花ごよみ

映画、本、写真など・

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官  梶永 正史

2014-09-12 | 本 か行(作家)

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官

第12回このミス大賞W受賞作。
W受賞のもう一つの受賞作は
「一千兆円の身代金」 
これも読みました。

こちらは銀行立てこもり事件を描いた警察小説
応募時のタイトルは
「真相をあばくための面倒な手続き」

「一千兆円の身代金」より
スピード感があって面白かったかな。

主役は警視庁捜査二課主任代理の郷間彩香。
数字を糸口に犯人をを追うために
電卓ばかり叩いていて、
電卓女の異名をもつ彼女が犯人から
銀行立てこもり事件の
現場指揮官に指名され、
現場指揮官と交渉役を
つとめるはめに。
背景には政治的な犯罪が…

読みやすい文章。
意外な物語の展開、舞台設定、
子供時代の思い出など
張ってある伏線の拾い方、
登場人物それぞれのキャラ設定も
うまく描かれていました。

このまま映像化されそうな物語でした。







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宰領: 隠蔽捜査5 今野敏

2014-01-09 | 本 か行(作家)


宰領: 隠蔽捜査5

竜崎が署長を務める大森署管内で、
国会議員の誘拐事件が勃発。

神奈川県に犯人の電話、
竜崎は神奈川県警に、
前線本部副本部長として出向し
指揮を執ることになる。

キャリアの竜崎と、
ノンキャリア神奈川県警捜査一課長の
捜査を巡る食い違い。

警視庁と県警の確執。
犯人の身柄の行方。

竜崎の仕事に対しての
効率的で賢明な特性を、
発揮しながらの活躍。
自分の意志を貫く竜崎は、
部下にも評価されていきます。

そんな中での息子邦彦のアクシデント、
家族のエピソードも描いています。

竜崎と伊丹の会話もいい感じ。
今回は相手の意見も大切に扱うなど
竜崎の変人さも気にならない度合いに
なってきています。
竜崎の心も少しだけ
柔軟になってきたのかな。

ゆっくり読もうと思っていても
一気に読んでしまったこの本。

この作品もいつもの隠蔽捜査シリーズと同様
爽快感があって満足のいく本でした。





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サンブンノイチ   木下半太

2013-10-26 | 本 か行(作家)


サンブンノイチ (角川文庫)
ハニーバニーの雇われ店長のシュウ、
ボーイのコジ、常連客・健さん。
借金のためやりくりがつかなくなってしまった
崖っぷちの3人。

この3人が銀行強盗を計り成功。
3分の1ずつ山分けをして
終わる予定だったのに…

タイトルの「サンブンノイチ」は
3人の分け前。

物語は25章から成り立ち
銀行強盗前と強盗後の話を
交互に描いています。

銀行強盗の3人に
奪った金を狙っている他の3人を加えた
6人が大金を巡り
騙し合いをします。

他の3人とは
ハニーバニーのオーナーで
凶悪な男、破魔翔。
通称“川崎の魔女、渋柿多見子、
元女優の茉莉亜。

読み進める毎に状況が変化。
嘘と真実、裏と表
複雑な駆け引きと裏切り
誰を信じればいいか、
もう分からなくなってきます。

以前読み、映画化もされたこの作者の
「悪夢のエレベーター」同様
登場人物もそれぞれが
個性が強い人物でした。

このサンブンノイチも、
監督 品川ヒロシ、
2014年春公開予定で
映画化されています。

キャストは清原修造(シュウ)ー 藤原竜也
小島一徳(コジ)ー田中聖
金森健(健さん)ー 小杉竜一(ブラックマヨネーズ)
茉莉亜ー 中島美嘉
破魔翔ー窪塚洋介
渋柿多見子ー池畑慎之介
見たところぴったりの
キャスティングです。

予測不能な展開、
スピード感もあって、
退屈することもなく
読むことができました。






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晴天の迷いクジラ  窪 美澄

2013-09-07 | 本 か行(作家)


晴天の迷いクジラ

主な登場人物は
由人、由人の社長の野乃花、
高校生の正子。

読んでいて疲れを感じてしまうほどの
深い絶望感。
心を病み、
生きていくことに、
疲弊したこの3人が、
クジラが湾に迷い込んだ町を目指し、
いっしょに旅に出る。

3人が偽の家族を演じながら、
本物の家族のように、
心の痛みを互いに分け合い
過ごす数日間。

そこで出会った
おばあちゃんと、
雅晴の言葉から
希望の光を得て
辛くて苦しい今を乗り越え、
もう一度生きていこうと、
生きているだけでいいんだと。

由人、野乃花、正子、
3人がそれぞれ、
暗闇から抜け出して、
元気を出して欲しい。

衰弱してしまった、
心を立て直し
絶望の闇から光の射す方へと
歩みだして欲しいです。





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藁の楯 木内 一裕

2013-04-20 | 本 か行(作家)

藁の楯 (講談社文庫)

映画化されるということで、
俳優の顔を思い浮かべながら読みました。

映画の配役は警視庁警護課SP銘苅を大沢たかお
犯人清丸を藤原竜也が演じます。

登場人物が頭の中に浮かんできて
読みやすかったです。

内容はというと、
孫娘の仇を抹殺するため、
経済界の大物が、
清丸に恐怖感、絶望を思い知らせるためなのか、
十億円の懸賞金を、
人間の屑とも言うべき犯人の命に懸ける。

自己の危険を察した犯人である清丸が、
福岡で自首。
福岡から東京へと護送するよう銘苅達に命が下る。

日本中の誰もが、
警察官さえも敵になりうる状態。

群衆の心理状態を想像すると
こういう状況も
あり得るかもと思ってしまいます。

周囲の人物全てに対しての疑心暗鬼と、
凶悪犯の生命を守るべきなのかという
心の葛藤が生ずる中での危険な任務遂行。

清丸を守る必要性に疑問を持つ銘苅。
十億円に心動かされ
誰が清丸を襲撃するか見えない中で、
到着点まで移送しなければならない、
凶悪犯を命がけで
守らなければならないという、
発想、設定が面白いです。
スピード感もあってに引き込まれました。




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ケルベロスの肖像 海堂 尊

2013-02-28 | 本 か行(作家)

ケルベロスの肖像

バチスタシリーズの最終話。

Aiセンターを立ち上げる際に
「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」と
記された脅迫状が届く。
脅迫状を送ったのは一体誰なのか?

高階病院長は田口医師に調査依頼を
Aiセンター設立の日、
事件は起きる。

田口、白鳥、姫宮、
彦根医師、桧山、
桜宮署広報課室長 斑鳩、南雲、高階病院長…

ラストということで、
今までのメンバーが勢ぞろいします。

まるで舞台のフィナーレーで、
出演者全員が挨拶するシーンのよう。

今までの登場人物、
正確には覚えていないので
戸惑ってしまうことも。
あやふやな記憶力なので…

本作では新たに、
ウルトラスーパーバイザー東堂が登場。

今回、田口、白鳥はあまり動かず。

ラストに向かう展開は
おもしろかったです。
でもまだ謎は残ったまま。



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渾身 川上 健一

2012-12-30 | 本 か行(作家)

渾身 (集英社文庫)

舞台は隠岐島、
この地の伝統行事である相撲大会。
英明は地域から最高位である、
正三役大関に選ばれる。
それは地元で自分のことを、
みんなに認められたということ。

試合に挑むことで深まっていく家族の絆。
家族の将来を担う大一番。

家族と相撲、2つのテーマが平行して
物語は進められて行きます。

この小説、一回だけの取組で、
本が成り立っているのには驚きました。

大部分が最後の大一番の状況描写なんです。

とてもリアルな描写で、
まるで観戦しているような
気持ちになっていきます。

最初は物言いが付いての取り直し、
次は水入り、また取り直し、
中々勝負がつきません。
結果はというと、
これもありかなという感じ。

英明と前妻麻里の子供であった琴世。
前妻の麻里が亡くなり、
その親友であった多美子と結婚。

まだ幼い琴世が多美子のことを呼ぶのに、
あの姉ちゃんから、お母ちゃんと、
呼び方を変える過程が
対戦中に描かれています。

母子の物語、離れていた両親達との再会の話が
大一番と調和をとりながら、
構成されていました。

読み進めて行くと試合の結果が、
とても気になっていきます。
最後を見ないで読むのは、
じっと我慢が必要でした。

とにかくこの物語り、
こんなに一つの試合を、
長々と引き延ばすとはすごい!!

映画化があると知り読みました。
映画の公式サイトは→こちらです。

劇団EXILEのメンバー青柳 翔が
主役、英明を演じます。






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同期  今野 敏

2012-12-14 | 本 か行(作家)

同期 (講談社文庫)

消えてしまった同期、
公安に所属する蘇我。
蘇我は懲戒免職となっていた。

警視庁捜査一課宇田川は、
蘇我を救いたいがため捜す。
果たして蘇我失踪の真相は?
主人公宇田川の成長がこの小説の肝。

宇田川は蘇我を見過ごすことができず、
単なる駒にはなれないで、
利口な生き方からは、
軌道を外すことになる。
宇田川の行動はかっこいいです。

後半からの展開が面白い。

組織の壁、それを乗り越えながら、
真相へと近づいていく。
そしてやり遂げる。

どんな困難に遭遇しても、
決して誇りを失わない刑事達。
読後感はいいです。

宇田川と同期の蘇我、
植松と同期の土岐。
上司の刑事達との人間関係の妙、、
魅力のある上司も描かれていて、
楽しめました。

蘇我は本を読み初めた時から、
自分勝手に想像していたとおりで、
やっぱりなという感じ。

WOWOWでドラマがありました。
残念なことに見逃しています。
蘇我を新井浩文、
宇田川を松田龍平が演じていました。





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ふがいない僕は空を見た  窪 美澄

2012-10-06 | 本 か行(作家)


ふがいない僕は空を見た

映画化すると知り、
図書館で借りて読みました。

5つの連作短編集
主人公がそれぞれ違っていて
関連性をもたせながら
彼らの視点で物語が綴られていきます。

最初読み始めたときは
この物語は一体、
どんな方向に行ってしまうのかと、
心配になってきましたが、
読み進めて行くにつれ、
登場人物それぞれの悲しみや苦悩、
閉塞感、絶望の淵に、
追いやられながらも
光を見いだし、
歩み続ける姿が見えてきました。

自分一人の力で生きていく過程において、
思い通りにはいかなくて
この世のつらさを抱え込んだ登場人物達。

色々な障害が彼らをめがけて襲いかかる。
それでも生きていく。

ラストの助産婦の斎藤くんの
お母さんの語る章は希望が見えます。

最終章は心に染みる物語に
なっていました。
終わりに近づく頃、
少し涙ぐんでしまいました。

斉藤くん、福田くん、
生きにくい日常、世の中だけど、
頑張れ。
傷つくことがいっぱいあっても
精一杯生きる弱くて優しいそして、
ふがいない彼らに、
明るい未来が来るようにと、
福田君のように、
いじわるな神様に願いたくなりました。



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鍵のかかった部屋  貴志 祐介 

2012-04-14 | 本 か行(作家)

鍵のかかった部屋

この本を原作として、
嵐の大野君主演のドラマが、
4月16日(月)21時から始まります。

ずっと前に図書館で予約していたのが、
やっと順番が回って来て、
今日読み終えました。
ドラマ開始前ぎりぎり間に合いました。

「硝子のハンマー」 から始まる、
防犯探偵シリーズ3作目。

二作目の「狐火の家」は未読です。

佇む男
鍵のかかった部屋
歪んだ箱
密室劇場

以上四つの短編からなる作品です。

防犯コンサルタントの榎本と、
弁護士、青砥純子、
この二人が密室事件を解き明かします。

二作目を読んでいないので、
シリーズになってるなんて
知りませんでした。

榎本と青砥先生、
とてもいいコンビです。
シリーズということならば
まだ続くのでしょうね。

この作品、犯人捜しは目的ではなく、
密室トリックだけを
重要視して書かれています。

トリックを見破るまでの過程が
面白いのです。
推理していく楽しみがある作品です。
貴志祐介さんが考えるトリック、
さすがですね。

登場人物の犯行に至る動機や心理が、
あまり描かれていないので、
少しばかり物足りなさを感じますが
密室という特定の部分だけに、
重点を置いている作品なので
すっきりとしていて、
この小説はこれでいいのかなとも
思ったりしました。

テレビドラマでは探偵の榎本は大野君、
弁護士の青砥先生は戸田恵梨香が演じます。
ちょっと本のイメージとは
違う感じもしますが…

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