漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「女ジョ」<おんな> と 「汝ジョ」「姦カン」

2021年06月16日 | 漢字の音符
 ジョ・ニョ・ニョウ・おんな・め  女部

解字 甲骨文字は女性がひざまずいて両手を前に合わせている姿の象形。金文から篆文まで次第に立ち姿に近づいた。隷書レイショ(漢代)から、身体の線が直線になり全体が約90度左回転した形になった。現代字の女は俗語で「くノ一」と言うが、肩から右腕の線が「く」、左腕が「ノ」、身体が「一」で「女」となる。
女は部首となる一方、会意文字・形声文字の構成要素ともなる。
意味 (1)おんな(女)。め(女)。婦人。「女性ジョセイ・ニョショウ」「女房ニョウボウ」「天女テンニョ」 (2)むすめ。おとめ。「処女ショジョ」「息女ソクジョ」(身分ある人のむすめ。また、他人のむすめを敬っていう語) (3)なんじ。(=汝)
参考 ジョは、部首「女おんな・おんなへん」となる。漢字の左辺や下に付き、女性や女性の状態など表す。常用漢字の女偏は36字あり部首の第14位。また約14,600字を収録する『新漢語林』では、210字が女部に含まれている。
常用漢字 36字 
 女ジョ・おんな  部首
 イ・ゆだねる(女+禾の会意)
 イ・おどす(女+音符「戌ジュツ⇒イ」)
 イン(女+音符「因イン」)
 エン・ひめ(女+音符「爰エン」)
 カ・よめ(女+音符「家カ」)
 キ・ひめ(女+ 音符「𦣝イ⇒臣」)
 ケン・きらう(女+音符「兼ケン」)
 ゴ・たのしむ(女+音符「呉ゴ」)
 コウ・このむ(女+子の会意)
 コン(女+音符「昏コン」)
 サイ・つま(女+手にかんざしを持つ、の会意)
 (女+音符「市」)
 シ・はじめる(女+音符「台シ」)
 姿シ・すがた(女+音符「次シ」)
 シツ・ねたむ(女+音符「疾シツ」)
 ジョ・ごとし(口+音符「女ジョ」)
 ジョウ・むすめ(女+音符「良リョウ」)
 ジョウ・むすめ(女+音符「襄ジョウ」)
 シン・はらむ(女+音符「辰シン」)
 セイ(女+音符「生セイ」)
 婿セイ・むこ(女+音符「胥ショ」)
 (女+上からの手、の会意)
 チャク・よつぎ(女+音符「啇テキ」)
 ト・ねたむ(女+音符「石セキ⇒ト」)
 ド・やっこ(女+又の会意)
 ニン(女+音符「壬ジン」)
 バ・ばば(女+音符「波ハ」)
 バイ・なこうど(女+音符「某バイ・ボウ」)
 ヒ・きさき(女+音符「己キ」)
 フ・おんな(女+「帚ソウ」の会意)
 ボウ・さまたげる(女+音符「方ホウ」)
 マイ(女+音符「未」)
 モウ・ボウ・みだり(女+音符「亡ボウ」)
 ミョウ(女+音符「少ショウ」)
 ヨウ(女+音符「夭ヨウ」)
 さらに女部の、如ジョ、奴、妟エン、妻サイ、妾ショウ、妥、は音符となる。

イメージ 
 「おんな」
(女・姦) 
 「ジョの音」(汝)
音の変化  ジョ:女・汝  カン:姦

おんな
 カン・かしましい  女部
解字 「女+女+女」の会意。女が3人集まり悪だくみをすること。どんな悪だくみかというと、[説文解字]に「私するなり。三女に従う」とあり、自分たちの利益だけを考えることだという。また、奸カン(おかす)に通じ、男女間の不義をいう。日本では、女が3人集まって「かしましい」意となる。
意味 (1)わるがしこい。よこしま。「姦計カンケイ」(わるだくみ)「姦商カンショウ」(ずるい商人)「姦臣カンシン」(主君に対し悪いことをたくらむ臣下) (2)みだら(姦)。男女間の不義。「姦通カンツウ」(浮気をすること) (3)[国]かしましい(姦しい)。やかましい。

ジョの音
 ジョ・なんじ  氵部
解字 「氵(みず)+女(ジョ)」の形声。ジョという名の川の名。仮借カシャ(当て字)されて、二人称に用いる。
意味 (1)なんじ(汝)。おまえ。きみ。「汝我ジョガ」(きみとぼく)「汝輩ジョハイ」(おまえたち) (2)川の名。「汝水ジョスイ」(河南省にある川の名)
<紫色は常用漢字>

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