改訂しました。
受 ジュ・シュウ・ズ・うける・うかる 又部 shòu
上は受、下は舟
解字 甲骨文は「上からの手+舟シュウ(ふね)+下の手」のかたち。[甲骨文字辞典]は「舟の上下に手の形を加えており、水上で舟を受け渡すことを表している。舟は発音も表す亦声エキセイ(意味と発音を兼ねる)の部分で、意味は、①うける。うけとる。②さずける。授与する。③祭祀の名。④地名」とする。金文も同じ形であり、意味も、①受ける。②さずける、意味がある。篆文にいたり、上の手が水平に、舟⇒冂、下の手⇒又」になり、現代字は、さらに変化した受になった。発音は、舟シュウから転音した、シュウ(漢音)・ジュ・ズ(呉音)の3音がある。
意味 (1)うける(受ける)。うけとる。もらう。「受賞ジュショウ」「受験ジュケン」「受付うけつけ」(2)うけいれる。「受諾ジュダク」「受容ジュヨウ」(3)こうむる。「受難ジュナン」
イメージ
「うける・わたす」(受・授・綬)
音の変化 ジュ:受・授・綬
うける・わたす
授 ジュ・さずける・さずかる 扌部 shòu
意味 「扌(手)+受(うける・わたす)」の会意形声。手でわたす意では、さずけるになり、手でうける意では、さずかるとなる。
意味 (1)さずける(授ける)「授業ジュギョウ」「授乳ジュニュウ」「授賞式ジュショウシキ」(賞をさずける式)「教授キョウジュ」(2)さずかる(授かる)。「神授シンジュ」(神からさずかる)「天授テンジュ」(天からさずかる。生まれつき備えているもの。また、その才能)
綬 ジュ 糸部 shòu
解字 「糸(いと⇒織物)+受(うける)」の会意形声。印章や勲章・褒賞をさずかる時に付属している絹織物の小幅帯(テープ)を言う。印章や勲章・褒賞の種類によって小幅帯の色が異なる。現在の勲章の綬は縁取りの線が入っているものが多いので、褒賞ホウショウの綬と、印章インショウの綬について説明する。
意味 (1)褒賞の綬。特定の社会的分野における、事蹟や徳行のすぐれた方に与えられる賞。種類は紅綬、緑綬、黄綬、紫綬、藍綬とあって、綬色によって名称づけられている。金色のメダルを嵌めこんだ装具の上に短い綬が付いており、受賞者は綬を衣服に止めて飾る。
褒章一覧(「叙勲コム」より)下の丸印は略綬(円形の綬で胸に着用できる)
(2)印章の綬
古代中国で、官の職員が職務で用いる印章を、身につけるのに用いた絹織物の幅のある薄帯を綬ジュと言った。印章をもつ官員は書類を見て承認すると押印して、次の官職に回してゆく。現在の押印は朱肉に色を付けてから紙に押すが、古代の書類は竹簡だったから直接の押印はできない。したがって読み終わると竹簡を紐でしっかりと括って袋などに入れ、他の人に読まれて改竄ざんされないよう工夫をした。
それは紐の両端を、印章より少し大きめの四角く掘りこんだ木枠に通して泥をかぶせ(封泥)、その上から印章を押すことだった。泥が乾くと印章の跡が残るので誰の印章か判る。もし、紐を切って竹簡の一部を改竄しても、封泥を壊さないと紐を換えることができない。そのため印章は現在の印鑑の文字面が凸版になっているのに対し、凹版になっていた。これだと封泥の文字は浮き上がって見える。以下の「中国古代の封泥」(東京国立博物館オンライン講演会)を見ると古代の印章の役割がよく分かる。
印章は封泥をして次の官に回すため、多くの官職がそれぞれの印章を持ち常に身に帯びていた。印章と衣服を結びつけていたのが綬である。古代の綬がどんな形だったかはっきりしないが、阿部幸信著「印綬が創った天下秩序」(山川出版社)によると「公印だけでなく綬も官給品であり、文献の伝える製法によると綬は細長い絹の織物だった。それぞれの綬には基調となる色が定められており、色の色調が官職の上下によって異なっていた。綬の幅は1尺6寸(38.4㎝)と一定であった。綬の長さは、上位の綬ほど長く、皇帝の綬は2丈9尺(7メートル弱)にも及び、下級官吏の綬でも1丈5尺(約3.6メートル)あったという(「続漢書」)。古代の綬は幅が広く、かなり長い織物だった。
上記の記述などを簡潔にまとめ、図版にして展示しているのが、福岡市博物館の「印と綬の説明パネル」である。(https://4travel.jp/travelogue/11727193 )
パネルの右は、印の材質と綬の色の関係を示しており、最上位の印材である玉璽ジの綬色は黄赤であり、次の金印は緑と紫の綬、銀印は青綬、銅印は黒綬および黄綬となっている。
綬がどんな形であったかを図示したのが左図であり、「綬は長く巾広い絹綬で、帯から垂らして端を印章につなぎ懐に入れていた。綬は位によって色が異なり、外見でその人の身分を知ることができる」との説明がある。パネルの人物は青綬を垂らしているので、銀印をもつ身分の綬を表している。
以上、綬について説明させていただいた。東京国立博物館と福岡市博物館案内のオンライン上の資料を利用させていただきました。御礼を申し上げます。
参考写真 金印の上部(左)と刻面(右下)、および左右反転させた印影(右上)
印の上部蛇鈕と印面の「漢委奴國王」と、その反転した印影(中国ネットから。金印はレプリカと思われる)。印面の文字が彫り込まれているので、印影の文字が白くなっている。粘土に押し付けた(封泥)ときは、文字が浮き出る。蛇鈕の穴に紐などを通して綬と結びつけたと思われるが、具体的な方法は分っていない。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
受 ジュ・シュウ・ズ・うける・うかる 又部 shòu
上は受、下は舟
解字 甲骨文は「上からの手+舟シュウ(ふね)+下の手」のかたち。[甲骨文字辞典]は「舟の上下に手の形を加えており、水上で舟を受け渡すことを表している。舟は発音も表す亦声エキセイ(意味と発音を兼ねる)の部分で、意味は、①うける。うけとる。②さずける。授与する。③祭祀の名。④地名」とする。金文も同じ形であり、意味も、①受ける。②さずける、意味がある。篆文にいたり、上の手が水平に、舟⇒冂、下の手⇒又」になり、現代字は、さらに変化した受になった。発音は、舟シュウから転音した、シュウ(漢音)・ジュ・ズ(呉音)の3音がある。
意味 (1)うける(受ける)。うけとる。もらう。「受賞ジュショウ」「受験ジュケン」「受付うけつけ」(2)うけいれる。「受諾ジュダク」「受容ジュヨウ」(3)こうむる。「受難ジュナン」
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「うける・わたす」(受・授・綬)
音の変化 ジュ:受・授・綬
うける・わたす
授 ジュ・さずける・さずかる 扌部 shòu
意味 「扌(手)+受(うける・わたす)」の会意形声。手でわたす意では、さずけるになり、手でうける意では、さずかるとなる。
意味 (1)さずける(授ける)「授業ジュギョウ」「授乳ジュニュウ」「授賞式ジュショウシキ」(賞をさずける式)「教授キョウジュ」(2)さずかる(授かる)。「神授シンジュ」(神からさずかる)「天授テンジュ」(天からさずかる。生まれつき備えているもの。また、その才能)
綬 ジュ 糸部 shòu
解字 「糸(いと⇒織物)+受(うける)」の会意形声。印章や勲章・褒賞をさずかる時に付属している絹織物の小幅帯(テープ)を言う。印章や勲章・褒賞の種類によって小幅帯の色が異なる。現在の勲章の綬は縁取りの線が入っているものが多いので、褒賞ホウショウの綬と、印章インショウの綬について説明する。
意味 (1)褒賞の綬。特定の社会的分野における、事蹟や徳行のすぐれた方に与えられる賞。種類は紅綬、緑綬、黄綬、紫綬、藍綬とあって、綬色によって名称づけられている。金色のメダルを嵌めこんだ装具の上に短い綬が付いており、受賞者は綬を衣服に止めて飾る。
褒章一覧(「叙勲コム」より)下の丸印は略綬(円形の綬で胸に着用できる)
(2)印章の綬
古代中国で、官の職員が職務で用いる印章を、身につけるのに用いた絹織物の幅のある薄帯を綬ジュと言った。印章をもつ官員は書類を見て承認すると押印して、次の官職に回してゆく。現在の押印は朱肉に色を付けてから紙に押すが、古代の書類は竹簡だったから直接の押印はできない。したがって読み終わると竹簡を紐でしっかりと括って袋などに入れ、他の人に読まれて改竄ざんされないよう工夫をした。
それは紐の両端を、印章より少し大きめの四角く掘りこんだ木枠に通して泥をかぶせ(封泥)、その上から印章を押すことだった。泥が乾くと印章の跡が残るので誰の印章か判る。もし、紐を切って竹簡の一部を改竄しても、封泥を壊さないと紐を換えることができない。そのため印章は現在の印鑑の文字面が凸版になっているのに対し、凹版になっていた。これだと封泥の文字は浮き上がって見える。以下の「中国古代の封泥」(東京国立博物館オンライン講演会)を見ると古代の印章の役割がよく分かる。
印章は封泥をして次の官に回すため、多くの官職がそれぞれの印章を持ち常に身に帯びていた。印章と衣服を結びつけていたのが綬である。古代の綬がどんな形だったかはっきりしないが、阿部幸信著「印綬が創った天下秩序」(山川出版社)によると「公印だけでなく綬も官給品であり、文献の伝える製法によると綬は細長い絹の織物だった。それぞれの綬には基調となる色が定められており、色の色調が官職の上下によって異なっていた。綬の幅は1尺6寸(38.4㎝)と一定であった。綬の長さは、上位の綬ほど長く、皇帝の綬は2丈9尺(7メートル弱)にも及び、下級官吏の綬でも1丈5尺(約3.6メートル)あったという(「続漢書」)。古代の綬は幅が広く、かなり長い織物だった。
上記の記述などを簡潔にまとめ、図版にして展示しているのが、福岡市博物館の「印と綬の説明パネル」である。(https://4travel.jp/travelogue/11727193 )
パネルの右は、印の材質と綬の色の関係を示しており、最上位の印材である玉璽ジの綬色は黄赤であり、次の金印は緑と紫の綬、銀印は青綬、銅印は黒綬および黄綬となっている。
綬がどんな形であったかを図示したのが左図であり、「綬は長く巾広い絹綬で、帯から垂らして端を印章につなぎ懐に入れていた。綬は位によって色が異なり、外見でその人の身分を知ることができる」との説明がある。パネルの人物は青綬を垂らしているので、銀印をもつ身分の綬を表している。
以上、綬について説明させていただいた。東京国立博物館と福岡市博物館案内のオンライン上の資料を利用させていただきました。御礼を申し上げます。
参考写真 金印の上部(左)と刻面(右下)、および左右反転させた印影(右上)
印の上部蛇鈕と印面の「漢委奴國王」と、その反転した印影(中国ネットから。金印はレプリカと思われる)。印面の文字が彫り込まれているので、印影の文字が白くなっている。粘土に押し付けた(封泥)ときは、文字が浮き出る。蛇鈕の穴に紐などを通して綬と結びつけたと思われるが、具体的な方法は分っていない。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
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