花ごよみ

映画、本、写真など・

悪人

2010-09-02 | 映画

試写会で見てきました。

原作は吉田修一の同名小説。

監督は李相日。

出会ってしまった孤独な男と女。
その二人を、妻夫木聡と深津絵里が演じます。



福岡・佐賀・長崎 が舞台。

保険外交員、佳乃(満島ひかり)が何者かに
命を奪われる事件が発生。

まず最初に大学生増尾(岡田将生)に、
嫌疑が掛かるが、
捜査が進んで行くにつれ、
清水祐一(妻夫木聡)という土木作業員が
容疑者として浮かび上がってくる。

妻夫木聡、深津絵里、柄本明、樹木希林等、
配役はぴったり。

妻夫木に祐一の役が、
合うかと思いましたが
映画で見ると金髪のきれいな顔がうまくはまり、
これが別の俳優の顔だったりしたら
また違った映画になってしまいそうな気がしました。



祐一はあるサイトのメールを通じ、
出会った光代(深津絵里)と逃避行に出る。

母親に置き去りにされた祐一を、
母親代わりになって、
彼を育てた祖母、房枝に樹木希林。

保険外交員、佳乃の父親、佳男に柄本明。

房枝と佳男、この二人の家族を思う心の深さに
涙が出ました。
樹木希林、柄本明、
二人ともこの映画の中での
存在感は大きいです。

でもなぜか祐一(妻夫木聡)と、
光代(深津絵里)に関しては、
涙はなかっです。



最近、原作本を読んだばかりなので、
表情一つにしても、
何を考えているのか、
人物の心の動きが分かりやすかったです。

ラストの灯台でのシーン。
祐一が母にお金をせびるのにも
母親の心の負担を軽くするためなど、
祐一なりの心優しい理由があるのに、
それらがこの映画を見ただけでは、
表現されていなかったように思います。

祐一の心の深さを描くには、
少し物足りなくに感じました。

原作を時間の制限のある映画にまとめるのは
仕方ないのでしょうね。


(五島市福江島の大瀬崎灯台)

悪人というタイトルが、
祐一のことを示すのならば、
悪人というより、
悪人のふりをするといった感じです。

映画ではラストの解釈が見ている人に
委ねられた感じを受けました。

房枝(樹木希林)と佳男(柄本明)には、
明るい兆しが感じられほっとしました。

本の感想は→こちらです。

(9月11日公開)



コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする