(岐阜新聞Web 2010年 1月25日(月))
源流の山で広がる植樹
漁民の森づくり
海の幸をはぐくむ山の恵み「フルボ酸鉄」を見つけた松永勝彦さんの研究成果は、漁業者が源流の山に植樹する「漁民の森」運動の科学的根拠となった。
松永さんは著書「森が消えれば海も死ぬ」で、こう書いている。 広葉樹の原生林で覆われ、アイヌ民族が生活していた北海道えりも岬に明治以降、入植者が増え、燃料や牧畜などで森林や草地が荒廃し、コンブや魚の好漁場は消滅した。戦後になって緑化事業が本格的に始まり、半世紀の苦難の末、砂漠化したうちの約70%まで森林がよみがえった。するとコンブや魚などの漁獲も回復した―と。
北海道の常呂漁協は1987(昭和62)年から、宮城県の気仙沼湾でカキを養殖する畠山重篤さんが代表を務める「牡蠣(かき)の森を慕う会」も89年からそれぞれ源流の山で植樹活動を始めているが、松永さんの「フルボ酸鉄」と畠山さんの著書「森は海の恋人」は全国に「漁民の森づくり」活動を広げる大きな推進力になった。
水産庁は、2001年度から5カ年事業でこの活動を補助。地方に税源移譲した07年度からは林野庁とともに漁場保全の森づくりを6カ年事業で始め、本年度は100億円を投じている。
例えば県内では、アユなど川の漁場保全を目的に下呂市や加茂郡白川町など飛騨川中流域4市町村で間伐などの森林整備、中津川、郡上市など県内一円で毎年20カ所前後の治山事業が行われている。
海と渚(なぎさ)環境美化推進機構の調査では、07、08年度も全国170地区以上で「漁民の森づくり」活動があった。県内では高山市のNPO「ドングリの会」が法人化する前の1996年から「ひだ清見源流の森づくり」を展開。99年と04年の神通川上流部の豪雨で富山湾に流出した流木災害を機に始まった「飛越源流の森づくり」は飛騨市で昨年までに3回、三重県漁連と県内の地元漁協、森林組合らが中心の源流の森植樹活動も昨年で12回を数えた。 (ぎふ海流取材班)
http://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/2010/gifu_kairyu/2/gifu_kairyu2_6.shtml
源流の山で広がる植樹
漁民の森づくり
海の幸をはぐくむ山の恵み「フルボ酸鉄」を見つけた松永勝彦さんの研究成果は、漁業者が源流の山に植樹する「漁民の森」運動の科学的根拠となった。
松永さんは著書「森が消えれば海も死ぬ」で、こう書いている。 広葉樹の原生林で覆われ、アイヌ民族が生活していた北海道えりも岬に明治以降、入植者が増え、燃料や牧畜などで森林や草地が荒廃し、コンブや魚の好漁場は消滅した。戦後になって緑化事業が本格的に始まり、半世紀の苦難の末、砂漠化したうちの約70%まで森林がよみがえった。するとコンブや魚などの漁獲も回復した―と。
北海道の常呂漁協は1987(昭和62)年から、宮城県の気仙沼湾でカキを養殖する畠山重篤さんが代表を務める「牡蠣(かき)の森を慕う会」も89年からそれぞれ源流の山で植樹活動を始めているが、松永さんの「フルボ酸鉄」と畠山さんの著書「森は海の恋人」は全国に「漁民の森づくり」活動を広げる大きな推進力になった。
水産庁は、2001年度から5カ年事業でこの活動を補助。地方に税源移譲した07年度からは林野庁とともに漁場保全の森づくりを6カ年事業で始め、本年度は100億円を投じている。
例えば県内では、アユなど川の漁場保全を目的に下呂市や加茂郡白川町など飛騨川中流域4市町村で間伐などの森林整備、中津川、郡上市など県内一円で毎年20カ所前後の治山事業が行われている。
海と渚(なぎさ)環境美化推進機構の調査では、07、08年度も全国170地区以上で「漁民の森づくり」活動があった。県内では高山市のNPO「ドングリの会」が法人化する前の1996年から「ひだ清見源流の森づくり」を展開。99年と04年の神通川上流部の豪雨で富山湾に流出した流木災害を機に始まった「飛越源流の森づくり」は飛騨市で昨年までに3回、三重県漁連と県内の地元漁協、森林組合らが中心の源流の森植樹活動も昨年で12回を数えた。 (ぎふ海流取材班)
http://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/2010/gifu_kairyu/2/gifu_kairyu2_6.shtml