人手に渡っていた生家を買い取ってから36年の歳月が流れた。
築120年ともなると、雨漏りがしたり、壁が傷んだりするので、どうして、こんな苦労までして古家に固執するのかと思うことがある。祖父が7年かけて建築した家を買い戻したとき、伯母たちは涙を流して喜び、病床の母は終焉の家となったことに安堵し、安らかにあの世へ旅立った。捨てることも、壊すことも出来ず、姉は、たとえ住まなくても朽ち果てるともそのままにと遺言した。カヤノキの天井、ヒトツバ(マキ)の柱の我が家である。
肝付町前田 竹之井 敏(81) 2006/5/18 掲載
築120年ともなると、雨漏りがしたり、壁が傷んだりするので、どうして、こんな苦労までして古家に固執するのかと思うことがある。祖父が7年かけて建築した家を買い戻したとき、伯母たちは涙を流して喜び、病床の母は終焉の家となったことに安堵し、安らかにあの世へ旅立った。捨てることも、壊すことも出来ず、姉は、たとえ住まなくても朽ち果てるともそのままにと遺言した。カヤノキの天井、ヒトツバ(マキ)の柱の我が家である。
肝付町前田 竹之井 敏(81) 2006/5/18 掲載