「微ビ」と「徴チョウ」は、よく似ている。違いは両字の中央下の字が、兀か王の違いだけ。しかし、両字をさかのぼると成り立ちが全くちがう。微ビの甲骨文は長髪の老人が後ろから手で支えられ、ゆっくり歩くので、わずか・かすか等の意。後に手が攴ボク(攵)に変化するなどして字形が変わった。一方、徴チョウは篆文からある字で、この字の攴ボク(攵)は文字通り打ちすえる意、打ちすえて取り立てる・求める意となる。
微 ビ <長髪の老人が支えられてゆっくり歩く>
微 ビ・ミ・かすか 彳部
解字 甲骨文は、長髪の老人に後ろから手を添えており、老人が支えられながらゆっくり歩む形[甲骨文字小字典]。金文から手の形(又)が攴ボク(手に棒を持つ形)に変化した。攴ボクは手に棒をもって打つ意であり、この変化は金文の筆者が字を形よくしようとして間違いをおかした。さらに篆文から行く意である彳が加わったが、意味は甲骨文が示す「老人が支えられながらゆっくり歩く形」から転じて、わずか・かすか・細かい・よわい・おとろえる等となる。現代字は、攴⇒攵に変化した微となったが、これを字形にそって解字すると、「彳(ゆく)+山(老人の長髪)+兀(老人の体)+攵ボク(支える手の動作)」となる。
意味 (1)かすか(微か)。わずか。ほのか。「微笑ビショウ」「微風ビフウ」 (2)小さい。細かい。弱い。「微細ビサイ」「微小ビショウ」「微塵ミジン」(①こまかいチリ。②ごくわずか)「微塵ミジンもない」 (3)ひそか。ひそかに。 (4)おとろえる。なくなる。「衰微スイビ」 (5)自分のことをへりくだる。「微力ビリョク」
徴 チョウ <出かけて長髪の領主を打つ>
徴 チョウ 彳部
解字 篆文は、「彳(出かける)+頭部の長髪(斜めの山+一)+壬テイ(土盛りに立つ人)+攴(うつ)」の会意。壬テイは土盛りに立つ人の形で地域の領主と思われる。意味は、出かけて長髪の領主を打ちすえて税金や兵を出すよう強要すること。旧字は徵で、頭部の長髪が(山+一)に、壬テイ⇒王になった。新字体は長髪の一が略された徴。これを字形に沿って解字すると、「彳(出かける)+山(長髪)+王(領主)+攵(うつ)」となる。意味は、強制的に動員したり、財貨をとりたてること。また、兆チョウ(きざし)に通じ、きざす意もある。
意味 (1)官の用で呼び出す。めす。「徴兵チョウヘイ」「徴用チョウヨウ」 (2)取り立てる。もとめる。「徴収チョウシュウ」「徴税チョウゼイ」「追徴ツイチョウ」 (3)きざし。「徴候チョウコウ」 (4)(きざしが現れた)しるし。めじるし。「特徴トクチョウ」「象徴ショウチョウ」(シンボル)
イメージ
「出かけて人を打つ」(徴・懲)
音の変化 チョウ:徴・懲
出かけて人を打つ
懲 チョウ・こりる・こらす・こらしめる 心部
解字 「心(こころ)+徴(出かけて打ちすえる)」 の会意形声。出かけて打ちすえて、心に思いしらせること。打つ方は、こらしめる意となり、打たれる方は、こりる意となる。
意味 (1)こらす(懲らす)。こらしめる(懲らしめる)。「懲役チョウエキ」(こらしめる強制労働。労役に服させる刑)「懲罰チョウバツ」(こらしめるための罰。不正な行為に対し制裁を加える)「勧善懲悪カンゼンチョウアク」(善い事を勧め、悪事をこらしめる) (2)こりる(懲りる)。こりごりする。「羹あつものに懲りて膾なますを吹く」(熱い汁物を食べたら懲りたので、冷たい膾なます(生肉の刺身)を食べる時も吹いて冷まそうとする。必要以上に用心深くなること)
<紫色は常用漢字>
参考 音符「微ビ」へ
音符「徴チョウ」へ
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微 ビ <長髪の老人が支えられてゆっくり歩く>
微 ビ・ミ・かすか 彳部
解字 甲骨文は、長髪の老人に後ろから手を添えており、老人が支えられながらゆっくり歩む形[甲骨文字小字典]。金文から手の形(又)が攴ボク(手に棒を持つ形)に変化した。攴ボクは手に棒をもって打つ意であり、この変化は金文の筆者が字を形よくしようとして間違いをおかした。さらに篆文から行く意である彳が加わったが、意味は甲骨文が示す「老人が支えられながらゆっくり歩く形」から転じて、わずか・かすか・細かい・よわい・おとろえる等となる。現代字は、攴⇒攵に変化した微となったが、これを字形にそって解字すると、「彳(ゆく)+山(老人の長髪)+兀(老人の体)+攵ボク(支える手の動作)」となる。
意味 (1)かすか(微か)。わずか。ほのか。「微笑ビショウ」「微風ビフウ」 (2)小さい。細かい。弱い。「微細ビサイ」「微小ビショウ」「微塵ミジン」(①こまかいチリ。②ごくわずか)「微塵ミジンもない」 (3)ひそか。ひそかに。 (4)おとろえる。なくなる。「衰微スイビ」 (5)自分のことをへりくだる。「微力ビリョク」
徴 チョウ <出かけて長髪の領主を打つ>
徴 チョウ 彳部
解字 篆文は、「彳(出かける)+頭部の長髪(斜めの山+一)+壬テイ(土盛りに立つ人)+攴(うつ)」の会意。壬テイは土盛りに立つ人の形で地域の領主と思われる。意味は、出かけて長髪の領主を打ちすえて税金や兵を出すよう強要すること。旧字は徵で、頭部の長髪が(山+一)に、壬テイ⇒王になった。新字体は長髪の一が略された徴。これを字形に沿って解字すると、「彳(出かける)+山(長髪)+王(領主)+攵(うつ)」となる。意味は、強制的に動員したり、財貨をとりたてること。また、兆チョウ(きざし)に通じ、きざす意もある。
意味 (1)官の用で呼び出す。めす。「徴兵チョウヘイ」「徴用チョウヨウ」 (2)取り立てる。もとめる。「徴収チョウシュウ」「徴税チョウゼイ」「追徴ツイチョウ」 (3)きざし。「徴候チョウコウ」 (4)(きざしが現れた)しるし。めじるし。「特徴トクチョウ」「象徴ショウチョウ」(シンボル)
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「出かけて人を打つ」(徴・懲)
音の変化 チョウ:徴・懲
出かけて人を打つ
懲 チョウ・こりる・こらす・こらしめる 心部
解字 「心(こころ)+徴(出かけて打ちすえる)」 の会意形声。出かけて打ちすえて、心に思いしらせること。打つ方は、こらしめる意となり、打たれる方は、こりる意となる。
意味 (1)こらす(懲らす)。こらしめる(懲らしめる)。「懲役チョウエキ」(こらしめる強制労働。労役に服させる刑)「懲罰チョウバツ」(こらしめるための罰。不正な行為に対し制裁を加える)「勧善懲悪カンゼンチョウアク」(善い事を勧め、悪事をこらしめる) (2)こりる(懲りる)。こりごりする。「羹あつものに懲りて膾なますを吹く」(熱い汁物を食べたら懲りたので、冷たい膾なます(生肉の刺身)を食べる時も吹いて冷まそうとする。必要以上に用心深くなること)
<紫色は常用漢字>
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