毎日新聞2016年10月19日 09時54分(最終更新 10月19日 10時53分)
【ジャカルタ平野光芳】20日で就任から2年を迎えるインドネシアのジョコ・ウィドド大統領(55)が国民の間で高い人気を保っている。世論調査の支持率は6割以上の高率で政治基盤を着々と固める。庶民が恩恵を実感できる経済発展やインフラ政策が2019年の再選に向けたカギとなりそうだ。
民間の研究所が8月に実施した世論調査によると、ジョコ政権について66・5%が「満足している」と回答した。政権が推進する貧困層向けの医療保障や教育・福祉政策に評価が高く、支持拡大につながっている模様だ。インドネシア学術研究院のシャムスディン・ハリス教授は「ジョコ氏の人気をしのぐ政治家はおらず、3年後の再選の可能性が高まっている」と見る。
ジョコ氏は元々経営者で地方政治家出身。クリーンな政治姿勢が庶民の人気を集める一方、中央政界での基盤がなく、当初は所属する闘争民主党の党首、メガワティ元大統領の「操り人形」になる恐れが指摘されていた。だが就任してみると、閣僚や高官の人事を通じてメガワティ氏の影響力を制御。最大野党ゴルカルを党の内紛を機に与党に取り込み、国会でも過半数勢力の確保に成功した。
今後課題となるのが、政権が最重要政策に位置づけるインフラ整備だ。3500万キロワット分の発電所整備や、ジャカルタ−バンドン間(約140キロ)の高速鉄道建設、高速道路・港湾整備を目指すが、土地収用の遅れや資金不足から計画通りに進まないケースが多い。整備をスムーズに進め経済成長につなげていけるか、手腕が問われている。
一方、ジョコ氏には、「開発独裁」のスハルト政権の崩壊(1998年)以降に政治キャリアを積んできた「民主化の申し子」として、人権や権利の擁護を期待する声が高かったが、現状では評価する声は少ない。過去の人権侵害事件でも真相究明に及び腰だ。関与が疑われる軍に配慮しているとの批判もある。公約だった先住民族の権利保護も取り組みが遅れており、先住民連合のアブドン・ナババン事務局長は「今後、ジョコ氏支持を見直す可能性もある」と不満を隠さない。
ジョコ政権の2年間
2014年10月20日 ジョコ氏、大統領に就任
15年 3月23日 ジョコ氏が日本を訪問し安倍晋三首相と会談
26日 中国を訪問し習近平国家主席と会談
4月22日 ジャカルタでバンドン会議60周年記念の首脳会議を開催
8月12日 内閣改造で経済政策にテコ入れ、閣僚級6人を交代
10月26日 ジョコ氏が訪米し、オバマ大統領と会談
16年 1月14日 ジャカルタで自爆テロ、30人以上が死傷
21日 中国が受注した高速鉄道がジャワ島ワリニで起工
10月20日 ジョコ氏就任から2年
http://mainichi.jp/articles/20161019/k00/00e/030/169000c
【ジャカルタ平野光芳】20日で就任から2年を迎えるインドネシアのジョコ・ウィドド大統領(55)が国民の間で高い人気を保っている。世論調査の支持率は6割以上の高率で政治基盤を着々と固める。庶民が恩恵を実感できる経済発展やインフラ政策が2019年の再選に向けたカギとなりそうだ。
民間の研究所が8月に実施した世論調査によると、ジョコ政権について66・5%が「満足している」と回答した。政権が推進する貧困層向けの医療保障や教育・福祉政策に評価が高く、支持拡大につながっている模様だ。インドネシア学術研究院のシャムスディン・ハリス教授は「ジョコ氏の人気をしのぐ政治家はおらず、3年後の再選の可能性が高まっている」と見る。
ジョコ氏は元々経営者で地方政治家出身。クリーンな政治姿勢が庶民の人気を集める一方、中央政界での基盤がなく、当初は所属する闘争民主党の党首、メガワティ元大統領の「操り人形」になる恐れが指摘されていた。だが就任してみると、閣僚や高官の人事を通じてメガワティ氏の影響力を制御。最大野党ゴルカルを党の内紛を機に与党に取り込み、国会でも過半数勢力の確保に成功した。
今後課題となるのが、政権が最重要政策に位置づけるインフラ整備だ。3500万キロワット分の発電所整備や、ジャカルタ−バンドン間(約140キロ)の高速鉄道建設、高速道路・港湾整備を目指すが、土地収用の遅れや資金不足から計画通りに進まないケースが多い。整備をスムーズに進め経済成長につなげていけるか、手腕が問われている。
一方、ジョコ氏には、「開発独裁」のスハルト政権の崩壊(1998年)以降に政治キャリアを積んできた「民主化の申し子」として、人権や権利の擁護を期待する声が高かったが、現状では評価する声は少ない。過去の人権侵害事件でも真相究明に及び腰だ。関与が疑われる軍に配慮しているとの批判もある。公約だった先住民族の権利保護も取り組みが遅れており、先住民連合のアブドン・ナババン事務局長は「今後、ジョコ氏支持を見直す可能性もある」と不満を隠さない。
ジョコ政権の2年間
2014年10月20日 ジョコ氏、大統領に就任
15年 3月23日 ジョコ氏が日本を訪問し安倍晋三首相と会談
26日 中国を訪問し習近平国家主席と会談
4月22日 ジャカルタでバンドン会議60周年記念の首脳会議を開催
8月12日 内閣改造で経済政策にテコ入れ、閣僚級6人を交代
10月26日 ジョコ氏が訪米し、オバマ大統領と会談
16年 1月14日 ジャカルタで自爆テロ、30人以上が死傷
21日 中国が受注した高速鉄道がジャワ島ワリニで起工
10月20日 ジョコ氏就任から2年
http://mainichi.jp/articles/20161019/k00/00e/030/169000c