[約束]
[青いエグジット]
[天国のベル]
[冬のライダー]
[夕日へ続く道]
[ひとり桜]
[ハートストーン]
七つの短編集。
帯には“絶対泣ける”と保証済み。
自信満々です。!!
突然の事故や不治の病には弱いので、
もし、そのような内容だったら泣けて当然。
しっかり泣けたのはやはり、
表題作[約束]と[ハートストーン]。
作者に泣き所を押しつけられているような
気持ちにはなりますが…。
まんまと策にはまってしまいます。
[約束]
親友の目の前での突然の死。
子供の心に深い傷を残した事件、
そこからの心の回復、そして再生の物語、
前を見つめて歩いていって欲しい…。
[青いエグジット]
ダイビングを介しての父親と子供の心の推移。
この親子なら海の中の青い出口を
きっと抜けることが出来るだろう。
[天国のベル]
女手ひとつで育てた息子が心因性の難聴に…。
逝ってしまった夫からの暖かい贈り物。
希望を持って強く生きて欲しい。
きっとだいじょうぶ。
[冬のライダー]
モトクロスの練習に明け暮れる少年を見守る、
過去に事故で夫を亡くした女性。
彼との交流により喪失感からの心の再生。
静かなぬくもりを感じる。
[夕日へと続く道]
廃品回収の軽トラックに乗るようになった
不登校の少年。
運転手の老人との暖かい交流により、
少年の心の成長がみられる。
[ひとり桜]
二人の男女の心の高まりが、
桜を背景に情緒豊かに描かれている。
[ハートストーン]
病気の孫のことを心配しながら、
自分の方が先に逝ってしまうことになった
祖父の無念さ。
小さな石に託した回復の祈り。
今は苦しくても、
きっかけさへあれば、
歩いて行く先には
小さくても明るい救いの光を見いだせる。
喪失、苦悩を乗り越えて
再び前進していく主人公達を
優しいまなざしで描いた
作品でした。
さめた目で見ると現実的ではなく
なんとなく違和感を感じる時もありますが、
読んでいる時間は、
この本の優しい世界に
はいりこむことが出来ました。
読みやすい文章で気持ちよく読めます。