STV5/29(月) 19:30配信
先住民族の権利をテーマとした国際シンポジウムが、北海道・浦幌町で開催されました。
世界各国の先住民族と充実した意見交換を行った地元のアイヌ民族団体。
より強く感じた思いとは。
そして世界からの「見られ方」とは。
十勝の浦幌町を舞台に繰り広げられた、世界の民族の伝統的な踊り。
集まったのは、台湾やオーストラリアなどから8つの先住民族。
(ラポロアイヌネイション 差間正樹会長)「みなさんが来られるのを本当に首を長くして待っていました。みなさまのお知恵をどうか私たちにお授けください」
今回これだけの人々が集まったのは「先住民族の権利」について理解を深めるためです。
彼らがまっさきに向かったのは浦幌十勝川です。
(サーミ(フィンランド)アスラック・ホルンバルクさん)「アイヌは特別な許可を得れば少しはサケを川で獲ることが許されていると聞きましたが、ここですか?」
(ラポロアイヌネイション 差間正樹会長)「そうですここです。昔から伝わっている漁労文化です。その保存の目的のためです」
かつてアイヌ民族にとって川で獲れるサケは重要な資源となっていましたが、明治に入ると川での漁が禁止にー
現在はアイヌ文化の継承や保存を目的とした場合にかぎり、北海道知事の許可を受けて年間100匹まで川でのサケ漁が可能となっています。
そんななか「ラポロアイヌネイション」は、地元の川でサケを捕獲することは先住権の一部であるとして国などを相手取り提訴。
裁判はいまも続いています。
(ラポロアイヌネイション 差間啓全さん)「もともとあった権利だから戻してほしい。やっぱりアイヌってここの先住民族でもっと胸を張って生きていけると自分が思える時がきたらいいなって」
今回参加した世界各国の先住民族は、みなそれぞれの国の法律で「先住権」が保障されています。
夜の懇親会でお酒を酌み交わしながら、それぞれの国の事情について情報交換が活発にー
民族伝統の歌を披露する台湾のタオ族出身・マラオスさん。
(タオ族(台湾)マラオスさん)「みんなで漁に出て平等に分ける作業をしています」
マラオスさんらタオ族は、トビウオを神の魚と呼び、民族伝統の船に乗って漁を行います。
一時は禁じられていましたが、現在台湾政府はこの伝統的な漁を認めています。
(タオ族(台湾)マラオスさん)「伝統的な漁ができるというのは民族にとって一番大切なこと。伝統を守り続けることでわたしたちの海を守ることができる。日本は経済力がトップで素晴らしい国。多様性をもっと大事にすれば豊かな国になると信じている」
カナダのハイダ出身ラス・ジョーンズさんです。
彼らも漁業に関する「先住権」が広く認められています。
アイヌ民族からこんな質問がー
(ラポロアイヌネイション 差間啓全さん)「わたしたちのアイヌの権利が認められるにはどのくらいの月日がかかると思いますか?」
(ハイダ(カナダ)ラス・ジョーンズさん)「約150年前にはカナダ政府も先住権を禁止しようとしたかもしれないが、様々な条約を結ぶ協議の中で、伝統的な漁は許されるということが盛り込まれていった。日本政府がアイヌ民族に先住権を認めないのはとても不正義だと思う」
(ラポロアイヌネイション 差間啓全さん)「ありがとうございます。海外の人はすでに先住民族として(先住権が保障されて)利益にして生活しているのを聞いて燃えてくるものもある」
彼ら海外の先住民族による講演会には、町内外から多くの人が集まり、この問題の関心の高さが伺えました。
(タオ族(台湾)マラオスさん)「世界中の先住民族と一緒にアイヌの人もがんばりましょう。ありがとうございました!」
(ラポロアイヌネイション 差間正樹会長)「世界の先住民族は、こうやって自分たちの文化をそれぞれの政府にぶつけていっているのを考えて、わたしたちもそうあるべきだと思っています」
先住民族と認められながらも、長らく制限されているアイヌ民族の伝統的な権利。
その空白を取り戻すための大きな一歩となるか。
世界から注目されていると言えそうです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f504915bcc6c67a89e2fbdcec6f4e375d532c8ef