「身内に不幸がありまして」
「北の館の罪人」
「山荘秘聞」
「玉野五十鈴の誉れ」
「儚い羊たちの晩餐」
これら5編の連作短編集。
すべてが女性の一人語りで成り立ち、
女性達はお嬢様かその使用人。
女性ばかりです。
そしてそれぞれが上流階級の、
お嬢様達が集う大学の読書サークル、
「バベルの会」に
関係しています。
「バベルの会」にリンクした、
5つの事件が書かれていますが
主人公も事件の内容も、
すべてが独立した話になっています。
湿度を感じさせる古い館が舞台。
現実感のない独特の空気が流れる中で、
5編とも人間の残酷で歪んだ心が
最後の方でぬくっと顕れて、
なんとも言い難い、
ひんやりとした怖さが残ります。
本を読み終えてから、
“ラストの一行で世界が反転”と
帯に書かれているのに
気づきました。
なるほど…
そう言われてみれば
短編すべてラストが衝撃的でした。
どすんと落とされ、
一瞬思考停止に
陥ってしまうような‥