(毎日新聞 2009年5月24日 地方版)
上川管内占冠村で開かれている日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(太平洋・島サミット)は最終日の23日、地球温暖化防止など環境問題に取り組むことをうたった「北海道アイランダーズ宣言」を採択して閉幕した。各国・地域首脳らとの交流会を開いた地元小学生も資源の有効活用などを誓う「島サミット子ども宣言」を採択し、「環境」をテーマに北海道と太平洋の島々の思いが一つになった。【高山純二、横田信行】
◇児童130人参加
首脳らとの交流会には占冠村のほか、富良野、帯広両市など計10市町村の小学生約130人が参加。16の国・地域ごとに、首脳らにインタビュー。サモアのトゥイラエパ首相は「日本の歌を歌ってほしい」と小学生にリクエストし、自ら英語で歌を披露して場を盛り上げた。
トゥイラエパ首相に「日本の首相になりたいか」と聞かれた富良野市立富良野小6年の高橋歩君(11)は「ちょっと戸惑ったけど、こんな機会はないと思うので良かった」と笑顔を見せ、バヌアツのナタペイ首相にインタビューした上富良野町立上富良野西小5年の村上由夏さん(10)は「折り紙を作って渡したら喜んでくれた。すごく優しい人」と喜んだ。
交流会では「限りある地球の資源を大切にする」「日本と外国の人が仲良く暮らせるよう、たくさんの人たちと理解しあう」など4項目の「島サミット子ども宣言」を採択した。
◇知事主催昼食会、道産食材を堪能
知事主催の昼食会があり、各国首脳夫妻とともに国会議員や道議、行政や経済団体の代表が道産食材をふんだんに使った料理を堪能しながら、交流を深めた。
メニューの1品ごとに道産のホタテやエビ、野菜などを使い、高橋はるみ知事はあいさつで「北海道ならではの自慢の食材を数々使った料理をお楽しみいただき、懇親を深める場となれば幸い」と、食の宝庫をPRした。参加国を代表してタランギ首相が「雪がなかったのが残念。雪の季節にまた来てみたい」と謝辞を述べた。
◇アイヌ文化触れ--首脳夫人交流会
首脳会談中に開かれる夫人交流プログラムでは、「鵡川アイヌ文化伝承保存会」が、アイヌの神事「フッサ・ヘロ」や口琴「ムックリ」の演奏を披露した。
最後に、参加国・地域の夫人9人らがアイヌ民族衣装を身にまとい、踊りに参加。夫人たちは保存会のメンバーと一緒に手拍子やかけ声を出すと、硬かった表情も一転して笑顔に変わった。
保存会の片山幹雄会長(61)は「少しでもアイヌ文化を伝えることができたと思う。輪になって一緒に踊ったのは楽しかった」と話した。
◇高橋はるみ知事
世界が抱えている環境問題について、去年(の北海道洞爺湖サミット)に引き続き、緑豊かな北海道で会議が行われ、成果があったのは意義深い。また、国際会議の多い首都圏や大阪にひけを取らない経験ができたと自負している。学術会議など、国際会議の誘致活動をやっていきたい。
◇小林豊・占冠村長
雨となったが、村民手作りの雪だるまに各国首脳夫人が笑顔を見せてくれ、ほっとした。普段通り、手作り感あふれる身の丈にあった、もてなしができた。サミット会場として注目された今回を機に、優れた施設があることを再認識し、訪れる人が増えたらうれしい。
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【昼食会メニュー】
◇料理(カッコ内は原産地)
・蝦夷あわび(函館)と長イモ(帯広)のエバンタイユ クーリートリュフ
・天然ホタテ(知内)のグリル、サーモン(えりも)マリネと、イクラのミルフィーユ仕立てディルドレッシング
・いけボタンエビ(噴火湾)のタルタルゆずの香りウニ(根室)を添えて
・ユリ根(美瑛)のロワイヤルガスパチョを流して北海道の野菜たちを添えて
・士別サフォークラム(士別)の香草とニンニクを利かせたパート包み焼き、ホエー豚(大樹)のブレゼマスタード焼き仕立て
・おぼろづき米(北海道)の焼きリゾットにフォアグラポワレをのせて
・マスカルポーネ(北海道)クリームとベリーフルーツ、グラスショコラとキャラメルラスク
・北海道の形をしたパイにフルーツ詰めを添えて
・パン、コーヒー
◇飲み物
・食前酒 十勝スパークリングブルーム(池田)
・日本酒 純米大吟醸国士無双(旭川)
・白ワイン ふらのワイン ケルナー(富良野)
・赤ワイン 十勝ワイン シャトー十勝(池田)
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20090524ddlk01010132000c.html