希望荘
『誰か Somebody』『名もなき毒』『ペテロの葬列』に続く
杉村三郎シリーズ4作目。
「希望荘」「聖域」「砂男」
「二重身(ドッペルゲンガー)」の4編の短編集。
短編それぞれが繋がっています。
そして結構切なくて重い内容です。
「希望荘」
老人ホームに居た依頼者の父は
罪を犯していたのか、
告白の真偽の調査を依頼。
「聖域」
アパートから貧しかった、
おばあさんが突然消えた。
なのにある所で小ぎれいになった
老婦人を見かけた。
何があったのか調査を依頼される。
「砂男」
仲の良い夫婦だったのに
突然主人が失踪を遂げる。
なぜ主人が駆け落ちしたのか。
「二重身(ドッペルゲンガー)」
大震災が背景。
行方不明のオーナーは
生存しているのかという依頼。
以前TVドラマを見ていた影響で
主人公杉村三郎役の小泉孝太郎の顔が
どうしても浮かんできます。
なんだか力を抜いたような
ふわっとした杉村三郎の性格が
見え隠れします。
そんな雰囲気を持っていても事件を
解決するべく起こす行動、判断力は
やっぱりさすが杉村三郎。
人間の身勝手さ、
覗きたくない心の部分が描かれていますが
杉村三郎の柔和さが
それらを軽減させてくれます。
『ペテロの葬列』では妻と別れてしまい、
あれれと思いましたが、
事務所を起こして私立探偵になる過程の、
通過点だったのかな。
杉村三郎がついに探偵デビューします。
心に癒されることのない、
深い傷を負っていても
マイペースに生きていると言う感じの杉村三郎。
娘の桃子ちゃんとも、
うまくいってるようでよかったです。
「杉村探偵事務所」
これからも続いていく予感。