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バングラの紛争地に和平の兆し 新政権、軍の一部撤収

2010-01-02 | 日記
(朝日新聞 2010年1月1日9時17分)
 政府軍の力を背景にした強制入植により、10万人以上の先住民族が土地を奪われているバングラデシュ東部のチッタゴン丘陵地帯で、和平進展の兆しが出てきた。08年末の総選挙で、たなざらしだった和平協定の実行を公約した政党が政権を握ったためだ。新政権は軍の一部撤収も開始。国際人権団体の活動も活発化している。
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などによると、チッタゴン丘陵地帯は、15世紀から仏教徒中心の13の先住民族が焼き畑農業を営んできた。1971年、バングラデシュがパキスタンから独立すると、政府は増え続ける人口の受け皿として、国土の10%を占めるチッタゴンに着目。多数派でイスラム教徒のベンガル人を入植させ、軍も駐留させた。チッタゴンは推定約200万人の人口のうち、2006年に半数がベンガル人になったという。
 入植過程で軍の力を背景にした強制土地収奪や集落の破壊、レイプなどの人権侵害が起きた。土地を奪われた先住民族は12万世帯以上とされる。
 先住民族の一つ、ムロー族の地域代表者ランライ・ムローさん(39)の自宅に、政府軍兵士が突然踏み込んできたのは07年2月だ。その場で無理やり銃を持たされて写真を撮られ「武器の不法所持」容疑で逮捕された。国際人権団体の働きかけで、今年1月にようやく解放されたという。
 人権侵害の実態を受け、人権活動家らが作った「チッタゴン丘陵委員会」(CHTC)が国際社会に告発。97年、政府が難民帰還や土地返還を約束する代わりに、先住民族側がゲリラ兵の武装解除に応じる和平協定が成立したが、政府側は実行してこなかった。
 しかし、08年末の総選挙で97年の和平協定合意時の与党「アワミ連盟」が政権をとって風向きが変わった。CHTCも活動を再開し、共同代表になったベンガル人の女性活動家スルタナ・カマルさん(59)が、ハシナ新首相らと会談。首相は7月、約4万人の駐留軍のうち9千人の撤退を表明し、撤退も始まった。
 スルタナさんは「『全国民は平等』という独立時の理念に立ち返る時だ。国際社会も関心を持って監視を緩めないで欲しい」と話している。(前川浩之)
http://www.asahi.com/international/update/1224/TKY200912240001.html

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