改訂しました。
免 メン・ベン・まぬかれる 儿部 miǎn
上が免メン、下が娩ベン
解字 上の免メン・ベンの金文は、第一字が冑かぶとをかぶった人の正面形、第二字が側面形。金文は免氏の器に刻されており姓を表している。[字統]は「免冑メンチュウ(冑をぬぐ)」の意味があるとし、「左右、冑を免(ぬ)ぎて下る」(国語・周語中)「冑を免(ぬ)ぐこと毋(なか)れ」(礼記・曲礼上)の例文を挙げている。篆文になると同音の免メン・ベンに置き換えられた。免は女性が股間をひらいて出産する形だが、ここでは発音だけ表す形声字で免(ぬ)ぐ意となり、さらに意味が転じて、のがれる・まぬがれる・ゆるす意が加わった。旧字は上に刀がついた形になり、現在はクがついた免になっている。
意味 (1)ぬぐ(免ぐ)。「免冠メンカン」(冠をぬぐ。退官する)(2)まぬかれる(免れる)。のがれる。「免責メンセキ」(責任をのがれる)「免疫メンエキ」(疫病をまぬがれる。体内に病原菌が入っても発病しないだけの抵抗力をもっている)(3)ゆるす。「免(メン)じる」「免罪メンザイ」(罪を免ずる)「免許メンキョ」(免も許も、ゆるす意。特定の事をすることを許す)(4)やめさせる。「免職メンショク」「罷免ヒメン」
イメージ
「形声字」(免・娩・挽・輓・晩・勉・冕・鮸)
音の変化 メン:免 ベン:娩・勉・冕・鮸 バン:挽・輓・晩
形声字
娩 ベン・うむ 女部 miǎn
解字 甲骨文は女性の胎内から◇形の胎児を両手で取り出すさま。出産の意味を表す。金文は体内と子供だけが描かれている。篆文は「子+免(ベン)」の形声で子供が生まれる意。現代字は「女+免(ベン)」で女性が出産する形となった。
意味 うむ(娩む)。出産する。「分娩ブンベン」「娩痛ベンツウ」(出産時の痛み)
勉 ベン・つとめる・しいる 力部 miǎn
解字 「力(ちから)+免(ベン)」 の形声。力をこめて、つとめることを勉ベンという。[説文解字]は「强(しいる)也(なり)。力に従い免ベン聲(声)」とする。
意味 (1)つとめる(勉める)。はげむ。「勉学ベンガク」「勉励ベンレイ」(つとめはげむ)「勤勉キンベン」(熱心にはげむ) (2)しいる(強いる)。「勉強ベンキョウ」(日本語では強くはげむ意。現代中国語では「無理強いする」意)
挽 バン・ひく 扌部 wǎn
解字 「扌(手)+免(ベン⇒バン)」の形声。手でものを引くことを挽バンという。宋代の発音字典[集韻]は「引く也。音は晚バン」とする。
意味 (1)ひく(挽く)。ひっぱる。「挽回バンカイ」(ひきもどす。取り戻す) (2)人の死を悼む。「挽歌バンカ」(柩を乗せた車を挽くときうたう歌。死者を悲しみ悼む詩歌)(3)[国]ひく(挽く)。カンナやノコギリで削ったり切る。すりつぶす。「挽物ひきもの」(轆轤ロクロで挽いて作った器具)「挽肉ひきにく」
輓 バン・ひく 車部 wǎn
解字 「車(くるま)+免(バン=挽)」の形声。車を挽くことを輓バンという。
意味 (1)ひく(輓く)。車や舟をひく。「輓馬バンバ」(ソリや車をひかせる馬)「推輓スイバン」(車を後ろから推したり前から引くこと。転じて、人を推挙する)(2)人の死を悼む。「輓歌バンカ」(=挽歌)
晩 バン・おそい 日部 wǎn
解字 「日(ひ)+免(バン=挽)」の会意形声。太陽(日)を引っぱりおろすと日が暮れる意。
意味 (1)くれ。日暮れ。夕方。よる。「今晩コンバン」「晩鐘バンショウ」(くれに鳴る鐘)「晩照バンショウ」(夕日の影。夕日)(2)おそい(晩い)。あと。「晩学バンガク」「晩婚バンコン」「晩生おくて」(おそく成長・成熟する)「晩稲おくて」(稲がおそく成長・成熟する)
冕 ベン・かんむり 冂部けい miǎn
蜀の劉備の冕冠ベンカン(ウィキペデアより)
解字 金文は大の字の人が被り物をかぶっている形で、この発音をベンと言った。篆文で、「冃ボウ(かぶりもの)+免(ベン)」の形声となり、ベンというかぶりものを表す。現代字は篆文を受け継いだ冕となった。
意味 かんむり(冕)。天子から大夫まで礼式に用いる冠。「冕冠ベンカン」(皇帝や天皇・国王が着用した冠)「冕服ベンプク」(貴人がつけている冠と衣服)「軒冕ケンベン」(①大夫 (たいふ)以上の人の乗る車と、かぶる冠。②高位高官。また、その人)
鮸 ベン・にべ 魚部 miǎn
解字 「魚(さかな)+免(ベン)」の形声。ベンという名の魚で「にべ」をいう。
鮸にべ(イシモチ)(「沼津港の季節の魚図鑑 」より)
意味 にべ(鮸)。スズキ目ニベ科の海水魚。「イシモチ」や「グチ」とも呼ばれる。「鮸膠にべにかわ」(ニベ科の魚の鰾(うきぶくろ)を原料とする膠(にかわ)。粘着力が強い)「鮸膠(にべ)もしゃしゃりもない」(粘り気もなければ、しやりしゃりしたところもない。味もそっけもない)「鮸膠(にべ)も無い」(愛想がない・とりつきようがない)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
免 メン・ベン・まぬかれる 儿部 miǎn
上が免メン、下が娩ベン
解字 上の免メン・ベンの金文は、第一字が冑かぶとをかぶった人の正面形、第二字が側面形。金文は免氏の器に刻されており姓を表している。[字統]は「免冑メンチュウ(冑をぬぐ)」の意味があるとし、「左右、冑を免(ぬ)ぎて下る」(国語・周語中)「冑を免(ぬ)ぐこと毋(なか)れ」(礼記・曲礼上)の例文を挙げている。篆文になると同音の免メン・ベンに置き換えられた。免は女性が股間をひらいて出産する形だが、ここでは発音だけ表す形声字で免(ぬ)ぐ意となり、さらに意味が転じて、のがれる・まぬがれる・ゆるす意が加わった。旧字は上に刀がついた形になり、現在はクがついた免になっている。
意味 (1)ぬぐ(免ぐ)。「免冠メンカン」(冠をぬぐ。退官する)(2)まぬかれる(免れる)。のがれる。「免責メンセキ」(責任をのがれる)「免疫メンエキ」(疫病をまぬがれる。体内に病原菌が入っても発病しないだけの抵抗力をもっている)(3)ゆるす。「免(メン)じる」「免罪メンザイ」(罪を免ずる)「免許メンキョ」(免も許も、ゆるす意。特定の事をすることを許す)(4)やめさせる。「免職メンショク」「罷免ヒメン」
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「形声字」(免・娩・挽・輓・晩・勉・冕・鮸)
音の変化 メン:免 ベン:娩・勉・冕・鮸 バン:挽・輓・晩
形声字
娩 ベン・うむ 女部 miǎn
解字 甲骨文は女性の胎内から◇形の胎児を両手で取り出すさま。出産の意味を表す。金文は体内と子供だけが描かれている。篆文は「子+免(ベン)」の形声で子供が生まれる意。現代字は「女+免(ベン)」で女性が出産する形となった。
意味 うむ(娩む)。出産する。「分娩ブンベン」「娩痛ベンツウ」(出産時の痛み)
勉 ベン・つとめる・しいる 力部 miǎn
解字 「力(ちから)+免(ベン)」 の形声。力をこめて、つとめることを勉ベンという。[説文解字]は「强(しいる)也(なり)。力に従い免ベン聲(声)」とする。
意味 (1)つとめる(勉める)。はげむ。「勉学ベンガク」「勉励ベンレイ」(つとめはげむ)「勤勉キンベン」(熱心にはげむ) (2)しいる(強いる)。「勉強ベンキョウ」(日本語では強くはげむ意。現代中国語では「無理強いする」意)
挽 バン・ひく 扌部 wǎn
解字 「扌(手)+免(ベン⇒バン)」の形声。手でものを引くことを挽バンという。宋代の発音字典[集韻]は「引く也。音は晚バン」とする。
意味 (1)ひく(挽く)。ひっぱる。「挽回バンカイ」(ひきもどす。取り戻す) (2)人の死を悼む。「挽歌バンカ」(柩を乗せた車を挽くときうたう歌。死者を悲しみ悼む詩歌)(3)[国]ひく(挽く)。カンナやノコギリで削ったり切る。すりつぶす。「挽物ひきもの」(轆轤ロクロで挽いて作った器具)「挽肉ひきにく」
輓 バン・ひく 車部 wǎn
解字 「車(くるま)+免(バン=挽)」の形声。車を挽くことを輓バンという。
意味 (1)ひく(輓く)。車や舟をひく。「輓馬バンバ」(ソリや車をひかせる馬)「推輓スイバン」(車を後ろから推したり前から引くこと。転じて、人を推挙する)(2)人の死を悼む。「輓歌バンカ」(=挽歌)
晩 バン・おそい 日部 wǎn
解字 「日(ひ)+免(バン=挽)」の会意形声。太陽(日)を引っぱりおろすと日が暮れる意。
意味 (1)くれ。日暮れ。夕方。よる。「今晩コンバン」「晩鐘バンショウ」(くれに鳴る鐘)「晩照バンショウ」(夕日の影。夕日)(2)おそい(晩い)。あと。「晩学バンガク」「晩婚バンコン」「晩生おくて」(おそく成長・成熟する)「晩稲おくて」(稲がおそく成長・成熟する)
冕 ベン・かんむり 冂部けい miǎn
蜀の劉備の冕冠ベンカン(ウィキペデアより)
解字 金文は大の字の人が被り物をかぶっている形で、この発音をベンと言った。篆文で、「冃ボウ(かぶりもの)+免(ベン)」の形声となり、ベンというかぶりものを表す。現代字は篆文を受け継いだ冕となった。
意味 かんむり(冕)。天子から大夫まで礼式に用いる冠。「冕冠ベンカン」(皇帝や天皇・国王が着用した冠)「冕服ベンプク」(貴人がつけている冠と衣服)「軒冕ケンベン」(①大夫 (たいふ)以上の人の乗る車と、かぶる冠。②高位高官。また、その人)
鮸 ベン・にべ 魚部 miǎn
解字 「魚(さかな)+免(ベン)」の形声。ベンという名の魚で「にべ」をいう。
鮸にべ(イシモチ)(「沼津港の季節の魚図鑑 」より)
意味 にべ(鮸)。スズキ目ニベ科の海水魚。「イシモチ」や「グチ」とも呼ばれる。「鮸膠にべにかわ」(ニベ科の魚の鰾(うきぶくろ)を原料とする膠(にかわ)。粘着力が強い)「鮸膠(にべ)もしゃしゃりもない」(粘り気もなければ、しやりしゃりしたところもない。味もそっけもない)「鮸膠(にべ)も無い」(愛想がない・とりつきようがない)
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