漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「亥ガイ」<ぶたの骨格> と 「骸ガイ」「該ガイ」「劾ガイ」「咳ガイ」「孩ガイ」「駭ガイ」「核カク」「刻コク」

2024年12月27日 | 漢字の音符
  改訂しました。
 ガイ・い   亠部 hài   
 
解字 いのしし、またはぶたの骨格をたてに描いた象形。骨組みの形を表す。仮借カシャ(当て字)して甲骨文字から十二支の12番目に当てられている。

十二支と方位(「暮らし歳時記」より)
意味 (1)い(亥)。十二支の第12番目に当てる。動物はいのしし。月では十月。「亥月ガイゲツ」(陰暦十月の異称)(2)昔の時刻で午後10時およびその前後一時間。「亥の刻イのコク」(3)昔の方角の名。北北西。(4)「亥豕ガイシの誤り」(文字の書き誤りのこと)。※亥ガイ(干支の亥・いのしし)と豕(いのこ・いのしし)は意味が似ているが、字の由来は豕は動物の豚(ぶた)を、亥ガイは豚などの骨格を示す。

イメージ 
 「ほねぐみ」
(亥・骸・刻・劾・該)
  骨は「かたい」(核) 
 「形声字」(咳・孩・駭)
音の変化  ガイ:亥・骸・該・劾・咳・孩・駭  カク:核  コク:刻

ほねぐみ
 ガイ・むくろ  骨部 hái 
解字 「骨(ほね)+亥(ほねぐみ)」の会意形声。亥が十二支に当てられたので、骨をつけてもとの意味(ほねぐみ)を表わす字とした。
意味 (1)骨。骨格。人骨の総称。「骸骨ガイコツ」(①体の骨。②骨だけになった死体。③からだ。身体)「頭蓋骨ズガイコツ」(頭の骨)「死骸シガイ」「形骸ケイガイ」(中身が失われて外形だけが残ること)(2)むくろ(骸)。からだ。身体。「骸躯ガイク」(からだ。身体)「骸筋ガイキン」(身体)
 コク・きざむ  刂部 kè
解字 「刂(刀)+亥(ほねぐみ)」の会意形声。刀で骨組み(骨)にきざみ目を入れること。
意味 (1)きざむ(刻む)。ほりつける。「刻印コクイン」(①印を彫る、②刻みつける、刻みつけたもの)「彫刻チョウコク」「刻銘コクメイ」(金属や石に名前などを刻むこと)(2)むごい。ひどい。きびしい。「刻苦コック」(甚だしい苦労)「深刻シンコク」(3)とき(刻)。時間。「時刻ジコク」「即刻ソッコク」(すぐさま)
 ガイ  力部 hé
解字 「力(ちから)+亥(全体の骨組み)」全体の骨組みを強力にしらべてあばき、告発すること。
意味 (1)しらべる。追求する。罪状を取り調べる。「劾案ガイアン」(罪をきびしく調べる)(2)告発する。罪をあばいて訴える。「弾劾ダンガイ」(弾は責める、劾は告発する。不正をあばき責任を追及する)「劾状ガイジョウ」(告発状)
 ガイ  言部 gāi  
解字 「言(いう)+亥(全体の骨組み)」の会意形声。複雑な骨組みの全体について言うこと。
意味 (1)あまねく。かねそなわる。「該博ガイハクな知識」「該究ガイキュウ」(広く研究する)(2)あたる。あてはまる。「該当ガイトウ

かたい
 カク・さね  木部 hé・hú
解字 「木(き)+亥(かたい)」の会意形声。木のかたい実。

鬼クルミの核果
意味 (1)さね(核)。果実のたね。「核果カクカ」(果実のなかの堅い実)(2)物事の中心。かなめ。「核心カクシン」「中核チュウカク」(中央の重要な部分)(3)物体・細胞・原子などの中心にあるもの。「原子核ゲンシカク」「地核チカク」(地球の中心)(4)核分裂の連鎖反応を利用した兵器。「核兵器カクヘイキ」「核爆弾カクバクダン

形声字 
 ガイ・カイ・せき・せく・しわぶき・しわぶく  口部 hāi・ké
解字 「口(くち)+亥(ガイ・カイ)」の形声。ガイガイ・カイカイと口から出る音。咳をする音、また、乳児の笑い声に例える。咳と乳児の笑い声は息が途切れて出るところに共通性がある。
意味 (1)せき(咳)。せく(咳く)。しわぶき(咳)。しわぶく(咳く)。せきばらい。「咳気ガイケ・ガイキ」(咳のでる病気。かぜ)「咳唾ガイダ」(せきとつば。せきばらい)(2)幼児が笑う。「咳嬰ガイエイ」(幼児の笑い)
 ガイ・カイ・ちのみご・あかご  子部 hái
解字 「子(こども)+亥(ガイ・カイ)」の形声。ガイガイ・カイカイと途切れるような声で笑う子(乳児)。
意味 (1)ちのみご(孩)。あかご。幼児。「孩児ガイジ」(幼児。=孩子ガイシ)「孩抱ガイホウ」(幼児を抱く。また、抱っこする程のあかご)「孩提ガイテイ」(幼児と手をつないで歩く。また、連れ歩ける程の2~3歳の幼児)「孩心ガイシン」(おさなごころ)(2)幼児が笑うこと。「孩笑ガイショウ」(赤子の笑い)
 ガイ・カイ・おどろく  馬部 hài
解字 「馬(うま)+亥(ガイ)」の形声。敏感な動物である馬がおどろくことを駭ガイといい、人にうつしてもちいる。おどろく意で馬を含む字に驚キョウ、おどろいてさわぐ意に騒ソウがある。なお、「馬+戒」の駴カイ・ガイもおどろく意。
意味 おどろく(駭く)。おどろかす。=駴カイ・ガイ。「震駭シンガイ」(震えおどろく)「駭嘆ガイタン」(おどろき嘆く)
<紫色は常用漢字>

  バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。


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