漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「坴リク」<家々が続いて集まり住む土地> と「陸リク」「睦ボク」「逵キ」

2021年06月19日 | 漢字の音符
 逵キを追加しました。
 リク・ロク  土部

解字 陸の旁(つくり)となる字で、音符をあらわすため後から作られた字。もととなる陸の金文(陸を参照)は、「六ロク+六ロク+土(つち)」の会意。六はテントの形をした家を表し、六六は家が続く形。それに土のついた坴は、家々が集まって住む土地の意。陸や睦の右辺の音符となる字で単独で使われることはない。埶ゲイの左辺と形が同じだが、成り立ちの異なる字。 音符「埶ゲイ」を参照。

イメージ 
 「家々が続いて集まり住む土地」
(陸・逵・睦)
音の変化  リク:陸  ボク:睦  キ:逵

家々が続いて集まり住む土地
 リク・ロク・おか  阝部
 
  陸姓の図(上)と、陸の古代文字(右)
解字 陸は、もともと山東省平原郡陸郷を表す地名字。のち、斉の宣王(戦国時代)の子、田通が平原郡陸郷に封じられ陸姓を名乗ったとされ、姓ともなった。図版は陸姓を表す図で、両側を丘にかこまれた土地に家が並ぶさまを描く。文字の陸もこれと似ており、金文第一字は、「阝(おか)+六ロク(家)+六ロク(家)」の会意形声。丘のふもとに家々が続いて集まる集落の意。金文第二字で、家々の下に土がついた字が出現し、篆文以降、六六と土が融合した坴となり現代に続く。陸はもと、丘のふもとの家々がつづく土地の意だったが、大きな広い土地の意となった。
意味 (1)おか(陸)。くが。「陸地リクチ」「大陸タイリク」「上陸ジョウリク」(2)つづくさま。「陸続リクゾク」(3)たいらな。「陸屋根ロクやね」(4)姓のひとつ。「陸游リクユウ」(南宋の詩人)
 キ・ギ・おおじ  辶部
解字 「辶(ゆく)+陸の略体(家々が続いて集まり住む土地)」の会意。陸の古字は丘のふもとに沿って家々が続いて集まり住む土地で、そこに辶(ゆく)がついた逵は、陸の土地を通る大きな道をいう。また、馗(九方に通じる道)に通じる。中国古代の字書である[爾雅ジガ]にも「九達これを逵という」とあり、四方八方に通じる路。また[左伝](歴史書「春秋」の注釈書)に市場の意味で用いている。
意味 (1)おおじ(逵)。おおどおり。「大逵タイキ」(おおきな道)「通逵ツウキ」(大通り)(2)四方八方に通じる路。「逵路キロ」(四方八方に通じる路)(3)人のあつまるところ。「逵市キイチ」(城内の広場で市の立つところ)
 ボク・むつまじい  目部
解字 「目(め)+陸の略体(陸の里)」の会意形声。同姓である陸の里の人々が互いを目で見つめる態度がむつまじいこと。同族の親しい間柄をいう。
意味 (1)むつまじい(睦まじい)。むつむ。親しい。「親睦シンボク」「睦親ボクシン」(親しい身内) (2)仲直りすること。「和睦ワボク
<紫色は常用漢字>

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