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カナダの研究者が伊達に訪れバチラー遺品学術調査開始

2012-04-13 | アイヌ民族関連
【室蘭民報 2012年4月13日(金)朝刊】

 カナダ・ビクトリア大学の大学院生、ジョエル・レガシーさん(32)が伊達市を訪れ、市噴火湾文化研究所が所蔵する英国人宣教師ジョン・バチラー(1854~1944年)と、養女のバチラー八重子(1884~1962年)に関する遺品の調査を始めた。アイヌ民族へのキリスト教布教に生涯をささげたバチラー一家の遺品が、海外の研究者の研究史料に使われるのは初めて。
 レガシーさんは同大大学院で比較文化論を専攻。20世紀初頭の北海道開拓における文化比較、アイヌ民族と和人の交流、この時代の政治、文化、社会に影響を与えた人物などを研究している。
 市内有珠地区に居住した英国人のバチラーとアイヌ民族の八重子は、主要な研究対象。昨年、北大アイヌ・先住民研究センター(札幌)を訪れた際、市噴火湾文化研究所に遺品が保管されていることを知り、現地調査を申し入れていた。
 今月10日から同研究所に通い始め、計486点のバチラー関係遺品の学術調査を開始。布教に使った聖書や直筆のノート、洋書、和書、欄外の書き込み、家族写真帳などを調べ、当時の彼らの考え方を追究。「どのようにしてアイヌ民族と親交を深めたかも突き止めたい」としている。
 これらの遺品は1996年、八重子の親族から市に寄贈された。目録の整理と史料管理は行われてきたが、本格的な学術調査は未着手。「ジョエルさんの調査、研究によって初めて光が当たる」(伊達元成同研究所学芸員)と期待している。
 調査は始まったばかりで、「進捗(しんちょく)率は10%程度」という。今月末まで続け、博士論文執筆のための参考資料を集める。
(伊藤教雄)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2012/04/13/20120413m_06.html

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