ふたまん2023.04.30
普段何気なく過ごしているなかではなかなか知りえない豆知識を、漫画から得ることはよくある。大人になってから役立つものもあれば、人生ではまったく使わないようなものまでさまざまだが、意外と何年経ってもその知識は忘れないものだ。今回は漫画のなかで描かれ、印象的だった面白い豆知識や教養を紹介したい。
『MASTERキートン』(脚本:浦沢直樹氏・勝鹿北星氏・長崎尚志氏、作画:浦沢直樹氏)は、サバイバル術に長けている主人公・平賀=キートン・太一が世界中の難事件に立ち向かうというストーリー。本作では数多くの知識が登場するが、そのうちのひとつが“砂漠ではスーツがいい”というものである。
この知識が登場したのは、完全版第1巻収録の「黒と白の熱砂」「砂漠のカーリマン」だ。暑い砂漠でしっかりした素材のスーツを着ると、暑すぎてすぐにダウンしてしまいそうなもの。しかし背広に長袖、長ズボンという服装は、直射日光を避けることができ通気性も良いため、砂漠の環境には適しているのだという。
日本では猛暑のなかスーツを着ると暑さから熱中症になってしまうが、これはおそらく湿度が高すぎるからという理由もあるのだろう。砂漠に行く機会はなかなかないだろうが、心に留めておきたい。
また、野田サトル氏による『ゴールデンカムイ』には、アイヌ文化やサバイバルの知識がたびたび出てくるのだが、そのなかに“喉が乾いても雪を食べないほうがいい”というものがある。
第3巻では主人公・杉元佐一がアシリパ(正式表記は「リ」が小書き文字)と行動をともにするなか、喉の渇きを感じてしまう。そこで手近な雪を食べようとする杉元にアシリパがかけた言葉が、「やめろ! 雪を溶かすのに体力を使うし体が冷える」というものだった。
アシリパが指摘したことに加え、雪には空気中のチリやホコリなども混じっている。もし雪山で喉が乾いた際には、火を起こして雪を溶かしてから飲んだほうが賢明だろう。
■もはや定番? さまざまな漫画で登場する“粉塵爆発”
続いては、さまざまな漫画で登場した“粉塵爆発”について。粉塵爆発とは、大気中に可燃性の粉塵が一定の濃度で舞っているとき、火花や静電気などでが引火して爆発が起こる現象のことをいう。恐ろしいのは、小麦粉などの身近な素材でも発生する点だろう。
粉塵爆発は先述した『MASTERキートン』や、新谷かおる氏の『戦場ロマン・シリーズ』、荒川弘氏の『鋼の錬金術師』など、さまざまな作品に登場する。ありふれた材料を使って窮地から大逆転する展開は、漫画ではおおいに“映える”と言っていいだろう。
現在、粉塵爆発は漫画ではよく見るものの、日常において話題になる機会はほとんどない。とはいえ、過去には粉塵爆発が大きな事故につながった事例もあるので気をつけたい。
最後は、皆川亮二氏の『ARMS』第1巻に出てきた、“竹は絶縁体である”という知識。作中では、主人公・高槻涼が竹ぼうきをバラして絶縁体にし、スタン警棒を防ぐという機転を見せている。
実際に発明家のエジソンは、フィラメントに日本の竹を用いたことで1,200時間もの間電球を光らせることに成功し、白熱電球を実用化した。
なお、竹だけでなくゴムが絶縁体であることは、『ONE PIECE』のルフィがゴム人間のため電気に強い描写がたびたび出てくることや、『ポケットモンスター』のピカチュウの電流対策にロケット団がゴム製の物を使うなど、漫画やアニメでもよくあるシーンのためかなり有名だ。ちなみに、このほかガラスやプラスチックなども絶縁体である。
漫画やアニメから学べる知識は多い。このほかにも作品で使用されているモチーフから、『美少女戦士セーラームーン』で星や鉱物の名前を覚えた人や、『幽☆遊☆白書』などで青龍・朱雀・白虎・玄武の四神を知った人も多いだろう。実際に使うことがあるにしろないにしろ「なるほど!」と思わせる豆知識は、我々をさらに楽しませてくれる。
■【動画】これぞ神業! 浦沢直樹が描く"キートン風コマ割り"
※浦沢直樹氏のYouTubeチャンネル「浦沢チャンネル -URASAWA CHANNEL-」より
https://www.youtube.com/watch?v=I6lhHM-UQrw
https://futaman.futabanet.jp/articles/-/124062?page=1