渾身 (集英社文庫)
舞台は隠岐島、
この地の伝統行事である相撲大会。
英明は地域から最高位である、
正三役大関に選ばれる。
それは地元で自分のことを、
みんなに認められたということ。
試合に挑むことで深まっていく家族の絆。
家族の将来を担う大一番。
家族と相撲、2つのテーマが平行して
物語は進められて行きます。
この小説、一回だけの取組で、
本が成り立っているのには驚きました。
大部分が最後の大一番の状況描写なんです。
とてもリアルな描写で、
まるで観戦しているような
気持ちになっていきます。
最初は物言いが付いての取り直し、
次は水入り、また取り直し、
中々勝負がつきません。
結果はというと、
これもありかなという感じ。
英明と前妻麻里の子供であった琴世。
前妻の麻里が亡くなり、
その親友であった多美子と結婚。
まだ幼い琴世が多美子のことを呼ぶのに、
あの姉ちゃんから、お母ちゃんと、
呼び方を変える過程が
対戦中に描かれています。
母子の物語、離れていた両親達との再会の話が
大一番と調和をとりながら、
構成されていました。
読み進めて行くと試合の結果が、
とても気になっていきます。
最後を見ないで読むのは、
じっと我慢が必要でした。
とにかくこの物語り、
こんなに一つの試合を、
長々と引き延ばすとはすごい!!
映画化があると知り読みました。
映画の公式サイトは→こちらです。
劇団EXILEのメンバー青柳 翔が
主役、英明を演じます。