東京のはずれにあるまほろ市。
その駅前で主人公である多田啓介は、
便利屋を営業。
仕事の内容は、ペットあずかり、
塾の送迎、納屋の整理など…。
その便利屋に、高校時代のクラスメートである
行天春彦という名の男が住み着いた。
主人公の便利屋多田と、
何となく外見からしても、
へんてこりんな男、行天、
このコンビが、
引き起こすエピソードの数々。
それを解決していく過程において
表出した悲哀さ、面白さ、
交わらない心の方向性、
なのにどこか思いやる心が、
見え隠れする不思議な二人。
他の登場人物も憎めない人達。
面白く読めました。
でも内容は軽くはなく、
色んなところで立ち止まり、
考えてしまいます。
行天を見る多田の目、
多田を見る行天の目、
哀れみと軽蔑は、
視点を変えて見ると
同じようなもの、
多田、行天、どちらも過去に、
心に痛手を負いながら
同じく孤独で空虚感を抱える二人。
誰とも交わらないのが、
無事でやすらかなことと思い、
おびえながら日常を過ごしていた多田、
そんな彼の心が、
失ったものは戻っては来なくても、
形を変え、姿を変え、
幸福は再生して、何度でも訪れる、
と意識するようになってくる。
幸福は再生する。
ラストの多田のこの言葉が、
印象に残りました。
最後は温かい心になりました。
読み終えてから、
映画化の話を、知りました。
キャスティングを見てびっくり!
多田=瑛太、行天=松田龍平
もっと中年のくたびれた、
おじさんを思い浮かべながら、
本を読んでいました。