花ごよみ

映画、本、写真など・

ユートピア   湊かなえ

2016-05-25 | 本 ま、や行(作家)

ユートピア

舞台は海辺の町。
地元民の菜々子、
夫の転勤によってこの町に来た光希。
楽園を作り上げようと
他の地からやって来たすみれ。
これらの女性3人が主人公。

子供の作文から始まった「クララ翼」と
名付けられた活動。
善意の活動がゆがめられていきます。

過去のある事件が
絡み合いながら進んで行きます。

人情が存在すると思った田舎町なのに
煩わしい人間関係、閉塞感、悪意の数々…
会話の内容に心の中の暗闇が
何気なく顔を出したり…

子供だけは健全かなと思っていても
子供でさえ嫉み悪意が存在。

事件の鍵を握る
健吾のことはよく分からないまま
終わってしまいました。

ところで菜々子の義母って
一体何歳なんでしょう。

人間の弱さ、醜さ…
心の動きがよく描かれていて
不安感もたっぷりでした。
   



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Aではない君と  薬丸岳

2016-05-25 | 本 ま、や行(作家)

Aではない君と (講談社文庫)
少年犯罪の加害者となってしまった息子。
当事者になってしまった家族。
父親の戸惑い、反省、そして深い苦悩。
加害者の父親の目から
事件の真実を追及していきます。
とても重苦しいテーマの物語です。

妻とはすでに離婚をしていて
元妻と少年が一緒に暮らしていました。

世間は少年Aとして彼を見ても、
親からすれば愛するわが子。

父親は「付添人」となります。
心を閉ざしていた少年が
父親の尽力によって少しずつ語り始めます。
そして事件の真相にたどり着きます。
息子の犯罪には原因となる事柄が存在。
父親が知った事件の真実。
息子の心が痛々しいです。

たとえどんな理由があろうとも
彼の行為は決して許されることはないのです。
他の解決策を見出すことができなかったのか?
やりきれない気分になります。
それでも少しだけは
救いが見えるラストでした。





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