束シュウソク」(おさまりがつく)「収縮シュウシュク」(縮んで収まる。ちぢまること)

キョウの音
 キョウ・さけぶ  口部
解字 「口(くち)+丩(キョウ)」の形声。キョウは叫び声の擬声語で、叫はキャーと口から声を出すこと。
意味 さけぶ(叫ぶ)。大声をあげる。「絶叫ゼッキョウ」「叫喚キョウカン」(大声でわめき叫ぶこと。叫も喚も、さけぶ意)「阿鼻叫喚アビキョウカン」(阿鼻地獄での叫び声)
<紫色は常用漢字>

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