問題 次の□に上の漢字を入れてください。
(1)大役を□める。
(2)技術向上に□める。
(3)工場に□める。
「つとめる」というと普通、「力を尽くしてことを行うこと」というイメージがありますが、語源はなんと「ツト(夙)」(朝早く)に由来するそうです。「ツト-む」は、「朝早くから立ちはたらく意で、ものごとにつとめ精出すこと」と「字訓」にあります。「岩波古語辞典」にも「ツト-め」はツト(夙)と同根としています。「ツト-める」は活用変化したかたちです。
そういえば「つと」を含む言葉は結構あります。「つとに」といえば「①朝早く、②早くから」という意味ですし、「つとめて」といえば枕草子の「春はあけぼの、冬はつとめて(早朝・あかつき)」などでおなじみですね。
日本人は「つとめる」を、朝早くからはたらく意で用いましたが、漢字の伝来によりそれぞれの字の意味に合わせて使い分けるようになりました。漢字字典で「つとめる」を引くと20字以上が出ていますが、ここではよく用いる3つの漢字を紹介します。
その前に、語源の「ツト」も漢字がありますので紹介します。
夙 シュク・つとに 凡部
解字 甲骨文字は月に向かって両手をのばして座る人の形(会意)。月に祈る形を表している。金文は「月+両手を出す人」、篆文は「夕+両手を出す人」の形。篆文の夕は夕方でなく月の意。夜のまだ明けやらぬうちから月を拝するさまで、早朝から(また、早くから)の意味を示す。現代字は「両手を出す人」の部分が「凡」に変化した「凡+夕」の夙になった。
意味 (1)つとに(夙に)。はやく。(A)朝早く。「夙起シュクキ」(朝早く起きる)(B)むかしから。「夙志シュクシ」(早くから抱いていたこころざし)。(2)あさ。早朝。「夙夜シュクヤ」(朝早くから夜おそくまで。また、早朝)
「つとめる」の漢字3種です
勤 キン・ゴン・つとめる 力部
勤の音符は堇キン 土部
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解字 甲骨文は手を縛られ火の上に立つ人で、ひでりのとき犠牲の人を焚(や)いて雨乞いをする祭祀を表している(「字源(中国)」「字統」などを参照)。金文もほぼ同じ形を踏襲したが、篆文で下部が火⇒土に誤った変化をして意味も「ねばつち」や「ぬる」意となったが、形声字の音符になると「ひでり」、ひでりで実りが「わずか・すくない」イメージをもつ。
意味 (1)ねばつち。(2)ぬる。
勤キン・ゴンの解字
解字 旧字は勤で「力(ちから)+堇(日でり・艱難カンナン)」の会意形声。日でりの続く困難な状態の中で力のかぎりをつくすこと。つとめる・はげむ意となる。日本では会社・役所などで働く意味でも用いる。
意味 (1)つとめる(勤める)。精を出す。こまめに働く。「勤勉キンベン」「勤労キンロウ」 (2)[国]つとめ(勤め)。つとめる(勤める)。会社・役所などの従業員・職員として働く。また、その仕事。「勤務キンム」「銀行に勤める」「勤め人」 (3)つとめ(勤め)。寺での修行。「勤行ゴンギョウ」「本堂でお勤めをする」
努 ド・つとめる 力部
努の音符は奴ド
解字 「女(おんな)+又(て)」の会意。手で女を捕らえ、不自由化して奴隷にする意。女だけでなく男女の奴隷につかう。
意味 (1)しもべ。召使い。使用人。「奴隷ドレイ」「農奴ノウド」(領主に隷属して農業を行なう農民) (2)[国]やっこ(奴)。武家の下男。大名行列にお供の先をつとめた。「町奴まちやっこ」(江戸市中の侠客)「奴凧やっこだこ」 (3)やつ(奴)。他人をいやしめていう語。「奴等やつら」
努の解字
解字 「力(スキ)+奴(農奴)」の会意形声。力は農具のスキの象形。農奴がスキで黙々と農作業をすること。
意味 (1)つとめる(努める)。はげむ。「努力ドリョク」「解決に努める」「完成に努める」 (2)[国]つとめて(努めて)。できるだけ。「努めて早起きする」 (3)[国]ゆめ(努)。「努努ゆめゆめ」(けっして)
務 ム・つとめる 力部
務の音符は矛ム
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銅矛(弥生時代後期)東京国立博物館蔵
解字 長い柄の先に、鋭い両刃の穂先をつけた槍のような武器の象形。金文は、上の曲線が刃先、途中の半環状のものは、銅戈写真の下部に見える、飾り紐をつける耳といわれる部分と思われる。この下に柄がつく。篆文は形が大きく変わり、これを受け継いで隷書レイショ(漢代)が成立、現代字へとつづく。矛は部首となるが、「ほこ」の意で音符ともなる。
覚え方 よ(予)の(ノ)ほこる矛(ほこ)は、盾を突きぬけ矛盾なし「予+ノ=矛」
意味 ほこ(矛)。長い柄の先に両刃の剣をつけた武器。「矛盾ムジュン」(①ほことたて。②つじつまの合わないこと)「矛戟ボウゲキ」(戟は二つの刃先のあるほこ)
務の解字
解字 「攵(つく)+力(ちから)+矛(ほこ)」の会意形声。矛を力をいれて突くこと。戦いの場などで力いっぱい役目を果たす意となる。攵ボクは、もとの形は攴ボクで「うつ」意。ここでは矛をつく意となる。
意味 (1)つとめ(務め)。やくめ。自分の役割としての仕事。「業務ギョウム」「公務コウム」「任務ニンム」 (2)つとめる(務める)。自分の役目にはげむ。「勤務キンム」「議長を務める」「主役を務める」「親の務め」 (3)つとめて(務めて)。ぜひとも。「務必ムヒツ」(かならず)
問題と正解
(4)大役を□める。
(5)技術向上に□める。
(6)工場に□める。
正解
(1)大役を「つとめる」は、役割を果たすことですから、矛を持って自分の役割をする務が正解です。
(2)技術向上に「つとめる」は努力する意ですから、努が正解です。
(3)工場に「つとめる」は日本では、精を出す・こまめに働く意である勤が慣用的に使われます。
(1)大役を□める。
(2)技術向上に□める。
(3)工場に□める。
「つとめる」というと普通、「力を尽くしてことを行うこと」というイメージがありますが、語源はなんと「ツト(夙)」(朝早く)に由来するそうです。「ツト-む」は、「朝早くから立ちはたらく意で、ものごとにつとめ精出すこと」と「字訓」にあります。「岩波古語辞典」にも「ツト-め」はツト(夙)と同根としています。「ツト-める」は活用変化したかたちです。
そういえば「つと」を含む言葉は結構あります。「つとに」といえば「①朝早く、②早くから」という意味ですし、「つとめて」といえば枕草子の「春はあけぼの、冬はつとめて(早朝・あかつき)」などでおなじみですね。
日本人は「つとめる」を、朝早くからはたらく意で用いましたが、漢字の伝来によりそれぞれの字の意味に合わせて使い分けるようになりました。漢字字典で「つとめる」を引くと20字以上が出ていますが、ここではよく用いる3つの漢字を紹介します。
その前に、語源の「ツト」も漢字がありますので紹介します。
夙 シュク・つとに 凡部
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解字 甲骨文字は月に向かって両手をのばして座る人の形(会意)。月に祈る形を表している。金文は「月+両手を出す人」、篆文は「夕+両手を出す人」の形。篆文の夕は夕方でなく月の意。夜のまだ明けやらぬうちから月を拝するさまで、早朝から(また、早くから)の意味を示す。現代字は「両手を出す人」の部分が「凡」に変化した「凡+夕」の夙になった。
意味 (1)つとに(夙に)。はやく。(A)朝早く。「夙起シュクキ」(朝早く起きる)(B)むかしから。「夙志シュクシ」(早くから抱いていたこころざし)。(2)あさ。早朝。「夙夜シュクヤ」(朝早くから夜おそくまで。また、早朝)
「つとめる」の漢字3種です
勤 キン・ゴン・つとめる 力部
勤の音符は堇キン 土部
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解字 甲骨文は手を縛られ火の上に立つ人で、ひでりのとき犠牲の人を焚(や)いて雨乞いをする祭祀を表している(「字源(中国)」「字統」などを参照)。金文もほぼ同じ形を踏襲したが、篆文で下部が火⇒土に誤った変化をして意味も「ねばつち」や「ぬる」意となったが、形声字の音符になると「ひでり」、ひでりで実りが「わずか・すくない」イメージをもつ。
意味 (1)ねばつち。(2)ぬる。
勤キン・ゴンの解字
解字 旧字は勤で「力(ちから)+堇(日でり・艱難カンナン)」の会意形声。日でりの続く困難な状態の中で力のかぎりをつくすこと。つとめる・はげむ意となる。日本では会社・役所などで働く意味でも用いる。
意味 (1)つとめる(勤める)。精を出す。こまめに働く。「勤勉キンベン」「勤労キンロウ」 (2)[国]つとめ(勤め)。つとめる(勤める)。会社・役所などの従業員・職員として働く。また、その仕事。「勤務キンム」「銀行に勤める」「勤め人」 (3)つとめ(勤め)。寺での修行。「勤行ゴンギョウ」「本堂でお勤めをする」
努 ド・つとめる 力部
努の音符は奴ド
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解字 「女(おんな)+又(て)」の会意。手で女を捕らえ、不自由化して奴隷にする意。女だけでなく男女の奴隷につかう。
意味 (1)しもべ。召使い。使用人。「奴隷ドレイ」「農奴ノウド」(領主に隷属して農業を行なう農民) (2)[国]やっこ(奴)。武家の下男。大名行列にお供の先をつとめた。「町奴まちやっこ」(江戸市中の侠客)「奴凧やっこだこ」 (3)やつ(奴)。他人をいやしめていう語。「奴等やつら」
努の解字
解字 「力(スキ)+奴(農奴)」の会意形声。力は農具のスキの象形。農奴がスキで黙々と農作業をすること。
意味 (1)つとめる(努める)。はげむ。「努力ドリョク」「解決に努める」「完成に努める」 (2)[国]つとめて(努めて)。できるだけ。「努めて早起きする」 (3)[国]ゆめ(努)。「努努ゆめゆめ」(けっして)
務 ム・つとめる 力部
務の音符は矛ム
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銅矛(弥生時代後期)東京国立博物館蔵
解字 長い柄の先に、鋭い両刃の穂先をつけた槍のような武器の象形。金文は、上の曲線が刃先、途中の半環状のものは、銅戈写真の下部に見える、飾り紐をつける耳といわれる部分と思われる。この下に柄がつく。篆文は形が大きく変わり、これを受け継いで隷書レイショ(漢代)が成立、現代字へとつづく。矛は部首となるが、「ほこ」の意で音符ともなる。
覚え方 よ(予)の(ノ)ほこる矛(ほこ)は、盾を突きぬけ矛盾なし「予+ノ=矛」
意味 ほこ(矛)。長い柄の先に両刃の剣をつけた武器。「矛盾ムジュン」(①ほことたて。②つじつまの合わないこと)「矛戟ボウゲキ」(戟は二つの刃先のあるほこ)
務の解字
解字 「攵(つく)+力(ちから)+矛(ほこ)」の会意形声。矛を力をいれて突くこと。戦いの場などで力いっぱい役目を果たす意となる。攵ボクは、もとの形は攴ボクで「うつ」意。ここでは矛をつく意となる。
意味 (1)つとめ(務め)。やくめ。自分の役割としての仕事。「業務ギョウム」「公務コウム」「任務ニンム」 (2)つとめる(務める)。自分の役目にはげむ。「勤務キンム」「議長を務める」「主役を務める」「親の務め」 (3)つとめて(務めて)。ぜひとも。「務必ムヒツ」(かならず)
問題と正解
(4)大役を□める。
(5)技術向上に□める。
(6)工場に□める。
正解
(1)大役を「つとめる」は、役割を果たすことですから、矛を持って自分の役割をする務が正解です。
(2)技術向上に「つとめる」は努力する意ですから、努が正解です。
(3)工場に「つとめる」は日本では、精を出す・こまめに働く意である勤が慣用的に使われます。
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