2025.02.06日高報知新聞
チプサンケ(舟おろし)の様子
【平取】全国で進められている「かわまちづくり」(286カ所)の中から、他の模範となる先進的な取り組みを国土交通大臣が表彰する令和6年度の「かわまち大賞」に、「平取町かわまちづくり」が道内で初めて選ばれた。
「かわまちづくり」は、地域の賑わいを創出するため、河川空間とまち空間が融合した良好な空間形成を目指すもの。大賞表彰は、これらの取り組み団体をたたえるとともに、制度の浸透や民間事業者の参入促進などによる質の高いかわまちづくりを目指すため、平成30年度に創設され、これまで全国12カ所が選定されている。
平取町では、地域関係団体と行政による町アイヌ総合政策推進協議会が、一級河川の沙流川水系・沙流川において、「沙流川の歴史と文化伝承を活かした賑わいづくり」をテーマに、平成21年度から支援制度を活用した取り組みを続けている。世代を超えて地域や住民の文化が継承されるよう、町のアイヌ施策推進地域計画に位置づけ、チセづくりの復元技術の継承や河川空間を効果的に活用し、チセの材料として不可欠なカヤやガマの有用植物の再生のほか、フットパスやチプサンンケ(舟おろしの儀式)体験などのイベントを実施。各分野の多様な主体が参入しアイヌ文化を学習する研修プログラムや定期的なイベントなどの活動を行っており、近年では活動の場を海外にも広げている。環境整備により終日体験プログラムの実施が可能となり、来訪者数の増加や滞在時間の向上にもつながっている。
有識者による審査委員会で「地域や住民の文化の振興・保全や、これら文化と結びついたヨシ原の再生・保全などのために河川空間を明確に位置づけた、かわまち大賞として初めての取り組みで、全国の河川空間の参考となることが期待される」などとして大賞に選ばれた。