増訂しました。
林 リン <つらなる>
林 リン・はやし 木部 lín
解字 甲骨文から現代字まで「木+木」の会意。木を二つ並べて木がならんで生えているさまを表す。後漢の[説文解字]は「平らな土(土地)に有る叢木(集まった木)を林と曰(い)う」とする。また、同種のものが集まる意味をもつ。
意味 (1)はやし(林)。木が群がり生えているところ。「林野リンヤ」(林と原野)「林間リンカン」(林のあいだ。林のなか)「林衣リンイ」(林の木の葉) (2)同種のものが多く集まっている所。また集めたもの。「書林ショリン」(書物が多くあること。転じて書店)「林立リンリツ」(林のように多くのものが並び立つ) (3)郷里や隠遁イントンの地。「帰林キリン」(故郷に帰る。隠遁する) (4)姓。「林羅山はやしラザン」(江戸初期の朱子学派儒学者)
イメージ
「はやし」(林・焚)
木々が「つらなる」(彬・淋・霖・醂・惏・婪)
「形声字」(琳)
「その他」(森)
音の変化 リン:林・淋・霖・醂・琳・惏 ラン:婪 ヒン:彬 フン:焚 シン:森
はやし
焚 フン・やく・たく 火部 fén
解字 「火(ひ)+林(はやし)」の会意。林に火をつけて焼くことが原義。
意味 (1)山野を焼いて狩りをする。焼き狩り。 (2)やく(焚く)。たく(焚く)。もやす。火をつけて燃やす。「焚き火」「焚書フンショ」(書物を焼き捨てる)「焚草フンソウ」(①草を焼く。②原稿(草稿)を焼く)「焚掠フンリャク」(家を焼き財産をかすめ取る)(3)火あぶりにする。「焚刑フンケイ」
つらなる
彬 ヒン 彡部 bīn
解字 「彡(模様)+林(つらなる)」の会意。模様が並びそろって美しいさま。
意味 (1)あきらか。調和して美しい。「彬彬ヒンピン」(文章の調和がとれている)「彬彧ヒンイク」(文彩のあるさま。ほどよく調和する。彧は、彩り豊かな美しい地域の意)「彬蔚ヒンウツ」(さかんであざやか。蔚は、しげる意) (2)人名。名乗り。あき・あきら・あや・しげし・ひで・もり・よし
淋 リン・さびしい 氵部 lín・lìn
解字 「氵(水)+林(つらなる)」の会意形声。あとからあとから水がしたたること。
意味 (1)そそぐ。したたる。「淋雨リンウ」(なが雨)「淋淋リンリン」(水のしたたり落ちるさま) (2)分泌液が出る病気。「淋病リンビョウ」 (3)[国]さびしい(淋しい)。さみしい(淋しい)。「寂しい」とも書く。
霖 リン・ながあめ 雨部 lín
解字 「雨(あめ)+林(つらなる)」の会意形声。雨が連続すること。
意味 ながあめ(霖)。三日以上降り続く雨。「霖雨リンウ」「梅霖バイリン」(梅雨。さみだれ)「霖潦リンロウ」(大雨が降り続く。ながあめで道が流れのようになる。潦ロウも、ながあめの意)
惏 リン・ラン・むさぼる 忄部 lán・lín
解字 「忄(こころ)+林(つらなる)」の会意形声。忄(心=欲の心)が連なり、きりがないこと。また、凛リン(きびしい・おそれる)に通じ、おそれおののくさまに用いる。
意味 Ⅰリンの音。(1)おそれおののく。「惏慄リンリツ」(おそれおののく) Ⅱランの音。(2)むさぼる(惏る)。「貪惏タンラン」(貪欲なこと)
婪 ラン・むさぼる 女部 lán
解字 「女(おんな)+林(=惏ラン。むさぼる)」の会意形声。惏ランの忄を女に替えた字で、むさぼる・ほしがる意。
意味 (1)むさぼる(婪る)。ほしがる。「貪婪ドンラン・タンラン」(欲が非常にふかいこと。貪も婪も、むさぼる意)
形声字
琳 リン 玉部 lín
解字 「王(たま)+林(リン)」の形声。リンリンと澄んだ音が鳴る玉。
意味 (1)美しい玉。「琳宇リンウ」(美しい玉で飾った邸宅。宮殿の美称) (2)玉がふれあって鳴る音の形容。「琳琅リンロウ」(①玉がふれあって鳴る音。②美しい玉。③美しい詩文) (3)人名。「光琳コウリン」(尾形光琳。江戸中期の京都の画家、大胆で華麗な画風を展開した)「琳派リンパ」(光琳の画風をうけた流派)
痳 リン 疒部 má・lìn
解字 「疒(やまい)+林(リン)」の形声。リンは淋リン(分泌液が出る病気。「淋病リンビョウ」)に通じ、性病の一つをいう。なお、後漢の「説文解字」は「疝セン病也。疒に従い林の聲(声)」とし疝病とする。
意味 (1)性病のひとつ。淋菌により尿道が侵され小便が出にくくなる病気。「痳病リンビョウ」「痳菌リンキン」(痳病の病原体である双球菌) (2)疝気センキ。腹や腰などが引きつって痛む病気。
醂 リン・さわす・あわす 酉部 lǎn
解字 「酉(さけ)+林(リン)」の形声。柿の果実の渋を抜くことを醂(さわ)すという。また、水に浸してさらすことをいう。
意味 (1)さわす(醂す)。あわす(醂す)。柿の渋をぬく。柿のヘタの部分をアルコールに浸し、樽などにいれて密閉する。「醂柿リンシ・さわしがき」(渋をぬいた柿の実) (2)水に浸してさらす。 (3)[国]「味醂ミリン」とは、アルコール度数が14%前後で糖分を比較的多く含んだ酒。日本料理の調味料や飲用に供される。
その他
森 シン・もり 木部 sēn
解字 「木三つ」の会意。たくさんの木が生い茂った森。
意味 (1)もり(森)。「森林シンリン」 (2)物の多いさま。びっしり。「森羅万象シンラバンショウ」(天地の間に存在するすべてのもの) (3)ひっそりとしたさま。「森閑シンカン」
禁キン <ふさぐ>
禁 キン・とどめる 示部 jìn・jīn
解字 「示(祭壇)+林リン(つらなる)」の会意。神をまつる祭壇のまわりが林におおわれ、神域として立ち入りを禁止されていること。
意味 (1)きんじる(禁じる)。とどめる(禁める)。ふさぐ。「禁止キンシ」「禁足キンソク」「禁句キンク」「禁中キンチュウ」(天子が住む宮城) (2)おきて。いましめ。「禁令キンレイ」 (3)いみ(忌)。いみさける。「禁忌キンキ」
イメージ
祭壇のまわりを林で「ふさぐ」(禁・襟・噤)
音の変化 キン:禁・襟・噤
ふさぐ
襟 キン・えり 衤部ころも jīn
解字 「衤(ころも・衣)+禁(ふさぐ)」の会意形声。首まわりをふさぐ衣の部分。えり。
意味 (1)えり(襟)。えりもと。「襟帯キンタイ」(えりとおび)「山河襟帯サンガキンタイ」(襟と帯が身体を取り巻くように周りを山と河にかこまれた地形。山と河が自然の要害をなしていること) (2)むね。こころ。おもい。「襟懐キンカイ」(胸のうち。思い。=胸襟キョウキン)「襟度キンド」(心の持ち方。度量)
噤 キン・つぐむ 口部 jìn
解字 「口(くち)+禁(ふさぐ)」の会意形声。口をふさぐこと。
意味 つぐむ(噤む)。口をとじる。「噤閉キンヘイ」(口をつぐんで黙すること)「噤口キンコウ」(口をつぐむ)
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林 リン <つらなる>
林 リン・はやし 木部 lín
解字 甲骨文から現代字まで「木+木」の会意。木を二つ並べて木がならんで生えているさまを表す。後漢の[説文解字]は「平らな土(土地)に有る叢木(集まった木)を林と曰(い)う」とする。また、同種のものが集まる意味をもつ。
意味 (1)はやし(林)。木が群がり生えているところ。「林野リンヤ」(林と原野)「林間リンカン」(林のあいだ。林のなか)「林衣リンイ」(林の木の葉) (2)同種のものが多く集まっている所。また集めたもの。「書林ショリン」(書物が多くあること。転じて書店)「林立リンリツ」(林のように多くのものが並び立つ) (3)郷里や隠遁イントンの地。「帰林キリン」(故郷に帰る。隠遁する) (4)姓。「林羅山はやしラザン」(江戸初期の朱子学派儒学者)
イメージ
「はやし」(林・焚)
木々が「つらなる」(彬・淋・霖・醂・惏・婪)
「形声字」(琳)
「その他」(森)
音の変化 リン:林・淋・霖・醂・琳・惏 ラン:婪 ヒン:彬 フン:焚 シン:森
はやし
焚 フン・やく・たく 火部 fén
解字 「火(ひ)+林(はやし)」の会意。林に火をつけて焼くことが原義。
意味 (1)山野を焼いて狩りをする。焼き狩り。 (2)やく(焚く)。たく(焚く)。もやす。火をつけて燃やす。「焚き火」「焚書フンショ」(書物を焼き捨てる)「焚草フンソウ」(①草を焼く。②原稿(草稿)を焼く)「焚掠フンリャク」(家を焼き財産をかすめ取る)(3)火あぶりにする。「焚刑フンケイ」
つらなる
彬 ヒン 彡部 bīn
解字 「彡(模様)+林(つらなる)」の会意。模様が並びそろって美しいさま。
意味 (1)あきらか。調和して美しい。「彬彬ヒンピン」(文章の調和がとれている)「彬彧ヒンイク」(文彩のあるさま。ほどよく調和する。彧は、彩り豊かな美しい地域の意)「彬蔚ヒンウツ」(さかんであざやか。蔚は、しげる意) (2)人名。名乗り。あき・あきら・あや・しげし・ひで・もり・よし
淋 リン・さびしい 氵部 lín・lìn
解字 「氵(水)+林(つらなる)」の会意形声。あとからあとから水がしたたること。
意味 (1)そそぐ。したたる。「淋雨リンウ」(なが雨)「淋淋リンリン」(水のしたたり落ちるさま) (2)分泌液が出る病気。「淋病リンビョウ」 (3)[国]さびしい(淋しい)。さみしい(淋しい)。「寂しい」とも書く。
霖 リン・ながあめ 雨部 lín
解字 「雨(あめ)+林(つらなる)」の会意形声。雨が連続すること。
意味 ながあめ(霖)。三日以上降り続く雨。「霖雨リンウ」「梅霖バイリン」(梅雨。さみだれ)「霖潦リンロウ」(大雨が降り続く。ながあめで道が流れのようになる。潦ロウも、ながあめの意)
惏 リン・ラン・むさぼる 忄部 lán・lín
解字 「忄(こころ)+林(つらなる)」の会意形声。忄(心=欲の心)が連なり、きりがないこと。また、凛リン(きびしい・おそれる)に通じ、おそれおののくさまに用いる。
意味 Ⅰリンの音。(1)おそれおののく。「惏慄リンリツ」(おそれおののく) Ⅱランの音。(2)むさぼる(惏る)。「貪惏タンラン」(貪欲なこと)
婪 ラン・むさぼる 女部 lán
解字 「女(おんな)+林(=惏ラン。むさぼる)」の会意形声。惏ランの忄を女に替えた字で、むさぼる・ほしがる意。
意味 (1)むさぼる(婪る)。ほしがる。「貪婪ドンラン・タンラン」(欲が非常にふかいこと。貪も婪も、むさぼる意)
形声字
琳 リン 玉部 lín
解字 「王(たま)+林(リン)」の形声。リンリンと澄んだ音が鳴る玉。
意味 (1)美しい玉。「琳宇リンウ」(美しい玉で飾った邸宅。宮殿の美称) (2)玉がふれあって鳴る音の形容。「琳琅リンロウ」(①玉がふれあって鳴る音。②美しい玉。③美しい詩文) (3)人名。「光琳コウリン」(尾形光琳。江戸中期の京都の画家、大胆で華麗な画風を展開した)「琳派リンパ」(光琳の画風をうけた流派)
痳 リン 疒部 má・lìn
解字 「疒(やまい)+林(リン)」の形声。リンは淋リン(分泌液が出る病気。「淋病リンビョウ」)に通じ、性病の一つをいう。なお、後漢の「説文解字」は「疝セン病也。疒に従い林の聲(声)」とし疝病とする。
意味 (1)性病のひとつ。淋菌により尿道が侵され小便が出にくくなる病気。「痳病リンビョウ」「痳菌リンキン」(痳病の病原体である双球菌) (2)疝気センキ。腹や腰などが引きつって痛む病気。
醂 リン・さわす・あわす 酉部 lǎn
解字 「酉(さけ)+林(リン)」の形声。柿の果実の渋を抜くことを醂(さわ)すという。また、水に浸してさらすことをいう。
意味 (1)さわす(醂す)。あわす(醂す)。柿の渋をぬく。柿のヘタの部分をアルコールに浸し、樽などにいれて密閉する。「醂柿リンシ・さわしがき」(渋をぬいた柿の実) (2)水に浸してさらす。 (3)[国]「味醂ミリン」とは、アルコール度数が14%前後で糖分を比較的多く含んだ酒。日本料理の調味料や飲用に供される。
その他
森 シン・もり 木部 sēn
解字 「木三つ」の会意。たくさんの木が生い茂った森。
意味 (1)もり(森)。「森林シンリン」 (2)物の多いさま。びっしり。「森羅万象シンラバンショウ」(天地の間に存在するすべてのもの) (3)ひっそりとしたさま。「森閑シンカン」
禁キン <ふさぐ>
禁 キン・とどめる 示部 jìn・jīn
解字 「示(祭壇)+林リン(つらなる)」の会意。神をまつる祭壇のまわりが林におおわれ、神域として立ち入りを禁止されていること。
意味 (1)きんじる(禁じる)。とどめる(禁める)。ふさぐ。「禁止キンシ」「禁足キンソク」「禁句キンク」「禁中キンチュウ」(天子が住む宮城) (2)おきて。いましめ。「禁令キンレイ」 (3)いみ(忌)。いみさける。「禁忌キンキ」
イメージ
祭壇のまわりを林で「ふさぐ」(禁・襟・噤)
音の変化 キン:禁・襟・噤
ふさぐ
襟 キン・えり 衤部ころも jīn
解字 「衤(ころも・衣)+禁(ふさぐ)」の会意形声。首まわりをふさぐ衣の部分。えり。
意味 (1)えり(襟)。えりもと。「襟帯キンタイ」(えりとおび)「山河襟帯サンガキンタイ」(襟と帯が身体を取り巻くように周りを山と河にかこまれた地形。山と河が自然の要害をなしていること) (2)むね。こころ。おもい。「襟懐キンカイ」(胸のうち。思い。=胸襟キョウキン)「襟度キンド」(心の持ち方。度量)
噤 キン・つぐむ 口部 jìn
解字 「口(くち)+禁(ふさぐ)」の会意形声。口をふさぐこと。
意味 つぐむ(噤む)。口をとじる。「噤閉キンヘイ」(口をつぐんで黙すること)「噤口キンコウ」(口をつぐむ)
<紫色は常用漢字>
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