本稿では「音符」を、「音節」の意味と「音符」の両方の意味で使っています。
数年前に「英単語の語源図鑑」(かんき出版)という本がさかんに売れたことがある。あの頃は英語の語源に関する本がブームになり、多くの本が出版された。私もこのブログ「漢字の音符」で、漢字を分解して同じ音符でまとめる作業をしているので、英単語の語源と漢字の音符とのあいだに何か共通する点があるのではないか思い、本を購入して読んだことがある。
読んでみると、英語の語源も核となる言葉があって、その前後に前置詞、後置詞がついて、多くの家族字ができていることが分かったが、漢字音符と比較して考察するには両者はあまりにも隔たりがあり過ぎるというのが実感であった。
漢字は字形というものはあるが、その発音は隠れているのに対し、英語の熟語は字形がない代わりにアルファベットの26文字だけで多くの発音が表されているからである。両者はまったく真逆の言語なのである。
漢字は「やま」を表すのに「山」という図形を描いて文字にし、「サン」という名で呼んだ。英語はアルファベットで「mountain」と表記し「やま」の発音を表して「やま」の概念を伝える。
音符にこだわる私は、英語の単語がわずか数個前後のアルファベットで、どうして多くの発音を表すことが可能なのか? 音符は音符でも、いわば単語のなかにある発音の原理(=音符)に興味をもつようになったのである。
「英単語の語源図鑑」は、清水建二・すずきひろし著で手元の本は、2018年5月1刷・8月8刷とあるから、その当時、短期間でかなり増刷しており売れ行きがよかったことがわかる。
さて、本の題名になっている英単語の「単語」というのは「意味のひとまとまりを表し、構文上の働きをもつものとしての、極小とされる単位」(Oxford Languagesの定義)であり、 従って「英単語の語源」とは「英単語の本来の形や意味、それに成立の由来や起源」のことである。
まず本の導入部を読むと、「語源のパーツには3種類あります」とあるが、正確に言うと「英単語のパーツには3種類あります」であろう。本のタイトルが語源を用いているので、「語源」⇒「英単語」の意味で用いているようだ。
その3種類とは、(1)語の先につく「接頭辞」(2)真ん中にきて意味の中核をなす「語根」(3)最後につく「接尾辞」があり、最初の例として挙げている、attractionは、 at(接頭辞)と tract (語根)と ion(接尾辞)から成り、語根の tract は、引く意だという。
以下に、この本から4つの語根を選んで、それがどのように組み合わさって用いられているかを紹介させていただく。
tract(引く)
at(~の方へ)+tract(引く)+ion(接尾辞。名詞化)は、引き付けるもの(attraction)⇒魅力
con(共に)+tract (引く)は、引き合う(contract)⇒契約する
ex(外に)+tract (引く)⇒外に引く(extract)⇒引き出す
dis(離れて)+tract (引く)+ion(接尾辞)⇒引き離すもの(distraction)⇒気晴らし。
とあって、語根の tractに接頭辞と接尾辞が付いて、4種類の単語ができていることがわかる。漢字でいうと語根は音符にあたり、 at(接頭辞)と ion(接尾辞)は漢字では強いていえば部首にあたる。しかし、漢字の場合は文字の一部として枠の中に組み込まれてしまうのに対し、英語の単語はアルファベットの文字が連続して並ぶという特徴がある。
mini(小さい)
mini(小さい)+ster(人)⇒(神に仕える)小さい人(僕しもべ)で牧師(minister)。転じて大臣。
ad(~の方へ)+ minister(大臣)⇒治める。執行する(administer 治める・執行する)。名詞形(administration、支配・政治・行政)
di(分離)+mini(小さい)+sh(接尾辞)⇒小さくなる(diminish 減少する)
just(正しい)
ad(~の方へ)+just(正しい)=正しい方向へ(adjust)⇒調節・適合させる
just(正しい)+ice(名詞化)=正しいこと(justice)⇒公平。正義。
just(正しい)+ ify(動詞に)=正しいものにする(justify)⇒正当化。
serve(保つ、守る)
ob(~に向かって)+ serve(保つ・守る)⇒観察する・気づく・守る(observe)
re(うしろ)+ serve(保つ・守る)⇒後ろに置いておく。取っておく(reserve)
con(共に)+ serve(保つ・守る)⇒みんなで取っておく。保存・保護する(conserve)
pre(前に)+ serve(保つ・守る)⇒あらかじめ取っておく。保存。貯蔵(preserve)
de(完全に)+ serve(つかえる)⇒つかえるに値する。価値がある(deserve)
以上が「英単語の語源図鑑」の語根の一端ですが、英単語の「音符」はどこにあるのでしょうか。それは意味の中核をなす「語根」にあると思います。例えば、すぐ上の語根 serve(sˈəːv)は、observe(əbzˈəːv)・ reserve(rɪzˈəːv)・conserve( kənsˈəːv)・preserve(prɪzˈəːv)・deserve( dɪzˈəːv)となり、語根serveの発音は(sˈəːv)であり共通です。つまり、英語の単語は語根の発音を中核としながら、その前後につく接頭・接尾のスペルを含む単語の全体が発音となるわけです。
こうして成立した英単語のスペルは、長いものでpreserveの8文字、短いものでserveの5文字のアルファベットの文字が並びます。しかし、こうして並んだ5~8字のアルファベットは、英語を知らない人にとっては単なる文字の羅列であり発音はできません。意味を知っている人でも発音はできない人もいるでしょう。この羅列文字を発音するためには、発音を表す文字の塊りに区切る必要があるのです。
発音の塊りに区切ると、ひとつひとつの区切りは音になるのです。これを音節(シラブル)といいます。音節とは音の節(ふし)で、その区切り(節)の一つ一つが発音を表します。私が用いている漢字の「音符」は発音を表す音符字をさしており英単語では語根の発音です。シラブル(音節)というのは、全体の文字列の発音を表す区切りになります。この点が漢字音符と英単語の違いになります。
これについて、分かりやすい解説をしているユーチューブのサイトがありましたので、紹介させていただきます。
https://www.youtube.com/watch?v=BLMIwU_Jr08
この動画をまとめると、
①シラブルは英語の発音の基本単位となる音である。日本語では、「あ・い・う・え・お」の五十音が基本的な音だが、英語はそうでない。アルファベットは26文字あるが、ひとつひとつは音ではない。
②「ねこ」は、catで(kˈæt)と発音するが、アルファベットの発音でcシイ/aエイ/tテイとは発音しない。シラブルは「子音+母音(a・b・c・d・e)+子音」が1セットになる。catは「子音+母音+子音」だから1セット。
③ 英語は発音とアルファベットの文字が一致しない。catの文字だけ覚えても発音できない、つまり話せない。
④ 母音はいろんな発音の種類がある。例えば「いいえ」のnoの発音は、noのうしろに「う」の発音を表すwが、姿は見えないがついてnow(ノウ)の発音になる。だから「子音+母音+子音」になっている。
⑤ noに tをつけた notの発音は、 nɑ:tで、oはɑ:の発音になる。さらにeをつけたnoteはnˈowtとなるが、うしろのeは発音しないサイレント。
⑥ coatの発音は kˈəutで、oaはəu(オウ)の発音になる。母音が2つあるが音は一音。
⑦ peaceの発音は、 pi:sでeaは長母音の i:(イー)と発音。一般にeaは i:(イー)となることが多い。最後のeはサイレント。
⑧ 子音には、2~3つがかたまりとなるクラスターがある。strikeはstrάɪkと発音し、strがクラスター、最後のeはサイレント。thoughtは、θɔːtと発音し、thとghがクラスター。thはθスの発音、ghはサイレント。7文字の長い単語だが、母音がひとつで1音節である。
⑨シラブルが2つ以上ある単語は、どちらかにストレス(強調)があるので、どこがストレス部分かを確認する。beautiful はbeau-ti-ful で3音節。発音記号・読み方は /bjúːṭɪf(ə)l(米国英語), ˈbju:tʌfʌl(英国英語)/(ネットのweblio辞典)で、beauのeauはju:(ユウー)と発音する長母音。ストレス(強調)はbeauにある。
英単語を実際に発音してみる
①②
以上で、英単語のスペルと発音の概要が分かった段階で、実際にテキストを使って実践することにした。
実践というのは、英単語のスペルと発音を対比させることによって、どの発音がどの文字と対応するのか確かめることです。使ったテキストは ①「ドラゴン・イングリッシュ 必修英単語1000」(講談社)。この本は大学受験生のための英単語の有名な参考書で、受験によくでる1000の単語を収録し、成り立ち・覚え方・使い方を解説した本。
前から持っていたが、あまり使わずに置いてあったもの。ひとつひとつの単語について、「覚え方」として「接頭辞」や「接尾辞」を含めて単語の構造を説明しおり、さらに「使い方」として詳しい説明がある。1ページに3単語を掲載しており、一つの単語と、その説明欄との間に仕切りがあるので、単語の下の空白欄に発音記号を書きこむことにした。ところが、ここで問題点が発生した。
音節(シラブル)の区切りが分からない
単語の下に、発音記号が書いてあるのだが、音節の区切りが入っていない。おおまかには分るのですが、自分勝手に区切るわけにはゆきません。そこで頼ったのが前から持っていた②の「プログレッシブ英和中辞典」(小学館)。この辞典を開いてみると、単語のスペルの途中に中点が入っており、これが音節の区切りと思われる。因みに先ほどのbeautiful を引いてみると、beau・ti・ful となっているので間違いない。また、発音のアクセント記号はbeauの上に乗っている。
以上で準備が整ったので、実践にはいることとした。まず一番簡単なindustryですが、音節(シラブル)の区切りは、in・dus・try です。「ドラゴン・イングリッシュ」では、indu(中に)+ str (築く)と分解していますが、「プログレッシブ英和」およびネットのWeblio では、音節が in・dus・try となっています。そこで、まず青ペンで in・dus・try と書き、その下に発音記号を書いて点線で結んでみました。すると、・dus・のu⇒ə、・try のy ⇒i に変化していることが分かります。
次のappropriateは、音節がap・pro・pri・ateに別れ、下に発音記号を書いて対応させると、apのa⇒ə、proのo⇒ou、ateのa⇒əに変化していることが分かります。最後のeはサイレントで発音しません。この単語はアクセントが二か所あります。
次のfortuneは、音節がfor・tuneに別れ、forのo⇒ˈɔː になり、tu⇒ tʃəに、neのeはサイレントです。
次のconstructionは、音節がcon・struc・tion に別れ、conのo⇒ə、strucのu⇒ʌ、tion のti⇒ʃ、o⇒ə、と少し複雑な形になっています。
以上ですが、こうした作業を続けてゆくと、英単語のスペルを見ただけで、この部分はあの発音だ! と感覚的に分かるようになり、ある程度発音が推測できるようになりました。
ところで、ひとつの単語を書き終わったとき、必ず電子辞書かパソコン上の辞書で発音を聞きます。2~3回繰り返し聞いて、スペルと発音記号を確認します。スマホでも確認できますが、私の経験ではスマホは2回ほど繰り返すと止まってしまうようです。以上、私の経験です。こうした英単語のスペルにひそむ音符(音節)の秘密。もっと早く知りたかった。なお、この作業をおこなうにあたり、発音記号にいろいろなものがあって、どれを採用するか迷いました。私の書いている発音記号が必ずしも最適でないものがあるかも知れません。
ここで取り上げた「英単語の語源図鑑」は、たまたま私が持っているので取り上げただけで、語源の本として推奨しているわけではありません。購入する場合は図書館などで現物を確かめてからにしてください。
もう一冊の「ドラゴン・イングリッシュ必修英単語1000」(講談社)は、受験参考書として実績があり役立つ図書と思います。
追加参考ユーチューブ動画
【大人のフォニックス 前編】Yumi's English Boot Camp
https://www.youtube.com/watch?v=ydCu7Pq2SH8
【大人のフォニックス 後編】Yumi's English Boot Camp
https://www.youtube.com/watch?v=dMm7hrdHvK4
数年前に「英単語の語源図鑑」(かんき出版)という本がさかんに売れたことがある。あの頃は英語の語源に関する本がブームになり、多くの本が出版された。私もこのブログ「漢字の音符」で、漢字を分解して同じ音符でまとめる作業をしているので、英単語の語源と漢字の音符とのあいだに何か共通する点があるのではないか思い、本を購入して読んだことがある。
読んでみると、英語の語源も核となる言葉があって、その前後に前置詞、後置詞がついて、多くの家族字ができていることが分かったが、漢字音符と比較して考察するには両者はあまりにも隔たりがあり過ぎるというのが実感であった。
漢字は字形というものはあるが、その発音は隠れているのに対し、英語の熟語は字形がない代わりにアルファベットの26文字だけで多くの発音が表されているからである。両者はまったく真逆の言語なのである。
漢字は「やま」を表すのに「山」という図形を描いて文字にし、「サン」という名で呼んだ。英語はアルファベットで「mountain」と表記し「やま」の発音を表して「やま」の概念を伝える。
音符にこだわる私は、英語の単語がわずか数個前後のアルファベットで、どうして多くの発音を表すことが可能なのか? 音符は音符でも、いわば単語のなかにある発音の原理(=音符)に興味をもつようになったのである。
「英単語の語源図鑑」は、清水建二・すずきひろし著で手元の本は、2018年5月1刷・8月8刷とあるから、その当時、短期間でかなり増刷しており売れ行きがよかったことがわかる。
さて、本の題名になっている英単語の「単語」というのは「意味のひとまとまりを表し、構文上の働きをもつものとしての、極小とされる単位」(Oxford Languagesの定義)であり、 従って「英単語の語源」とは「英単語の本来の形や意味、それに成立の由来や起源」のことである。
まず本の導入部を読むと、「語源のパーツには3種類あります」とあるが、正確に言うと「英単語のパーツには3種類あります」であろう。本のタイトルが語源を用いているので、「語源」⇒「英単語」の意味で用いているようだ。
その3種類とは、(1)語の先につく「接頭辞」(2)真ん中にきて意味の中核をなす「語根」(3)最後につく「接尾辞」があり、最初の例として挙げている、attractionは、 at(接頭辞)と tract (語根)と ion(接尾辞)から成り、語根の tract は、引く意だという。
以下に、この本から4つの語根を選んで、それがどのように組み合わさって用いられているかを紹介させていただく。
tract(引く)
at(~の方へ)+tract(引く)+ion(接尾辞。名詞化)は、引き付けるもの(attraction)⇒魅力
con(共に)+tract (引く)は、引き合う(contract)⇒契約する
ex(外に)+tract (引く)⇒外に引く(extract)⇒引き出す
dis(離れて)+tract (引く)+ion(接尾辞)⇒引き離すもの(distraction)⇒気晴らし。
とあって、語根の tractに接頭辞と接尾辞が付いて、4種類の単語ができていることがわかる。漢字でいうと語根は音符にあたり、 at(接頭辞)と ion(接尾辞)は漢字では強いていえば部首にあたる。しかし、漢字の場合は文字の一部として枠の中に組み込まれてしまうのに対し、英語の単語はアルファベットの文字が連続して並ぶという特徴がある。
mini(小さい)
mini(小さい)+ster(人)⇒(神に仕える)小さい人(僕しもべ)で牧師(minister)。転じて大臣。
ad(~の方へ)+ minister(大臣)⇒治める。執行する(administer 治める・執行する)。名詞形(administration、支配・政治・行政)
di(分離)+mini(小さい)+sh(接尾辞)⇒小さくなる(diminish 減少する)
just(正しい)
ad(~の方へ)+just(正しい)=正しい方向へ(adjust)⇒調節・適合させる
just(正しい)+ice(名詞化)=正しいこと(justice)⇒公平。正義。
just(正しい)+ ify(動詞に)=正しいものにする(justify)⇒正当化。
serve(保つ、守る)
ob(~に向かって)+ serve(保つ・守る)⇒観察する・気づく・守る(observe)
re(うしろ)+ serve(保つ・守る)⇒後ろに置いておく。取っておく(reserve)
con(共に)+ serve(保つ・守る)⇒みんなで取っておく。保存・保護する(conserve)
pre(前に)+ serve(保つ・守る)⇒あらかじめ取っておく。保存。貯蔵(preserve)
de(完全に)+ serve(つかえる)⇒つかえるに値する。価値がある(deserve)
以上が「英単語の語源図鑑」の語根の一端ですが、英単語の「音符」はどこにあるのでしょうか。それは意味の中核をなす「語根」にあると思います。例えば、すぐ上の語根 serve(sˈəːv)は、observe(əbzˈəːv)・ reserve(rɪzˈəːv)・conserve( kənsˈəːv)・preserve(prɪzˈəːv)・deserve( dɪzˈəːv)となり、語根serveの発音は(sˈəːv)であり共通です。つまり、英語の単語は語根の発音を中核としながら、その前後につく接頭・接尾のスペルを含む単語の全体が発音となるわけです。
こうして成立した英単語のスペルは、長いものでpreserveの8文字、短いものでserveの5文字のアルファベットの文字が並びます。しかし、こうして並んだ5~8字のアルファベットは、英語を知らない人にとっては単なる文字の羅列であり発音はできません。意味を知っている人でも発音はできない人もいるでしょう。この羅列文字を発音するためには、発音を表す文字の塊りに区切る必要があるのです。
発音の塊りに区切ると、ひとつひとつの区切りは音になるのです。これを音節(シラブル)といいます。音節とは音の節(ふし)で、その区切り(節)の一つ一つが発音を表します。私が用いている漢字の「音符」は発音を表す音符字をさしており英単語では語根の発音です。シラブル(音節)というのは、全体の文字列の発音を表す区切りになります。この点が漢字音符と英単語の違いになります。
これについて、分かりやすい解説をしているユーチューブのサイトがありましたので、紹介させていただきます。
https://www.youtube.com/watch?v=BLMIwU_Jr08
この動画をまとめると、
①シラブルは英語の発音の基本単位となる音である。日本語では、「あ・い・う・え・お」の五十音が基本的な音だが、英語はそうでない。アルファベットは26文字あるが、ひとつひとつは音ではない。
②「ねこ」は、catで(kˈæt)と発音するが、アルファベットの発音でcシイ/aエイ/tテイとは発音しない。シラブルは「子音+母音(a・b・c・d・e)+子音」が1セットになる。catは「子音+母音+子音」だから1セット。
③ 英語は発音とアルファベットの文字が一致しない。catの文字だけ覚えても発音できない、つまり話せない。
④ 母音はいろんな発音の種類がある。例えば「いいえ」のnoの発音は、noのうしろに「う」の発音を表すwが、姿は見えないがついてnow(ノウ)の発音になる。だから「子音+母音+子音」になっている。
⑤ noに tをつけた notの発音は、 nɑ:tで、oはɑ:の発音になる。さらにeをつけたnoteはnˈowtとなるが、うしろのeは発音しないサイレント。
⑥ coatの発音は kˈəutで、oaはəu(オウ)の発音になる。母音が2つあるが音は一音。
⑦ peaceの発音は、 pi:sでeaは長母音の i:(イー)と発音。一般にeaは i:(イー)となることが多い。最後のeはサイレント。
⑧ 子音には、2~3つがかたまりとなるクラスターがある。strikeはstrάɪkと発音し、strがクラスター、最後のeはサイレント。thoughtは、θɔːtと発音し、thとghがクラスター。thはθスの発音、ghはサイレント。7文字の長い単語だが、母音がひとつで1音節である。
⑨シラブルが2つ以上ある単語は、どちらかにストレス(強調)があるので、どこがストレス部分かを確認する。beautiful はbeau-ti-ful で3音節。発音記号・読み方は /bjúːṭɪf(ə)l(米国英語), ˈbju:tʌfʌl(英国英語)/(ネットのweblio辞典)で、beauのeauはju:(ユウー)と発音する長母音。ストレス(強調)はbeauにある。
英単語を実際に発音してみる
①②
以上で、英単語のスペルと発音の概要が分かった段階で、実際にテキストを使って実践することにした。
実践というのは、英単語のスペルと発音を対比させることによって、どの発音がどの文字と対応するのか確かめることです。使ったテキストは ①「ドラゴン・イングリッシュ 必修英単語1000」(講談社)。この本は大学受験生のための英単語の有名な参考書で、受験によくでる1000の単語を収録し、成り立ち・覚え方・使い方を解説した本。
前から持っていたが、あまり使わずに置いてあったもの。ひとつひとつの単語について、「覚え方」として「接頭辞」や「接尾辞」を含めて単語の構造を説明しおり、さらに「使い方」として詳しい説明がある。1ページに3単語を掲載しており、一つの単語と、その説明欄との間に仕切りがあるので、単語の下の空白欄に発音記号を書きこむことにした。ところが、ここで問題点が発生した。
音節(シラブル)の区切りが分からない
単語の下に、発音記号が書いてあるのだが、音節の区切りが入っていない。おおまかには分るのですが、自分勝手に区切るわけにはゆきません。そこで頼ったのが前から持っていた②の「プログレッシブ英和中辞典」(小学館)。この辞典を開いてみると、単語のスペルの途中に中点が入っており、これが音節の区切りと思われる。因みに先ほどのbeautiful を引いてみると、beau・ti・ful となっているので間違いない。また、発音のアクセント記号はbeauの上に乗っている。
以上で準備が整ったので、実践にはいることとした。まず一番簡単なindustryですが、音節(シラブル)の区切りは、in・dus・try です。「ドラゴン・イングリッシュ」では、indu(中に)+ str (築く)と分解していますが、「プログレッシブ英和」およびネットのWeblio では、音節が in・dus・try となっています。そこで、まず青ペンで in・dus・try と書き、その下に発音記号を書いて点線で結んでみました。すると、・dus・のu⇒ə、・try のy ⇒i に変化していることが分かります。
次のappropriateは、音節がap・pro・pri・ateに別れ、下に発音記号を書いて対応させると、apのa⇒ə、proのo⇒ou、ateのa⇒əに変化していることが分かります。最後のeはサイレントで発音しません。この単語はアクセントが二か所あります。
次のfortuneは、音節がfor・tuneに別れ、forのo⇒ˈɔː になり、tu⇒ tʃəに、neのeはサイレントです。
次のconstructionは、音節がcon・struc・tion に別れ、conのo⇒ə、strucのu⇒ʌ、tion のti⇒ʃ、o⇒ə、と少し複雑な形になっています。
以上ですが、こうした作業を続けてゆくと、英単語のスペルを見ただけで、この部分はあの発音だ! と感覚的に分かるようになり、ある程度発音が推測できるようになりました。
ところで、ひとつの単語を書き終わったとき、必ず電子辞書かパソコン上の辞書で発音を聞きます。2~3回繰り返し聞いて、スペルと発音記号を確認します。スマホでも確認できますが、私の経験ではスマホは2回ほど繰り返すと止まってしまうようです。以上、私の経験です。こうした英単語のスペルにひそむ音符(音節)の秘密。もっと早く知りたかった。なお、この作業をおこなうにあたり、発音記号にいろいろなものがあって、どれを採用するか迷いました。私の書いている発音記号が必ずしも最適でないものがあるかも知れません。
ここで取り上げた「英単語の語源図鑑」は、たまたま私が持っているので取り上げただけで、語源の本として推奨しているわけではありません。購入する場合は図書館などで現物を確かめてからにしてください。
もう一冊の「ドラゴン・イングリッシュ必修英単語1000」(講談社)は、受験参考書として実績があり役立つ図書と思います。
追加参考ユーチューブ動画
【大人のフォニックス 前編】Yumi's English Boot Camp
https://www.youtube.com/watch?v=ydCu7Pq2SH8
【大人のフォニックス 後編】Yumi's English Boot Camp
https://www.youtube.com/watch?v=dMm7hrdHvK4
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