増訂しました。
孚 フ 子部 fú
解字 甲骨文第一字は、両手で子を抱え上げている形。第二字は両手⇒片手になった。金文第一字は上からの手が横についた形。第二字は手が頭の上についた形になり、これが篆文に続いて現代字に受け継がれている。意味は、幼い子に手をさしのべ、抱え上げるさま。抱くようにして大切に育てること。はぐくむ、養い育てる意がある。また、子どもを手でつかまえる意もある。新字体に含まれるとき、孚⇒浮の右辺に変化する。
意味 (1)はぐくむ。「孚育フイク」(大切に育てる) (2)とらえる。とりこ。(=俘) (3)[仮借カシャ(当て字)]まこと。「孚信フシン」(まこと。真実)
イメージ
手をさしのべ子を「だく・だきかかえる」(孚・乳・孵・殍・郛)
抱き上げる意から「上にあがる・うく」(浮・艀・蜉・桴)
子を「とらえる」(俘)
音の変化 フ:孚・孵・郛・浮・艀・桴・蜉・俘 ニュウ:乳 ヒョウ:殍
だく・たきかかえる
乳 ニュウ・ちち・ち 乚部おつ rǔ
解字 甲骨文は、赤子を抱いた女が授乳している形。篆文は、「乚(孔コウの略体:赤子が乳房を吸う)+孚(だきかかえる)」 の会意になった。子を抱きかかえ乳首を含ませると出てくるちち。
意味 (1)ちち(乳)。ちちしる。「牛乳ギュウニュウ」「母乳ボニュウ」 (2)ちちのように白い。「乳液ニュウエキ」「豆乳トウニュウ」 (3)ちぶさ(乳房)。 (4)幼い。小さい。「乳児ニュウジ」
孵 フ・かえる・かえす 子部 fū
解字 「卵(たまご)+孚(だく)」の会意形声。卵をだいて、ひながかえること。卵という部首がないので、子が部首になっている。
意味 かえる(孵る)。卵がかえる。かえす(孵す)。「孵化フカ」「孵卵器フランキ」
殍 ヒョウ・フ・うえじに 歹部 piǎo
解字 「歹(死ぬ)+孚(だきかかえる)」の会意形声。だきかかえた子が飢え死にすること。
意味 うえじに(殍)。飢え死にする。空腹のために死ぬ。「殍餓ヒョウガ・フガ」(うえじにする)「殍殣ヒョウキン」(殍も殣も、飢え死にの意)
郛 フ・くるわ 阝部おおざと fú
解字 「阝(囲いをめぐらした、むら・まち)+孚(だきかかえる)」の会意形声。阝おおざとは邑ユウ(人が囲いの中に集まって住む)が変化した部首。そこに孚(だきかかえる)がついた郛は、囲いの中に集まって住む地区を抱きかかえるように囲んでいる外壁すなわち郭(くるわ)を表す。
意味 (1)くるわ(郛)。人が集住する地域の外囲い。「郛邑フユウ」(邑の外囲い。外城)「郛郭フカク」(郛も郭も、くるわの意) (2)防壁。防ぎ保つことのたとえ。「郛郭周匝フカクシュウソウ」(くるわが周囲を匝(めぐ)る。守りが固い) (3)書名。「説郛セップ」(元末明初の陶宗儀による漢籍叢書)
上にあがる
浮 フ・うく・うかぶ・うかべる・うかれる 氵部 fú
解字 「氵(水)+孚(上にあがる)」 の会意形声。水にうくこと。新字体は浮に変化。
意味 (1)うく(浮く)。うかぶ(浮かぶ)。「浮上フジョウ」「浮雲うきぐも」 (2)はかない。よりどころのない。うかれる(浮かれる)。「浮説フセツ」「浮世うきよ」
艀 フ・はしけ 舟部 fú
解字 「舟(こぶね)+孚(=浮。うく)」 の会意形声。浮いて狭い範囲を行き来する小舟。河川や水深の浅い海で貨物を運ぶために作られた船。
意味 はしけ(艀)。波止場と本船のあいだを往来して荷物などを運ぶ小舟。「艀船はしけぶね」
桴 フ・いかだ 木部 fú
解字 「木(き)+孚(=浮。うく)」の会意形声。木を組み縄で結んだイカダ。また、枹フ(鼓のばち)と通用して、ばちの意味に用いる。
意味 (1)いかだ(桴)。小さいものを桴といい、大きいものを筏という。「桴槎フサ」(桴も槎も、いかだの意)「桴筏フバツ」(桴も筏も、いかだの意)「編桴ヘンプ」(いかだを組む)「桴人フジン」(いかだ乗り。また、船夫) (2)ばち(桴)。「桴鼓フコ」
蜉 フ 虫部 fú
カゲロウ(ウィキペディアより)
解字 「虫(むし)+孚(=浮。うく)」 の会意形声。空中を浮いてただよう虫。
意味 「蜉蝣かげろう」に使われる字。蜻蛉とも書く。蜉蝣とは、トンボより小さく弱々しい虫。成虫の寿命は数時間と短い。「蜉蝣かげろうの一期イチゴ」(人生がカゲロウのように短くはかないこと)
とらえる
俘 フ・とりこ イ部 fú
解字 「イ(ひと)+孚(とらえる)」 の会意形声。捕えられた人。
意味 とりこ(俘)。戦争でいけどりにした敵。「俘虜フリョ・とりこ」「俘囚フシュウ」(とりこ)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
孚 フ 子部 fú
解字 甲骨文第一字は、両手で子を抱え上げている形。第二字は両手⇒片手になった。金文第一字は上からの手が横についた形。第二字は手が頭の上についた形になり、これが篆文に続いて現代字に受け継がれている。意味は、幼い子に手をさしのべ、抱え上げるさま。抱くようにして大切に育てること。はぐくむ、養い育てる意がある。また、子どもを手でつかまえる意もある。新字体に含まれるとき、孚⇒浮の右辺に変化する。
意味 (1)はぐくむ。「孚育フイク」(大切に育てる) (2)とらえる。とりこ。(=俘) (3)[仮借カシャ(当て字)]まこと。「孚信フシン」(まこと。真実)
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手をさしのべ子を「だく・だきかかえる」(孚・乳・孵・殍・郛)
抱き上げる意から「上にあがる・うく」(浮・艀・蜉・桴)
子を「とらえる」(俘)
音の変化 フ:孚・孵・郛・浮・艀・桴・蜉・俘 ニュウ:乳 ヒョウ:殍
だく・たきかかえる
乳 ニュウ・ちち・ち 乚部おつ rǔ
解字 甲骨文は、赤子を抱いた女が授乳している形。篆文は、「乚(孔コウの略体:赤子が乳房を吸う)+孚(だきかかえる)」 の会意になった。子を抱きかかえ乳首を含ませると出てくるちち。
意味 (1)ちち(乳)。ちちしる。「牛乳ギュウニュウ」「母乳ボニュウ」 (2)ちちのように白い。「乳液ニュウエキ」「豆乳トウニュウ」 (3)ちぶさ(乳房)。 (4)幼い。小さい。「乳児ニュウジ」
孵 フ・かえる・かえす 子部 fū
解字 「卵(たまご)+孚(だく)」の会意形声。卵をだいて、ひながかえること。卵という部首がないので、子が部首になっている。
意味 かえる(孵る)。卵がかえる。かえす(孵す)。「孵化フカ」「孵卵器フランキ」
殍 ヒョウ・フ・うえじに 歹部 piǎo
解字 「歹(死ぬ)+孚(だきかかえる)」の会意形声。だきかかえた子が飢え死にすること。
意味 うえじに(殍)。飢え死にする。空腹のために死ぬ。「殍餓ヒョウガ・フガ」(うえじにする)「殍殣ヒョウキン」(殍も殣も、飢え死にの意)
郛 フ・くるわ 阝部おおざと fú
解字 「阝(囲いをめぐらした、むら・まち)+孚(だきかかえる)」の会意形声。阝おおざとは邑ユウ(人が囲いの中に集まって住む)が変化した部首。そこに孚(だきかかえる)がついた郛は、囲いの中に集まって住む地区を抱きかかえるように囲んでいる外壁すなわち郭(くるわ)を表す。
意味 (1)くるわ(郛)。人が集住する地域の外囲い。「郛邑フユウ」(邑の外囲い。外城)「郛郭フカク」(郛も郭も、くるわの意) (2)防壁。防ぎ保つことのたとえ。「郛郭周匝フカクシュウソウ」(くるわが周囲を匝(めぐ)る。守りが固い) (3)書名。「説郛セップ」(元末明初の陶宗儀による漢籍叢書)
上にあがる
浮 フ・うく・うかぶ・うかべる・うかれる 氵部 fú
解字 「氵(水)+孚(上にあがる)」 の会意形声。水にうくこと。新字体は浮に変化。
意味 (1)うく(浮く)。うかぶ(浮かぶ)。「浮上フジョウ」「浮雲うきぐも」 (2)はかない。よりどころのない。うかれる(浮かれる)。「浮説フセツ」「浮世うきよ」
艀 フ・はしけ 舟部 fú
解字 「舟(こぶね)+孚(=浮。うく)」 の会意形声。浮いて狭い範囲を行き来する小舟。河川や水深の浅い海で貨物を運ぶために作られた船。
意味 はしけ(艀)。波止場と本船のあいだを往来して荷物などを運ぶ小舟。「艀船はしけぶね」
桴 フ・いかだ 木部 fú
解字 「木(き)+孚(=浮。うく)」の会意形声。木を組み縄で結んだイカダ。また、枹フ(鼓のばち)と通用して、ばちの意味に用いる。
意味 (1)いかだ(桴)。小さいものを桴といい、大きいものを筏という。「桴槎フサ」(桴も槎も、いかだの意)「桴筏フバツ」(桴も筏も、いかだの意)「編桴ヘンプ」(いかだを組む)「桴人フジン」(いかだ乗り。また、船夫) (2)ばち(桴)。「桴鼓フコ」
蜉 フ 虫部 fú
カゲロウ(ウィキペディアより)
解字 「虫(むし)+孚(=浮。うく)」 の会意形声。空中を浮いてただよう虫。
意味 「蜉蝣かげろう」に使われる字。蜻蛉とも書く。蜉蝣とは、トンボより小さく弱々しい虫。成虫の寿命は数時間と短い。「蜉蝣かげろうの一期イチゴ」(人生がカゲロウのように短くはかないこと)
とらえる
俘 フ・とりこ イ部 fú
解字 「イ(ひと)+孚(とらえる)」 の会意形声。捕えられた人。
意味 とりこ(俘)。戦争でいけどりにした敵。「俘虜フリョ・とりこ」「俘囚フシュウ」(とりこ)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。