花ごよみ

映画、本、写真など・

母性  湊かなえ

2014-05-02 | 本 ま、や行(作家)

母性

この物語は、
「母性について」「母の手記」「娘の回想」と
3つに区分された構成になっています。

各章とも登場人物の独白で綴られています。

母親が書いた
『愛能う限り娘を大切に育てた』という手記と
娘の回想。

母と娘の心が交わらない。

母親と娘、
二人の見方や考え方の、
食い違っているところが
明らかになるように描かれています。

特に母親の心の歪みに
腹立たしいと同時に、
心が痛みます。

テーマである母性が、
ねじ曲がり変質してしまっているのです。
育てた娘との心の隔絶が、
痛々しい。

愛を受けて育ったとしても
子供にその愛が受け継がれてはいかない。

愛という言葉を使いたがるのは、
愛されていない証拠。
誰からも愛されていないと感じてしまった娘。

祖母の命と引き換えに助かった娘。
祖母の最期の願い『愛能う限り』
娘を大切に育てて欲しいという
思いに従って娘を育てたつもりの母。

親子にかかわらず、
人の心の中って、
外からは計り知れないものがあって
難しいものがあります。

ま、救いのあるラストで、
一応ほっとしました。





コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする