年ネンと禿トクは成り立ちが 「禾(こくもつ)+人(儿)」 で同じ文字。どうして形と意味がこんなに違ってしまったのか? 同じ構造の秀も参考にしながら、その秘密を解き明かしてみました。
年 ネン・とし 干部

解字 「禾(こくもつ)+人(ひと)」 の会意。甲骨文は、人が実った穀物を肩または頭上にのせている形で、穀物を収穫して運んでいるさま。穀物がみのる意を表わす。また、穀物の収穫は年に一度であるので一年の意となる。金文で人の下部に肥点がつき、篆文で一(一度の意)をつけ年一度の収穫を表した形から現在の字が出来あがった。
意味 (1)みのる。穀物のみのり。「祈年祭キネンサイ」(五穀の豊穣と国の安寧などを祈る祭り) (2)とし(年)。一年。「年俸ネンポウ」「新年シンネン」 (3)よわい。年齢。「老年ロウネン」「少年ショウネン」
禿 トク <頭のはげた人>
禿 トク・はげ・はげる・ちびる・かむろ 禾部
上は秀シュウ、下が禿トク。
解字 秀シュウと禿トクは、篆文において「禾カ(穀物の実ったかたち)+人の変形」であり、字の成り立ちは同じ。しかし、両者は禾カの解釈によって異なった字となった。禾は、粟(あわ)などの穀物が実り、穂がたれているかたちで、それに人をつけた秀は、穀物が実るように頭が充実しているすぐれた人の意となった。音符「秀シュウ」を参照。
一方、禾カは粟のような丸くつるつるした穀粒がみのったかたちでもあり、それに人をつけた禿トクは、つるつるしたまるい実のような頭の人⇒頭のはげた人の意となった。現代字は下部の、人⇒乃に変化した秀と、人⇒儿に変化した禿になった。
意味 (1)はげ(禿)。はげる(禿げる)。頭髪がない。山に樹木がない。「禿頭トクトウ・はげあたま」「禿山はげやま」 (2)ちびる(禿びる)。先がすりきれる。「禿筆トクヒツ・ちびふで」(先のすりきれた筆) (3)[国]かむろ(禿)。かぶろ。髪を短く切りそろえた昔の童子の髪型。
イメージ 「頭髪がない」 (禿・頽)
音の変化 トク:禿 タイ:頽
頭髪がない
頽[禿頁(正字)] タイ・くずれる 頁部
解字 正字は、「頁(あたま)+禿(頭髪がない)」 の会意。頁ケツは人の頭部を表す字。正字は頭に頭髪がない人、老境にさしかかり頭髪がなくなった人を意味し、おとろえるさまをいう。転じて、すたれる・くずれる意となる。頽は異体字だが、こちらが通用している。常用漢字でないため、「退」に書き換えることがある。
意味 (1)おとろえる。すたれる。「頽齢タイレイ」(老いおとろえた年齢)「衰頽スイタイ」(おとろえること。=衰退)「頽廃タイハイ」(おとろえすたれる。=退廃) (2)くずれる(頽れる)。こわれ落ちる。「頽唐タイトウ」(くずれ落ちる。勢力がおとろえる。道徳が乱れる)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
年 ネン・とし 干部

解字 「禾(こくもつ)+人(ひと)」 の会意。甲骨文は、人が実った穀物を肩または頭上にのせている形で、穀物を収穫して運んでいるさま。穀物がみのる意を表わす。また、穀物の収穫は年に一度であるので一年の意となる。金文で人の下部に肥点がつき、篆文で一(一度の意)をつけ年一度の収穫を表した形から現在の字が出来あがった。
意味 (1)みのる。穀物のみのり。「祈年祭キネンサイ」(五穀の豊穣と国の安寧などを祈る祭り) (2)とし(年)。一年。「年俸ネンポウ」「新年シンネン」 (3)よわい。年齢。「老年ロウネン」「少年ショウネン」
禿 トク <頭のはげた人>
禿 トク・はげ・はげる・ちびる・かむろ 禾部

解字 秀シュウと禿トクは、篆文において「禾カ(穀物の実ったかたち)+人の変形」であり、字の成り立ちは同じ。しかし、両者は禾カの解釈によって異なった字となった。禾は、粟(あわ)などの穀物が実り、穂がたれているかたちで、それに人をつけた秀は、穀物が実るように頭が充実しているすぐれた人の意となった。音符「秀シュウ」を参照。
一方、禾カは粟のような丸くつるつるした穀粒がみのったかたちでもあり、それに人をつけた禿トクは、つるつるしたまるい実のような頭の人⇒頭のはげた人の意となった。現代字は下部の、人⇒乃に変化した秀と、人⇒儿に変化した禿になった。
意味 (1)はげ(禿)。はげる(禿げる)。頭髪がない。山に樹木がない。「禿頭トクトウ・はげあたま」「禿山はげやま」 (2)ちびる(禿びる)。先がすりきれる。「禿筆トクヒツ・ちびふで」(先のすりきれた筆) (3)[国]かむろ(禿)。かぶろ。髪を短く切りそろえた昔の童子の髪型。
イメージ 「頭髪がない」 (禿・頽)
音の変化 トク:禿 タイ:頽
頭髪がない
頽[禿頁(正字)] タイ・くずれる 頁部
解字 正字は、「頁(あたま)+禿(頭髪がない)」 の会意。頁ケツは人の頭部を表す字。正字は頭に頭髪がない人、老境にさしかかり頭髪がなくなった人を意味し、おとろえるさまをいう。転じて、すたれる・くずれる意となる。頽は異体字だが、こちらが通用している。常用漢字でないため、「退」に書き換えることがある。
意味 (1)おとろえる。すたれる。「頽齢タイレイ」(老いおとろえた年齢)「衰頽スイタイ」(おとろえること。=衰退)「頽廃タイハイ」(おとろえすたれる。=退廃) (2)くずれる(頽れる)。こわれ落ちる。「頽唐タイトウ」(くずれ落ちる。勢力がおとろえる。道徳が乱れる)
<紫色は常用漢字>
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